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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2402/2601

二千四百二 SANA編 「こわい……!」

一月二十四日。火曜日。曇りのち雪。




何やら今日から大変な寒波に覆われるらしい。確かに気温も下がってきたし風がすごく強い。それもあって、絵里奈と玲那は今日、自転車じゃなく電車で出勤した。


その上で、


「イチコさんと田上たのうえさんには、しばらく在宅勤務をお願いしておきました」


とのことだった。『SANA』のHPでも、天候不順による商品到着の遅れが出る可能性については告知してるけど、今の時点ではまだ発送を休むこともできなかったからね。


「もし帰れなくなりそうだったら無理しなくていいからね」


送り出す時に僕はそう言って、


「はい。その時は会社に泊まり込みます」


絵里奈はそう応えるのに、玲那は、


「正直、ちょっとワクワクもしてるんだよね♡」


だって。なんだか少し楽しそうだ。


一応、事務所にも数日くらいは泊まり込みできるだけの用意はしてあるんだ。休憩室として使ってる部屋には折り畳みベッドも置いてあって、仮眠室にもなる。給湯室にはIHコンロと電気ポットと電子レンジと冷蔵庫が備え付けられてるし。お客用のWi-Fiの方は私用でも使えるから、ずっとビデオ通話を繋ぎっぱなしにでもしない限りは連絡も取れる。


これは、災害用の備えでもあるんだ。帰宅困難な状況になった時に無理せず会社に避難しておけるようにね。と言うか、電車が止まるようならそれはもう『災害』か。


昼頃、風がすごく強くなってきて、まるで台風並みのそれだった。


「ぼおおおおっ!。ごおおおおっっ!!」


って大きな音がして、


「!?」


さすがに玲緒奈れおなもビクッと体を竦ませて、


「こわい……!」


いつものようにリビングで仕事してた僕に抱きついてきた。


「大丈夫。お父さんがついてるよ」


なるべく安心できるようにと穏やかに笑顔で彼女を抱き締める。


『沙奈子たちも大丈夫かな……』


正直、暴風警報が出てないのが不思議なくらいの強い風だったけど、何かあれば連絡が入るはずだし、何もないところを見ると大丈夫なんだろうな。


風の音がしてる間、玲緒奈は僕の膝に座ったままだった。それから気が付いたら眠ってた。安心したのかな。


最近はずっとディスプレイとしか使ってないテレビの画面に、私用のパソコンを使って気象情報のページと沙奈子たちが通う高校のHPをずっと表示させておいた。


そうして四時過ぎ、


「ただいま」


沙奈子が帰ってきた。さすがに今日は念のため、『人生部の活動』は休みということにして、みんなそのまま家に帰ったそうだ。


だけど本当は、一真かずまくんと琴美ことみちゃんについてはうちに避難してくれてもよかったと思う。でもそうするとあの両親が何をするか分からないからね……。



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