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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百四 織姫編 「玲那のバカ!」

『赤ちゃんほしい…!』


絵里奈が何度もそう言ってたけど、まあ結論として、残念と言うか今の状況を考えれば幸いと言うか、妊娠はしなかった。


たとえしばらく仕事を休むことになっても絵里奈の貯えはそれなりにあるからということで何とかなるし、何より玲那が、


「私が赤ちゃんと絵里奈の面倒を見る!」


と燃えてたから心配はいらなかったのかもしれないにしても、やっぱりちゃんと四人が揃ってからってことなのかなあとか思ったり。


正直、絵里奈はかなり残念がってたそうだ。それに、『もしかしたら不妊…?』なんてことも心配したって。


などという諸々はもうしばらく後になるとして、絵里奈と二人でまどろんでたら、スマホのアラームが鳴って、慌ててまたシャワーを浴びて、カラオケボックスにまで沙奈子を迎えに行った。


実は今回、沙奈子がずっといるということで、いつもよりもテンション控えめであまり騒がないようにしてくれたらしかった。何だかすごく申し訳なかったけど、みんなの方もそうそういつもハイテンションでもいられないと、丁度よかったんだって。


でも玲那の方は、せっかくだからと秋嶋あきしまさんたちにも声を掛けて、当然の如くダブルヘッダーを組んでた。沙奈子は僕と絵里奈に任せて、星谷さんたちのことは見送って、すでに午前中から集まってた秋嶋さんたちの部屋へとそのままなだれ込んでいった。


ちゃっかりしてるなあ。


だけどこの時、秋嶋さんたちが午前中からカラオケボックスにいたのは、玲那の差し金だったと後で判明した。僕と絵里奈がホテルに行く時間すら惜しんでアパートに帰るのを予測してアパートを無人にするのが狙いだったんだ。


玲那ぁ…。気が効いてると言えばそうなのかもしれないけど、そこまで想像されてたかと思うと恥ずかしいだろ!!。


実際、それを知った絵里奈は、


『玲那のバカ!、スケベ!!』


と顔を真っ赤にして怒ったって。


当然だよ。


それでも……。


それでも、僕と絵里奈が仲良くしていてほしいというのも、玲那の正直な気持ちなんだっていうのは感じたよ。


もちろん、沙奈子の気持ちも玲那と同じだってことをね。


さすがに玲那と同じことを想像してたとは思いたくないにしても、もう、沙奈子もそういう形で気を回すことができるようになったっていうことなのかなあ。


ただ同時に、あの子の場合は、兄に連れられて女の人の部屋を転々としてた頃にどういう経験をしてたのかっていうのが、実はまだよく分かってなかった。どういう虐待を受けてたのかも…。


なのに…、いや、だからこそなのかな。僕と絵里奈には仲良くして欲しいんだろうなとは、強く感じたのだった。



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