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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四十八 役童編 「勝てないかもしれない」

二月四日。金曜日。晴れ。




玲緒奈れおなを迎えた僕と絵里奈は、もうまごうことなき『親』だ。


『子供を生んだことも育てたこともないクセに!』


なんて子供じみたマウントを取られることもない。だけどそういうマウントを取りたがる人は、今度は、


『子供を成人させたわけでもないクセに!』


とかマウントを取ろうとするんだろうな。そんな形でマウントを取ることでしか優位に立てないの?。それがもう情けないんだけどな。『親』として。


山仁やまひとさんは、イチコさんを成人させて、しかも仕事をしながら大学に通うくらいに立派に育て上げたよ。だけど、今、大希くんは人生で一番の躓きを経験してる真っ最中だ。子供をそんな風に躓かせてしまった山仁さんは、親としては自慢できる立場じゃないかもしれない。


だけどそれを言ったら、子供が一時期『不良』みたいになってた親は全員、親として失格だってことになるんじゃないの?。僕は別にそうは思わないんだけどな。


しかも大希くんは、誰かを傷付けようとしたり威圧したり脅したりしてないよね?。彼はただ、自分自身が許せなくなってるだけだ。山仁さんには、毎日学校に一緒に行ってもらったりして迷惑を掛けてるとしても、そんなの、誰かに暴力をふるったり万引きしたりバイクで暴走したりしてって形で迷惑を掛けることに比べてそこまで大きなこと?。子供を勝手にこの世に送り出した親としてそのくらいのことは山仁さんは何とも思ってないそうだけどな。手間なのは事実でも、必要な手間だと思ってるらしいけどな。


警察に補導された自分の子供を迎えに行くようなことに比べたら。


そして泣き言なんて口にしてないよ。山仁さんは。それどころか、


「大希はここまでいい子過ぎたんだと思います。もっと甘えてもらってもよかったんでしょう」


とまで言ってる。だから今、大希くんはレスリングみたいにして力比べを挑んでるんだろうな。父親である山仁さんに対して、たっぷり甘えるのも兼ねて『男として』勝負を挑んでるんじゃないかな。まったく歯が立たないらしいけど。


決して体が大きいわけでもない山仁さんだけど、大希くんはもっと体が小さいから。最近ようやく、百五十センチ近くまで伸びてきたらしい。今後どこまで背が伸びるかは分からないとしても、百七十センチある山仁さんには追い付けないかもしれない。百六十センチの星谷ひかりたにさんにようやく追いつくくらいかもしれない。だから単純な力では山仁さんには勝てないかもしれない。


だけどそれは問題じゃないよね。だって、山仁さん自身、柔道のオリンピック代表候補にまでなった役童強馬えきどうきょうまにはまったく敵わないはずだそうだから。



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