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肉屋コンビ

「おお、様になったじゃないか」

「ありがとうございます」

「がんばれよ。少なくともすぐに壊す様な事は無いようにな?」

「武器の方は大丈夫なのか?」

「ええ」


 てな感じで話を終えて俺は肉屋へと挨拶に行った。


「一式揃ったって所か」

「はい」


 もちろん、無愛想な肉屋は俺の格好を見た後、平然と応答した訳だけどさ。


「酒場の話は耳にした。がんばるんだな」


 俺が本当に身ぐるみ剥がされたかどうかは聞いて来ない。

 この距離感が肉屋のルールなのかもしれない。

 俺も説明し辛いから良いと思っている。


「……村にいる間は好きに物置きで寝るが良いさ」


 あ、俺が出来れば宿屋に泊らず物置きで寝ていたい事を察知されてしまった。

 まだまだ駆け出しだもんなぁ。

 いい加減、ドケチとか言われそうで怖いけどさ。


「シャロさんは?」

「アイツも何か色々と貯金を集めて装備を見繕うみたいだがな」


 念には念をとかなんだろうか?

 と言うかシャロさんも冒険者になりたいとか……なのかな?


「そろそろ酒場で食事し始めますよ。コネクションや情報は重要ですからね」


 この手の村にそれ等を得るには、やはり酒場だからな。

 日本人的に酒場というと飲み屋みたいなイメージを浮かべるが、異世界では大分違う。

 酒場で情報を得るには客と仲良くなるのも重要だけど、店主と親密な関係になるのも重要だ。

 そして、店主と友好的な関係を構築するのに最も簡単な方法は金を使う事みたいだな。

 店の料理を褒め、沢山お金を使えば、店主からすれば悪い感情は抱かない。

 後はそれとなく情報を聞き出せば良い……らしい。


「そうか」


 って所で客が肉屋にやってきたので接客の手伝いをする。


「いらっしゃいませー」

「また今日も解体の手伝い? がんばってね」

「……」


 もはや俺は肉屋の手伝いって認識になっている様な気がした。

 それから日が落ちるまで肉屋の手伝いをした後、酒場へと足を運んだ。


 やっぱりなんか賑やかな雰囲気だ。

 冒険者達は各々情報交換と食事を楽しんでいる。

 人間、亜人、獣人……人種の壁は薄いけど、やっぱ同族で集まる傾向があるなぁ。

 とは言っても人間のグループに獣人が混ざっている事もある。


 ちなみに亜人獣人は自身の体に魔物としての側面を持った人種で契約無しでもそれなりに力を発揮できる。

 一部の魔物が進化して獣人や亜人になる事もあるので、魔物と亜人獣人の差は、言葉が通じるか等にも左右される……んだったかな?


 俺は飲み物を片手にどの辺りのグループに混じるか考える。

 この村は割と治安は良い方で、冒険者を志す人が多い傾向がある。

 いるのは行って中堅、その理由は危険な魔物が少ない地域だからって言うのが理由だな。

 マリウス辺りがトップ帯だ。


 山奥とか、漁で見たダンジョンとなると中堅以上の冒険者が行くみたいだが、少なくともこの酒場にいる連中にそこまでの猛者には見えない。

 それはともかく、やっと装備が多少揃ったのは良いが、これから何をするかと考えるとやっぱり魔物退治や仕事をして自身の強化に努める事だろう。

 一人でコツコツとやって行くのも悪くは無いけれど、効率的に稼いでいくなら仲間を募って行動のが無難だ。

 むしろそっちに頼るべきだ。


 既視感頼りで行くのも程々にすべきだろう。

 こう……創作物の主人公みたいに強力な能力や幸運を持っていたらその限りじゃないんだろうけどさ。


 今の俺は初心者も良い所。

 信用なんて無いに等しい。

 冒険者業って割と信用が物を言う。

 最終的に紹介状とか書いてもらえると大いに役立つ。国が発行する冒険者の資格を得る事が重要だ。

 ……そうだったんじゃなかったかなー……まだ思い出しきれない。


 とりあえずマリウスの所の配下の冒険者達が楽しげに談笑していたので輪に混ざって雑談をする形で食事を終えた。

 装備品を見て驚かれたっけ。

 セット装備だから統一感もあったしな。

 近日中に荷物持ちって感じで冒険に誘ってもらえる様な感じだった。


 そうして肉屋に帰るとシャロさんが出迎えてくれた。


「あ、お帰りなさい」

「た、ただいまー」


 もはやここがマイホームみたいな錯覚を覚えてしまうけれど、仮の住まいであるのを忘れてはいけない。

 店主は俺が帰ってくるのをチラッと見てから作業に戻る。

 無愛想だけど、良い人だよね。


「ヒロさん。この後、暇ですか?」

「え? うん。特に予定は無いかな? 明日は道具屋で仕事をする予定だけど」

「調合補助の仕事をお前に頼もうって言ってたぞ。しっかりとやれよ」


 どんだけ肉屋は村の事情に詳しいんだろうか。

 今度詳しく聞くべきなんじゃないかと思って来た。


「へー……詳しいんですね。話が逸れてしまいましたね。これから少し冒険者になる為の買い物の手伝いをお願いして良いですか?」

「う、うん」


 大分夜も更けているけど……大丈夫なのかな?

 シャロさんも冒険者になりたいんだっけ?

 と言う訳でシャロさんと一緒に肉屋を出る。


「何か俺に聞きたい事でもある感じかな?」


 助言はそこそこ出来ると思う。

 聞かれれば既視感が反応するからな。


「そんな感じですね。ヒロさんって博識ですし、相談するのに良いかなって」

「酒場で冒険者の接客をしているのに?」


 いろんな仕事をしていて冒険者相手に助言くらい聞ける立場のはずだよね?

 そう思って尋ねるとシャロさんは苦笑いを浮かべる。


「そうなんですけどー……ヒロさんの意見も聞きたいと思ってまして」

「なるほどね」


 あくまで参考にって事の様だ。

 まあ情報は多いに越した事は無い。

 俺の知っている事ならいくらでも話そう。


「まずは何が聞きたいのかな?」

「そうですねー……いろんな人に聞いているんですけど、お勧めの契約魔物から聞こうと思ってます。元々魔力が高いんで、契約はカードなしで出来るんですけど」


 地味に凄い様な気がするんだけど、そこは聞き流しておこうかな。

 あまり踏み込んで良い話題かわからないし。


「シャロさんの元々の能力がわからないけど……魔法寄りだと仮定すると、その特色を伸ばすのが良いかな。他に何かリクエストは?」

「出来ればですけど仕事の幅が増やしやすい技能持ちの魔物が良いです」


 ふむふむ……魔法系で仕事の幅を増やしやすい技能持ちか。

 なんて話をしていると武器屋に到着した。


「お? シャロちゃんじゃないか。後は……」


 既に打ち合わせでもしていたのか店を閉めているはずなのに当然の様に武器屋が出迎えてくれた。

 俺の方を見て武器屋が若干眉を寄せる。

 村の美少女と出身地不明の自称商人が一緒で怪しんでいるって所かな?

 まあ確かに下心ありの男とか寄ってきそうだもんな。


「この場合、肉屋コンビになるな。シャロちゃん。夜に買いに来るって言っていたな」


 肉屋コンビ……いや、間違ってはいないけどさ。

 そのネーミング、この場だけなんだろうか?

 一緒に行動していると定着しそうで怖いな。


「ええ……注文していた武具を取りに来たんですよ」

「これだな」


 そう言いながら武器屋はシャロさんに高そうなロッドとケープを持ってきた。

 それなりに良い素材を使っているのがわかる。

 ジャラジャラとシャロさんがお金を出して武器屋に渡した。


「最低限これくらいは必要かと思って貯金を使ってしまいました」

「これだけの武具がありゃあこの辺りの雑魚なら楽勝だと思うぜ」


 雑魚ならばって所が怖い所かな。

 えーっと……ロッドの性能は俺の槍と同じくらい。

 防具は……少しばかり心もとないかな?

 魔法使い系というか、軽めの装備だからしょうがないけどさ。


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― 新着の感想 ―
気になる点  いるのは行って中堅、その理由は危険な魔物が少ない地域だからって言うのが理由だな。 →だからってとこだな。  山奥とか、漁で見たダンジョンとなると中堅以上の冒険者が行くみたいだが、少な…
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