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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2504/2601

二千五百四 沙奈子編 「無闇に厭うから」

沙奈子と絵里奈と玲那が山下典膳やまもとてんぜんさんに会うために出掛けてる間、僕は玲緒奈れおなに遊ばれながら仕事をしてた。玲緒奈が寝てから集中して仕事をすることもあるけど、


「ぶ~ん」


と声を上げながら僕の体を山道に見立ててか自動車のおもちゃを走らせて遊ぶ玲緒奈の気配を感じながら仕事をしてる方が、気持ちの上では捗るんだ。


もちろん、玲緒奈のトイレに付き合ったりとか食事とか構って欲しがったりした時の相手とかしなきゃいけないから、実際のペースは集中してる時の方が上ではありつつ、それとは別に、『気持ちよく仕事できる』と言うか。


玲緒奈には、トイレトレーニングも始めつつ今もおむつを使ってもらってる。やっぱりまだ遊ぶのに夢中になったりするとおしっこやうんちが出てしまってから本人が、


「あ……!」


ってなることが多いからね。


『早くおむつに頼らなくていいようにするべきだ』


みたいに言う人もいるかもしれないけど、失敗するたびに苛々してたんじゃむしろそれが僕にとっても玲緒奈にとってもストレスになると思うから、おむつが外れるのが少しくらい遅くなってもストレスが掛からないようにする方を僕は選ぶ。山仁やまひとさんもそうしてたって。


「イチコが中学二年までおねしょをしていたことについて、『さっさとおむつを外さないからだ』とおっしゃる方もいらっしゃいました。ですが、それをおっしゃってる方はイチコのことをよく知りません。母親の死が彼女にどういうストレスを掛けたのか、間近で見ていないんです。ですから、病院に掛かりつつも私は実際にあの子のことを傍で見ている自分自身の判断を信じました。すると、初潮を迎えた頃に自然と治まって。結局、体の成長により変化があったということでしょうね」


って言ってた。僕もそれに倣おうと思う。ちゃんと玲緒奈のことを見るからこそ。


と、その時、


「パパ、うんち」


玲緒奈が声を掛けてくれた。


「そっか」


僕は応えて、『おまる』を用意して、おむつを下げてあげた。すると彼女は自分でおまるに座って、


「ん~……!」


といきみ出して、しばらくすると、


「ほ~……」


ホッとした表情に変わった。そしておまるから降りてお尻を突き出したのを、僕が拭いてあげる。こうしてるのも楽しいんだ。もちろん、『汚い』と感じるのはありつつも、生きた人間である以上は誰だってすることだし、それをことさら厭うのも違う気がする。無闇に厭うから、学校でトイレの個室に入るのをからかったりする子が出てくるんじゃないの?とは思うかな。



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