35 元親友の自分勝手な考え(キララ視点)
拙作をお読みいただきありがとうございます!
この話はキララ視点になります。
どうして良くないことばかり起こるの?
ベッドの上でゴホゴホと咳き込みながら、私はぼんやりとそんなことを考えた。
私はただ、ノンクード様を見つめているだけで良かった。挨拶したり、時には言葉を交わしたりした日は、本当に幸せだった。それなのに、ミリルはノンクード様の婚約者になっただけでなく婚約破棄までした。
ノンクード様の何が駄目なの? あんなに素敵な人なら欠点があっても我慢できるはず。ノンクード様に言い寄られただけでなく、リディアス様に愛されているとわかって、調子にのっているのかと思ってイライラした。
しかも、婚約破棄までするなんて許せない。ノンクード様を嫌うミリルなんて罰が当たればいいんだわ。
それにしても苦しい。ずっと安静にしているのに一向に良くならない。早く薬がほしい。苦い薬じゃなくて美味しい薬がいいわ。
一度、断られはしたけれど、ミリルはお人好しだから薬を持ってきてくれるでしょう。だって、あの子は私のことを親友だと思っているんだから。
その時、バタバタと慌ただしい足音が廊下のほうから聞こえてきた。そしてすぐにノックの音がして扉が開かれた。
「……キララ! あなた一体何をしたの⁉」
「公爵家と辺境伯家に目をつけられるなんて最悪だ!」
お母様とお父様は部屋に入ってくるなり、そう叫んだ。
「目を付けられる?」
意味が分からなくて聞き返すと、お父様は私の目の前に数枚の紙を突きつけてきた。近すぎて何が書いてあるのか見えず困惑していると、紙を私から離して話し始める。
「ジャルヌ辺境伯家でビサイズ公爵夫人の侍女に絡んだそうだな?」
「か、絡んだといいますか、ビサイズ公爵夫人がミリルと二人きりで話をしたいと言うから協力してあげただけです」
「ビサイズ公爵からは自分の家の侍女の仕事を邪魔したとして苦情の書面が届いた。それにジャルヌ辺境伯家からは一人になりたくないという娘を、ビサイズ公爵夫人の侍女の足止めをしてまで、わざと一人にした理由は何なのかと問い合わせがきている! どうして、そんな馬鹿なことをしたんだ!」
「ば、馬鹿なことなんてしていません!」
「それが馬鹿なことだとわからないことがおかしいんだ!」
何なの⁉ どうして私が責められないといけないのよ!
これも全部ミリルのせいだわ。今まで仲良くしてあげていたのに、彼女のせいで私が不幸になるだなんて、絶対にあってはならないことだわ!
「あなた、この子は病気なのよ。体調が良くなったら改めて話しましょう」
お母様がなだめてくれたおかげで、お父様は口を閉ざすと部屋から出ていった




