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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千九十六 役童編 「まじすごまじすご!!」

三月二十四日。木曜日。晴れのち曇り。




今日も沙奈子たちは『人生部』の活動に精を出してる。しかも、これまで通りに勉強も頑張ってる。沙奈子たちが合格した高校の三年間で習う範囲はもうほぼ終わるらしい。だからもうずっと、すでにやったところを復習する形で勉強することになるんだね。


しかも家でも、今度は田上たのうえさんが通ってる大学で行ってる一般教養について勉強してくことになるらしい。高校から先の進路がまだ決まってないからあくまで『一般教養』に絞ってってことなんだって。


それを伝えるために、久しぶりに星谷ひかりたにさんがうちに来た。


千早ちはやが本当にお世話になっています。ありがとうございます」


さらに大人びた雰囲気になった星谷さんがすごく丁寧に頭を下げてくれて、


「いえいえ、こちらこそ星谷さんにはお世話になりっぱなしで恐縮してばかりです」


と応えるしかなかった。


「ところで最近、とても忙しそうですが、大学の方は大丈夫なんですか?」


「はい。おかげさまで四年生になれます。卒業までのフローチャートも構築できていますので、問題はないでしょう」


そんなやり取りもあって、改めて圧倒される。彼女にとっては大学さえ自分の目的に辿り着くまでの過程の一つでしかなくて、むしろ決まったカリキュラムをこなしあらかじめ分かっている課題に取り組めばいいだけの大学は、片手間でできてしまうものみたいだ。つくづく、僕たちとは頭の構造が違うんだろうなと実感する。


今の彼女にとっては、いろんな国を相手に行ってる企業の運営の方がやりがいがあるんだって。なにしろ決まった答があるわけじゃなくて、その答えに辿り着く道順も一つじゃなくて、そして同時に、一人でそれが達成できるわけじゃなくて、そこも大学とは違って楽しいらしいんだ。


そして、彼女が今、取り組んでる事業の一つ『義肢の開発』で研究中のサンプルを事務所で見せてくれたりもした。


「ぎゃーっ!。なにこれカッコイイ!!」


玲那が声を上げる。


そこにあったのは、本当にアニメとかで出てきそうな、『サイボーグとかロボットの腕』って感じのだったんだ。しかも、


「筋電を拾って自由に動かせるようにするのを目指してます」


とのことで、試しに千早ちゃんの腕に端子を貼り付けて指を動かしてみたら、


「こいつ!。動くぞ!!」


すごく興奮した彼女がそう声を上げたとおり、指と同じ動きを。それも、かなり滑らかに。


「私にもやらせてやらせて!」


玲那も子供みたいに声を上げて、端子をしっかりとアルコール消毒した上で自分の腕に付けてもらって、


「まじすごまじすご!!。未来だ!!」


はしゃいでた。



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