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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百四十三 沙奈子編 「料理店の従業員」

沙奈子が最初に作った『ナス味噌炒め』は、結人ゆうとくんが持って帰ることになったみたいだ。沙奈子の作るそれは、鷲崎わしざきさんの大好物の一つだったから。


他にもオムライスを作って、それはもう琴美ことみちゃんが食べてて、今はカレーを作ってるところだった。しかも、市販のルウを使うんじゃなくて、一から完全に手作りの。


そのための香辛料も、それこそ料理店の厨房に比べても遜色ないくらいに揃えられてる。


だから、元々は中華料理店の厨房だったものがまるで、


『いろんなメニューに対応してる食堂』


として再開したみたいに、今は沙奈子たちがせわしなく動き回っていくつもの料理を作っていってた。まだみんな高校生だけど、その動きは間違いなく普通の料理店の従業員のそれとほとんど変わらなかっただろうな。


「カズマ!、お皿!。ユカ、そっちの鍋、弱火にして!」


千早ちはやちゃんが『料理長』みたいに指示を飛ばして、一真かずまくんや篠原さんが動いてる一方で、沙奈子は香辛料の調合を行ってた。今からだと完成は間違いなく夜になるけど、今はそれで構わないんだろうな。


モニターの中に小さく映ってるだけの沙奈子の姿からも、すごく真剣で集中してるのが見て取れたから。今はそれが必要なんだろうから。


だけどその途中で、


「ごめん、塾の時間だから」


篠原さんがそう言って抜けて、それとほぼ同時に、


「悪ぃ、あいつらの晩飯の用意しなきゃ」


一真くんもそう言って出ていった。琴美ちゃんはそのまま残ってるから、両親の夕食の用意を終えたらまた戻ってくるんだろうけど、厨房の中は、沙奈子と千早ちゃんと大希くんと結人くんの四人だけになって。


それでも、これ自体がいつものことだからまるで気にする様子もなく、四人はさらに料理を作り続けた。


けどまあ、結人くんはほとんど手伝ってるだけなんだけどね。料理そのものは彼は得意じゃないから。でも今では、ご飯だって炊けるし、市販の味噌とダシを使ってなら味噌汁だって作れるようにはなってた。他にはスクランブルエッグとか目玉焼きくらいはね。それだけできれば、いざとなったら自分が食べる分くらいは自分で作れるわけだから、『自分のことは自分でできる』くらいにはなってるんじゃないかな。


しかも、カレーを一から作ってる沙奈子のアシスタントとしても、てきぱきと動いてくれてるし。なんだか息の合った様子にも見えたんだ。


二人の関係が今後変化していく可能性も感じられつつ、それはまたこれから先の話だと思う。



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