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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千百四十四 SANA編 「家を出る理由も」

五月十一日。水曜日。曇り時々雨。




昔は確かに『結婚するのが当たり前』だったから、家を出て行かないと無制限に家族が増えたかもしれない。だけど今は、『無理に結婚する必要はない』んだよね?。


だったらやっぱり、結婚しないなら何も無理に家を出て行く必要はないと思う。『家族の関係が良好だったら』という前提はあるけど。


ただ同時に、だからって無理に家に縛り付けるつもりもないんだ。沙奈子が『一人暮らししてみたい』と思うならそうすればいいと思うし。


実際、波多野さんや田上たのうえさんは、今、一人暮らしをしている。だけどそれは結局、


『家族と一緒にはいたくない』


という、ネガティブな理由からというのも事実。なにしろ、波多野さんも田上さんも、


「いや~、あの人と一緒に暮らすとか、有り得ないっしょ」


「私も無理無理無理。よく高校卒業するまで我慢できたなって自分でも思いますもん」


心底、実感のこもった様子でそう言ってたな。確かに、波多野さんはお兄さんの事件の所為で家庭が崩壊してお父さんが心を病んで、一緒にいたらそれこそ共倒れになりかねないから『避難』という意味でも家を出てる。


一方の田上さんは、一人暮らししててもお母さんが突然部屋に押し掛けてきたりするから気が休まらないらしい。しかも勝手に合鍵まで作って、鍵を閉めてても承諾なしで入ってくるんだって。


「男とか連れ込んでたら許さないからね」


と言われてるそうだ。なるほどそういう部分で心配なのは分からなくもないけど、それについて田上さんは、


「いえいえ、あの人が心配してるのは自分の体裁だけですよ。自分の家に相応しくない悪い虫が付くのが嫌ってだけです。まあ、私も別に恋愛とか興味ないですけどね」


やっぱりげんなりした表情でそう言った。二人とも、典型的な『一緒にいたくない家族だから家を出る』という例だよね。


それに対してイチコさんは、


「私も一人暮らしには興味あるんだけど、このまま『SANA』に就職するんだったら家出る必要ないかな~。結婚したいとも思わないし、彼氏も欲しくないし。今のままで十分楽しいよ」


とのことだった。そうだ。イチコさんは家族の関係が良好だから、家を出なきゃいけない理由もないんだ。


そして千早ちはやちゃんは、


「私はね~、あの人たちをほっぽり出したらそれこそロクな生活しなさそうだし、そういう意味で家にいなきゃいけないかな~とは思う」


だって。


家を出る理由も出ない理由も、人それぞれだよね。それに対して見ず知らずの赤の他人が、何の権利があって資格があって口出しするの?。



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