表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
1967/2601

千九百六十七 玲緒奈編 「保育園に預けられる時は」

十一月十五日。月曜日。晴れ。




今日も玲緒奈れおなは朝から元気だ。


「ねーっ!」


「ちゃーっ!」


仕事に行く用意をしている玲那と、学校に行く用意をしてる沙奈子を指差して、


「ぽあっぱ!。ぷあ!。ばぶるるるる!!」


と、何か一生懸命に話し掛けてる。すると、


「は~い、なんですかあ?」


「どうしたの?。玲緒奈」


玲那と沙奈子が、膝を着いて応えてくれる。そんな二人に、


「ぶあっぷ!!」


どこにも掴まらず立ったまま声を上げて、すとんとその場に腰を落とした。そんな姿がまた可愛くて、


「ん~っ♡」


「可愛いよ、玲緒奈♡」


玲那と沙奈子もメロメロだ。


そして僕も今日は、打ち合わせのために出勤する。早ければ昼過ぎには帰ってこれると思うけど、いつもと違ってスーツに着替えている僕を見て、


「ばるばる!。ぶぶぶ!!」


玲那や沙奈子や僕を順番に指差して何か言ってた。もしかしたら、玲那や沙奈子と同じように用意をしてるってことを理解してるのかもしれない。まだ言葉がしゃべれないから表現できないだけで、玲緒奈がいろんなことを理解してきてるのを実感する。しかも、ハイハイで壁まで行ってそれを支えに立ち上がって、そこから僕のところまで歩いてきて、


「ぶーっ!!」


って足をバシバシと叩いてきた。もしかするとこれも、僕が玲那や沙奈子と同じようにこの部屋からいなくなることを察して、抗議してきてるのかもね。


「パパはここにいろ!!」


って感じで。だけど、その要望は残念ながら聞き入れられない。玲緒奈の言うことは極力聞き入れてあげたいけど、こうやって『どうしても無理』っていうことは必ずでてくる。何でもかんでも言いなりになることはできない。こうやって、『聞き入れられること』『聞き入れられないこと』があるのを、この子も学んでいくんだ。それでいいと思う。なにもわざと理不尽なことをする必要はないはずなんだよ。


意図的にそんなことをしなくたって、自分の望みが百パーセントすべて聞き入れられるわけじゃないのは分かり切ってることだから。大事なのは、その、『どうしても自分の要望が聞き入れられない時にどう対処するか?』ってことじゃないの?。泣きたいなら泣いてもいいし、怒りたいなら怒ってもいい。その気持ちをちゃんと受け止めてもらえることが重要なんだと思う。


でも、面白いことに、イチコさんも大希くんも、保育園に預けられる時はまったく泣かなかったそうだ。それどころか、


『なにか面白そうだ!!』


って感じで自分から入っていって。


「あとで迎えに来るからね」


と声を掛けても、


「ん~っ!」


って、絵本とかおもちゃを手にして振り返りもせずに手を振ったって。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ