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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百八十五 SANA編 「子育てって」

九月二十九日。木曜日。曇り。




玲緒奈れおなの湿疹の件があって、子育てっていうのは改めていろんなことがあるんだなって思わされた。しかも、『人間を育てる』っていうとても大変なことをするはずなのに、別に勉強をするわけでも修行をするわけでもない。子供を生んでしまうだけで誰でも『親』にはなれるんだ。


しかも人間は、人間として存在し始めた時からずっと子供を生んで親になって育ててきたんだよね?。それこそ、野生の獣とそんなに変わらない厳しい環境でも。


そうやって延々と繰り返してきたのに、どうして『親として何をすればいいのか分からない』なんてことになるんだろう。そして『分からない』なら調べて研究して解析して体系化してってしててもおかしくないのに、どうしてやらなかったんだろう。科学とか医学はそうやって調べて研究して解析して体系化してきてきたはずなのに。


だけど僕は自分が親になってみて、なぜそれがされてこなかったのか何となく分かった気がしたよ。別に必要なかったんだろうね。だって自分が人間なんだから、子供のことも人間として扱えば接すればよかっただけなんだし。


確かに、ミルクの作り方やおむつの替え方や離乳食の作り方とかについては知識として身に付けた方が手っ取り早いし確実だけど、相手が人間だからそういうのと同じように決まったやり方がないんだ。大事なのは『人間として扱い接すること』『人間として敬うこと』という心掛け。何より、


『親自身が自らの振る舞いによって人間としての振る舞い方の手本を示していく』


という意識。それを持ってたら、誰かを見下して蔑んで嘲って傷付けて苦しめてなんていう振る舞いを子供に対してやったり子供の前で見せたりなんておかしいって分かると思うんだけどな。


なのに、自分が楽をしたいから、手を抜きたいから、面倒くさいことをしたくないと考えるから、そういうことを蔑ろにしてしまう。手っ取り早く済まそうとしてしまう。だから子供も、そんな親の振る舞いを学んで真似してしまう。


たったそれだけのことなんだなって実感したよ。


玲緒奈れおなはまだまだ赤ん坊同然だから上手くできないだろうけど、上手くできなくてむしろ当たり前のはずだよね。今まさにそういうのを学んでる真っ最中なんだから。そこで僕や絵里奈が焦ったりしたり手っ取り早く済まそうとすれば、玲緒奈も大事なことで手を抜いたり手っ取り早く済まそうとするやり方を学んでしまうんだろうな。



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