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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1988/2601

千九百八十八 玲緒奈編 「中学生の考え方じゃないと」

十二月六日。月曜日。曇り。




昨日、沙奈子たちが三階に集まってた時にも、みんなでいろいろ話をしていた。その中で、千早ちはやちゃんが、


「なんかさあ、子供が高いところに登って落ちそうになってギャン泣きしてる様子を写真に撮ってそれをSNSにアップしてた親がいるらしいんだけど、まあそれ自体は他所の家のことだから別にどうでもいいんだけどさ、その親を擁護する理屈に、『子供は失敗することで経験を重ねて成長する』とか言ってるのがいたみたいで。いやそれ、『親が子供の失敗を写真に撮ってSNSに上げる行為』とは何の関係もないよね?。てか、『子供が現に失敗してギャン泣きしてんだから、自分のやらかしたことで怖い思いしてんだから、親ならまず助けろよ』っていう意見に対する反論にもなってないじゃん。


私も、沙奈にきつく当たったりっていう失敗をした経験があって今の私がいるけどさ、でもそれ。先生とか小父さんとかピカえのフォローがあってのことなんだよな。それがなきゃ、絶対、今の私はいなかった。だから私は、先生とか小父さんとかピカえにはすごく感謝してるんだ。『大人に助けてもらうこともなく自分の力だけで自分の経験だけで成長できる子供』なんて、漫画やアニメの中にしかいねえだろ」


って、自分が得た実感を語ると、大希ひろきくんも、


「だよね。僕も失敗ばかりしてきたけど、それをお父さんやみんなにフォローしてもらえたから『経験』ってことにできてるだけで、自分の失敗がどういうことだったのかヒントももらえずに役に立てられたとは思わないんだよね。自分の力だけで成長してきたって思いたい人は、『自分が大人に助けてもらえてきた』ってのを認めたくないんだろうなって気はするんだ」


だって。そんな二人に玲那は、


「いやいや、マジで二人とも中学生の考え方じゃないと思う。私が中学の頃なんて、そんなことぜんぜん思ってなかったよ。ま、私の場合はちょっと事情が特殊だけどさ。それでもやっぱすごいと思う。中学の頃とかってそれこそ『自分の力だけで何でもできる!』って思いたい時期じゃん?。『自分は周りの大人よりも世の中のことを理解してる。この世界の真実に気付けてる!』って思いたい時期じゃん?。それがこんな風に思えるってのはマジすごいことだと思うんだよ」


感心してた。すると沙奈子が、


「でもそれは、山仁やまひとさんや星谷ひかりたにさんやお姉ちゃんを見てたからだと思う……」


そんな風に思える沙奈子もすごいと思うよ。本当に自慢の娘だ。



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