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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百六十二 SANA編 「あれこれ干渉したりは」

五月二十九日。日曜日。晴れ。


今日は暑かった。今年初めての猛暑日だったらしい。




昨日は晴れてたし、学校もなかったしで、沙奈子は、玲那や結人ゆうとくんと一緒に水族館に行ってた。もちろん千早ちはやちゃんと大希ひろきくんは、一真かずまくんと琴美ことみちゃんのためにうちの三階で一緒にいてくれて。


千早ちゃんの新しい友達については、日曜日もぎっちりと習い事が入ってるそうだ。だから、水曜日の五時までくらいしか自由になる時間がない。後は、習い事が終わってから家に帰って寝るまでの間くらい。


これも、本当に何とも言いようがないな。親心としては子供のためを思ってあれこれしてるんだろうけど、果たしてそれが本当に『子供のため』になっているのか、ただ自分が『親としてちゃんとやっているというポーズを示したいだけ』なのか、微妙なところかも。


なにしろ、その人の心の中はその人にしか分からないだろうから。時には本人にすら分からないこともあると思う。親自身は、『子供のため』と本気で信じている時もね。


でも、


『あなたのためを思って』


という言葉はとても危険だとすごく実感してる。それを口にすることで自分自身に酔ってしまう場合だって少なくないんじゃないかな。


だから僕は、それを口にすることは避けてる。つい口にしてしまうことはあるかもしれないけど、積極的には使いたくない。


だって、それを口にする人は、上手くいかなかった時に責任を取らないことが多いから。それを口にして、でも結果的に上手くいかなかった時には、結局、相手のせいにすることが多いと感じてる。相手の粗を探して、


『言う通りにしないから』


なんて言ってね。


だけど僕はそれが嫌だから、そういうのを口にしないようにしなくちゃと思ってる。


そして沙奈子がやりたくないと思ってるのなら、無理にやらせようとは考えない。今、ドールのドレスを作っているのだって、沙奈子自身がやりたいことだからだしね。


それでもし上手くいかなくて、結果的に『SANA』が倒産するようなことがあっても、元々、この世は何もかも上手くいくわけじゃないんだから、その時はその時だよ。


もちろん、怠けてたり、何かよくないことをしてその結果だったりというのは望ましくないにしても、そもそも沙奈子はそんなことをするタイプじゃない。


『新型コロナウイルス感染症』の影響で色々あって駄目になった事業なんかもあるかもしれないし、どんなに本人が頑張っていても努力していても駄目な時は駄目だったりするから。


こればっかりは本当に、実際に結果が出てみないと何とも言えないだろうな。


だからこそ、千早ちゃんの新しい友達のことについても、僕たちの方からあれこれ干渉したりはしないようにと思ってる。その一方で、安らいだ時間を得られることについては協力してもいいと思う。



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