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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千 美嘉編 「楽しかった修学旅行」

いよいよ卒業証書授与も最後の方になってきた。


大希ひろきくんが壇上に上がって僕たちの方に向かって立つと、星谷ひかりたにさんが何度もシャッターを切ってた。


たぶん、千早ちはやちゃんの時よりもたくさん。


人によってはそういうの、眉を顰めたりするかもしれない。だけど僕は、むしろ、そういうところに人間らしさを感じてしまって微笑ましいとさえ思うんだ。


普段は人間離れてしてるとさえ言えてしまいそうな星谷さんの『可愛らしい部分』って言うかさ。


そうして、大希くんの次の子で、卒業証書授与は終わった。


でも、卒業式はまだ続く。


次は、卒業生が、全員で、これまでの学校生活について語るというやつだった。


「楽しかったこと」


「辛かったこと」


「たくさんの思い出が」


等々、一言一言をそれぞれ担当し、順番に言っていくんだ。


正直、僕自身はこういうの、芝居がかってて苦手だけどね。口には出さないけど、心の中で苦笑いになってた。


だけど沙奈子が、


「楽しかった修学旅行」


と声を上げた時には、思わず頬が緩んでしまったけどね。


だけど同時に、


『楽しかった修学旅行……か』


ってやっぱり苦笑いになってしまったな。だって、修学旅行の時にはちょっとした騒動もあったし。


だけどそれがきっかけで、沙奈子と結人ゆうとくんとの関係が変化していったというのもあるのか。


沙奈子自身は、この学校での思い出は四年生の時からのしかないけど、もしかしたら普通に六年間通った子以上に濃密な三年間だったかもしれない。


確実に、沙奈子の人生において転換点になっただろうな。


そうして卒業生からの言葉が終わると、今度は在校生からの送る言葉が始まった。


在校生といっても、五年生が在校生代表として参加してるだけだ。僕が小学校の時には本当に一年生から五年生まで全員が参加してたけど、低学年の子にはこの長い式をこなすのは大変だっただろうな。実際、途中で気分が悪くなって運び出される子が何人もいたのも思い出した。


卒業生からみて直接バトンを渡すことになる五年生が代表して参加するこの形の方が合理的なのは確かかもしれない。


在校生からの『送る言葉』が終わって、今度は校長先生からの祝辞に移った。


これはまだあるのか。


とにかく長くて退屈で、定型文の作文を読んでるだけみたいなそれも苦痛だったな。


だけど、今回のは、思ったほどは長くなかった気がする。


僕が大人になったことで上手く聞き流せるようになったからなのか、それとも本当に短くまとめていたのかは分からないけど。



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