二千二百五十四 SANA編 「ノストラダムス」
八月二十九日。月曜日。晴れ。
今日から沙奈子たちは学校。いつも通りにみんなで待ち合わせて行った。進学直前に不登校気味になった大希くんも、元気に登校した。
だから沙奈子たちのことは大丈夫なんだけど、話は変わるけど、『ノストラダムスの大予言』の時に何があったのか、覚えてる人は覚えてるんじゃないかな。
当時、まだ中学生だった僕は、
『ホントに滅ぶんなら滅んだらいい』
と、内心、期待もしてたんだ。けれど、その期待はものの見事に裏切られた。だから僕はあれ以来、『世界が滅ぶ』的なオカルトを一切信じなくなったんだよ。当時、それを信じた人たちは大恥をかいたと思うのに、まだ懲りてない人たちもいるみたいだね。
どうせ、ワクチンを打った全員が二年で亡くならなかった時にはまた何か言い訳を並べて誤魔化すんだろうから、僕はもうそういう人たちのことは気にしない。二年でワクチンを打った人が全員亡くってそれこそ世界が破滅に向かうなら、その中でも僕は家族や大切な人たちと一緒に最後の瞬間まで穏やかに生きてられるように努力するだけだよ。
漫画やアニメや映画のようなパニックが世界で起こったとしても、どうでもいい。
正直、『ノストラダムスの大予言』の時と同じことが繰り返されるだけなんだろうなって思うだけだし。
普通に考えたら、そんなことで人間が滅ぶならペストやスペイン風邪やコレラが大流行した時に滅んでるだろうね。今より医療が発達してなかった頃でさえ滅んだりしなかったのにどうして今、何も対処できずに滅ぶとか思えるんだろう。
何より、ワクチンで人間を滅ぼそうなんてそんな回りくどいことをせずに、そんなものが作れるなら、『新型コロナウイルス』そのものを、
『人間を滅ぼすための人工ウイルス』
として作ればよかったよね?。でも、『新型コロナウイルス感染症なんてただの風邪』とか言い張る人が出てくるくらい、変異を繰り返すごとに致死率も下がってるなら、それこそ人間を滅ぼすなんてことができるとは思えないし、新型コロナウイルスがその程度なのに、『二年も時間をかけて人を確実に死に至らしめる毒』なんて、誰が、どうやって、作り出せるのか、教えてほしいよ。そんな回りくどいことをしなくても『すぐに死ねる毒』はあるのにどうしてをそれを使わないのか。
医療関係者のほとんどがワクチン接種を終えた段階で、二年で亡くなるなら、継続的に治療を受けないと生きていられない人もそのあとすぐに亡くなるよね。人工透析を受けてたり、投薬治療を受けてる人も、必要な医療を受けられなくなるから。
病院にかかればまず命を落とすことのなかったような病気で亡くなる人もたくさん出る。事故とかで大きな怪我をした人も、今までなら助かったような人も助からない。
それでもきっと、人間は滅んだりしないだろうな。




