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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百九十三 沙奈子編 「問い質したいこと」

四月二十五日。火曜日。雨。




『自分の子供と話もできない』


というのが、僕にはピンとこない。僕は沙奈子といつでも当たり前に話をしてる。学校でのこととか、ニュースで見た出来事についてとか、将来のこととか、仕事についてのこととか。


話すことはいくらでもあるよ。


確かに僕はドールについては今でもまったくよく分からなくてほとんど話もできないけど、『話題』というのはそれだけじゃないはずなんだ。


何より、子供自身が親に対して問い質したいこととかもあるんじゃないかな。それについてちゃんと応える姿勢を普段から見せてれば、聞いてくると思うんだけどな。


でも、僕の両親はそんな姿勢をまったく見せていなかった。僕に話し掛けられることを、


『面倒くさい』


と考えてて、声を掛けただけでも不機嫌になってたんだ。自分が声を掛けるだけで不機嫌になるような人を相手に話をしたいと思える?。


幼いうちはそういうのも分からなくてなんとか親に構ってもらおうとして声を掛けたりもするかもしれなくても、大きくなるにつれて子供の方もそんな親に話し掛けるのが億劫になっていくんじゃないかな。僕もそうだった。


『この人たちは僕と話をしたくないんだ』


というのが、物心つく頃には分かってきて、それでも最初のうちは構ってもらおうともしたような気もするけど、いつの間にかそれすら諦めてたんじゃないかな。


それで、


『子供が口をきいてくれない』


なんて、おかしくないかな?。子供が声を掛けてきても無視したり面倒くさがったり億劫そうにしたり不機嫌になったりしてきたのに、さも子供の方が避けてるみたいに言うのは、ただの『責任転嫁』ってものじゃないかな。


僕にはそう思えて仕方ないんだけどな。


実際、僕は沙奈子と普通に話ができてるし、山仁やまひとさんも、イチコさんや大希ひろきくんと『話もできない』『話をしてくれない』なんてことはなかったって。


だけど一真かずまくんの両親はまさしく僕の両親と同じで、彼が声を掛けようとするだけで不機嫌になって、


『うるさい!』


『黙ってろ!』


みたいに怒鳴ることさえあったらしい。どうしてそんな相手に話し掛けようって気になると思うの?。


そして、千早ちはやちゃんも、山仁さんや星谷ひかりたにさんとは普通に話もできるのに、実の母親とかお姉さんとはほとんど口もきかないって。それこそ事務的に用件だけ話す感じで。


『子供が口をきいてくれないから何を話せばいいのか分からない』


なんて、先に子供が話し掛けても無視したり面倒くさがったり億劫そうにしたり不機嫌になったりしてきたんじゃないの?。先に自分が子供が話し掛けても避けてたんじゃないの?。だから子供の方も、


『もういいや』


って思うようになったんじゃないの?。



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