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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百四十 SANA編 「残り半月を」

八月十五日。月曜日。晴れ。




夏休みももう残り半月を切った。というのも、沙奈子たちが通う高校では二十九日が始業式だからね。小学校や中学校は実はもっと早く夏休みが終わったから少しだけ長いけど、『九月から』ということじゃないのは同じ。そして始業式の翌日からは『文化祭』の準備が始まるんだって。


すると玲那が、


「私が通ってた高校もそうだったけど、漫画やアニメみたいな文化祭じゃないんだよね。昔は確かに模擬店とかもたくさん出したりしたって聞いたことあるけどさ、今はいろいろ許可とかも大変らしくて模擬店はほとんどないみたいだよ。精々、体育館とかステージ組んだりして催し物したり、それぞれの教室で展示したりって感じかな。漫画やアニメに出てくる文化祭って、昔のそれと大学のそれを参考にしたファンタジーだな」


だって。確かに、僕が通ってた高校でも、教室での展示か演劇か合唱かって感じだったな。飲食店の模擬店は、アイデアこそ出てたけど簡単には許可が下りないってことで却下された覚えがある。


その時にも、一部の保護者が何か学校に抗議してたらしい。


『なんで生徒がやりたいと言ってることをやらせないんだ!?』


みたいなことで。でも、当時の僕は学園祭そのものを『無駄なこと』と感じてたからそれこそ『余計なことを』と思ってたな。


今はさすがにそこまでは思わないにしても、だからって無理に飲食関係の模擬店をやって万が一のことがあった時に誰が責任を取るの?って考えた時に、きっとあの時に抗議してた保護者は責任は取らなかったんだろうなと思うと、冷めた気分になるのも正直なところなんだ。学校も困るだろうし。


だから模擬店じゃないけど、沙奈子のクラスでは、『コスプレ』をするってことになりそうだって、一真かずまくんが言ってた。


「コスプレって言っても、そんな本格的なものじゃなくて、まあ、『ハリボテの仮装』って感じになりそうかな。ネタに走ろうとしてるのが大半みたいでさ。しかも今年は、マスク着用で派手なパフォーマンスもできないらしいし」


「まあそりゃそうだろ。新型コロナのことがなくたって学園祭なんかでそんなマジになる奴なんていんのかよ」


結人ゆうとくんが応えると、千早ちはやちゃんが、


「なに言ってんの。沙奈子はガチだよ。そのための準備始めてんだから。ねえ」


沙奈子に話し掛けてるのが画面に映ってた。それに対して沙奈子も、


「そんなにすごいのは作れないけど、簡単なのなら……」


だって。実はそのための材料を通販で取り寄せてたりも。これまでの『収入』でかなりの額を持ってるからね。その中のごく一部を使って。


しかも、


「前から一分の一でドレス作ってみたかったし……」


とのことだった。なるほどそうか。沙奈子なら確かにできそうだ。



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