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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百五十二 沙奈子編 「普通はできない」

『本人的には、まだ大丈夫、まだやれる。と思ってしまう』


というのも実はそんなに珍しいことじゃないのかもね。登山とかでも、


『本人は『やれる』『いける』と思ってたけど、実際には駄目だった。だから取り返しのつかないことになってしまった』


なんてことが少なくなかったんじゃないかな。


だからそういう人は『頑張っちゃいけない』と思う。頑張ろうとしなくても頑張ってしまう、本人的には頑張ってるつもりがないのに実際には頑張ってしまってるタイプの人を頑張らせたら、自分の限界を超えて頑張ってしまうことがあると思うんだよ。


沙奈子にも、間違いなくそういう部分がある。彼女をずっと見てきたからこそそう感じる部分があるのが分かってしまう。


もちろん、そんな人だって本人が『やりたい』と思えることじゃなかったら頑張れない場合も少なくないだろうな。それどころか、周りからは無責任に思えるくらいに簡単に投げ出してしまうことだってあると思う。


もしかしたら、僕の兄にもそういう部分はあったのかもしれないな。そもそも、


『何人もの女性の間を、子供を連れて転々とする』


なんて、普通はできないんじゃないかな。世間一般の感覚としては『とんでもない所業』だから眉を顰められてしまう行いなんだろうけど、僕にはとてもできないことだよ。それができてしまうというのは、ある意味じゃ『すごいこと』なのかもしれない。


僕や沙奈子の場合は、それがまた別方向に発揮されてるだけで。


そう考えてみたら、実は『似たところがある』とも言えるかもね。


だけど兄の場合も、『限度を超えて』しまって沙奈子を連れていけなくなった。


というのもあったのかもしれない。だからそれまでは沙奈子を連れて女性の間を転々としていられたのが、突然、僕のところに捨てていったってことなのかも。


それが事実かどうかはともかくとして、


『普通はできないことができてしまう』


という点では同じなのかもって気もするんだ。


だからこそ余計に、今の沙奈子に頑張らせようとするのは、正解じゃない気がするんだよ。


もし僕のこの考えが間違っていてそれで『SANA』が倒産したとしても、受け止めなきゃいけないよね。そこで泣き言を並べるのも違うんじゃないかな。


ただ、誰もが僕と同じ考え方をしてくれるわけじゃないのも事実だと思う。『SANA』に倒産されたら困るから頑張ってもらわないとと考える人もいると思う。そういう部分で折り合えるようになるにも、いろんな経験が必要なはずなんだ。


まだ高校生の沙奈子にはそのあたりが十分じゃないはずだよね。



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