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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百九十四 SANA編 「ただの犯罪自慢」

六月三十日。木曜日。晴れ。




『男らしさ』って、いったい、何なんだろう……?。


暴力的なこと?。何か気に入らないことがあったら怒鳴って殴って自分の思い通りにしようとすること?。他者を慮ることなく自分の主張ばかりを押し付けようとすること?。


僕にはまったく共感できないな。


『それくらいじゃなきゃ、大切なものも守れない!』


と言うかもしれないけど、普段からそんな態度だったら、自分から敵を作りに行ってるだけだよね。敵じゃなかった相手をわざわざ敵に回してそれで『大切なものを守る』って、ひどいマッチポンプだと思うけどな。


『敵を作らない』ことも、れっきとした『安全保障』だし『生存戦略』だと思うんだけどな。


『こっちが何かしなくても相手の方から危害を加えてくることもある!』


という話にしても、暴力的で、何か気に入らないことがあったら怒鳴って殴って自分の思い通りにしようとして、他者を慮ることなく自分の主張ばかりを押し付けようとするのなんて、自分がその『一方的に危害を加えてくる人』そのものになることだよね。どうしてそんな真似をしなきゃいけないんだろう。他にやってる人がいるから?。だから自分もやるっていうこと?。だけどそれって、『他人の所為』にしてるよね?。他人の所為にして自分の行いを正当化しようとしてるだけだよね。


大希ひろきくんはそんな真似しなくても、自分の人生をちゃんと歩もうとしてるけどな。確かに躓いたりもしたけど、そういうのは人生において一度や二度くらいあることじゃないのかな。彼は、山仁やまひとさんに支えられてではあっても、ちゃんと乗り越えたよ?。


『そこは自分一人の力だけで立ち直るべきだ!』


みたいに言うかもしれないけど、それで立ち直れなかったら、そんなことを言ってた人は責任を取ってくれるのかな。そこでおかしな方向に行っちゃて社会的なリスクになったりしたら、責任を取ってくれるのかな。取らないよね?。


そう言えば、


『最近の奴は喧嘩慣れしてないから手加減ができない』


みたいなことを言う人もいるみたいだけど、どうして自分の言ってることのおかしさに気付かないんだろう。だって、いわゆる『喧嘩慣れしてる人』も、別に最初から喧嘩慣れしてたわけじゃないよね。必ず『喧嘩慣れしてなかった時期』があるよね。そこで手加減ができなくて取り返しのつかないことにならなかったのは、ただ運が良かっただけなんじゃないのかな。


それに、『手加減ができるくらいになるまで喧嘩慣れできた』ということは、それだけ暴行傷害事件を起こしてきたということのはずだけどな。そんなのを自慢げに語るというのは、どういう神経なんだろう。ただの犯罪自慢のはずだよね。



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