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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2404/2601

二千四百四 沙奈子編 「確かに積雪には」

一月二十六日。木曜日。晴れ。




雪そのものはやんだけど、今日もまだ残ってる。


「自動車が完全に詰まってしまってて、救急車さえ満足に動けない状態でしたね」


火曜日に、仕事から帰ってきた絵里奈がそんなことも言ってたな。この辺りは、確かに積雪にはとても弱いと思う。自動車だって多くは冬の間もノーマルタイヤだろうからね。


備えを怠ることでこの事態を招くという意味では褒められたものじゃないんだろうけど、正直なところ僕だってそこまで頭が回ってなかったというのは事実だ。


自動車の運転をしないから余計に気が付かないというのもありつつ。


その一方で、いつもの自転車じゃなくて電車での通勤に切り替えた絵里奈と玲那の判断はさすがだったと思う。運行ダイヤが滅茶苦茶になった路線もありつつ、二人が通勤に使った路線は、少し乱れはありつつもまったく動かなくなるほどまでの影響もなかったそうだし。


イチコさんと田上たのうえさんに在宅勤務をお願いした判断もばっちりだったと思う。もし事故があれば『労災』になって、『SANA』としても少なくないダメージになってただろうからね。


しかも沙奈子たちが通う学校でも、結構な数の生徒が休んでたって。さらには教師さえ来られないのもいたからほとんどが自習になって、午前中で切り上げて下校ということに。


沙奈子たちは徒歩だというのもあって頑張って登校したけど、無理せず休んだ方がよかったのかもしれない。


この辺りの判断はまだまだだな。


だけど今日は、雪もやんで融けてきてたのもあって、やっぱり気を付けながらも学校に行った。


絵里奈と玲那も出勤した。イチコさんと田上さんには引き続き在宅勤務をお願いして。


そういう感じでいろいろ考えなきゃいけないこともあって、『大雪に対する複雑な想い』ばかりに囚われていられなかったのは、逆に幸いだったかな。それよりもとにかく、完全に雪が消えてなくなるまで注意を払って事故のないように慎重に行動しようということになった。


本当は、こういう時、無理せずにいられるような仕組みにしていければと思うけど、なかなか一朝一夕にはいかないのも事実だと思う。沙奈子たちが通う学校も、リモート授業みたいなのは、結局、導入されなかったらしいし。それが当たり前にできるようになってたら、今回みたいなのも対応できたのかもね。


でも、それ自体、超えなきゃいけないハードルは少なくなさそうだし、焦っても仕方ないというのも分かるかな。ましてや苛立ったところで何の解決にもならないし。



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