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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百二 織姫編 「思わぬ申し出」

二月十九日。月曜日。さて今週も一週間が始まる。今週も何事もなくいきたいな。




二月二十日。火曜日。会社での昼休み。社員食堂に向かう時、すごく天気が良くて日差しが気持ち良かった。気温はまだ決して高くなさそうなのに、あたたかかった気がする。ちょっとずつ春に近付いているのかな。


なんて思ったりもする。


でも、会社ではそれだけだったかな。他はいつも通り何も考えず感じず淡々と仕事をこなしただけだし。


そして僕は、残業をしていた頃にはセーブしてた仕事のペースをあまり抑えないようにもなっていた。残業してた頃とそう変わらない仕事量を、淡々とこなすようになってたと思う。


ただそれは、同僚たちにはむしろ反感を買うものだったかもしれない。僕が残業しなくてもこなせている量を、同僚たちは残業してやっとこなしてる形になっただろうから。


ああ、そうか、こういう形でも他人から恨みを買ったりするのか。


だけど今後、もしさらに残業に対して厳しくなってくると、自分たちもこれくらい集中してやらなきゃならなくなるんじゃないかな。


今からそういうことをちゃんと考えておくべきかなと思ったりもする。


口に出しては言わないけどね。




水曜日から金曜日の夕方までは、それこそ何事もなく過ぎた。


二月二十四日。土曜日。今日は、星谷ひかりたにさんたちの方が旅館の予約を取れなかったことで、カラオケボックスにみんなで行くことになったそうだ。


という訳で、沙奈子と玲那もそっちにお邪魔することになった。


僕と絵里奈はって?。


実は昨夜、沙奈子と玲那に言われたんだ。


「たまには二人でデートに行ってきて」


って。


金曜日の夕方。学校が終わって山仁やまひとさんの家で僕を待っている時に、沙奈子が玲那とビデオ通話で話をしたんだって。沙奈子の方から話をしたいってことで。


そこで星谷さんが玲那にメッセージを送ってくれて、ビデオ通話で話をすることになって、「お父さんとお母さんにデートさせてあげたい」って言ってくれたって。


「お~っ、それはいいねえ!」


玲那は一も二もなく賛成してくれて、星谷さんも、


「明日はちょうど、私たちはカラオケボックスに行くことになってますので、沙奈子さんと玲那さんはそちらに来ていただければ、山下さんと絵里奈さんをフリーにすることができますね」


ということになって、なんだかとんとん拍子に、僕と絵里奈のデートが、僕たちの知らないところで決められてたんだ。


絵里奈は先に玲那から聞いてたけど、僕は当然、沙奈子と一緒にアパートから帰ってから聞かされて、思わず、


「…えっ!?」


って変な声を上げてしまってた。


だけど絵里奈に、


「…ダメですか……?」


なんて縋るように言われたら、さすがに、ね。



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