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71. イナーヤ隊長、団員の制止を振り切りサルファー砦に突き進む

「ここの村に物資を降ろそうと思います。下手に近づいて迎撃されては、(かな)いませんからね」


 僕たちの前には、地図が広げられていた。

 サルファー砦の防衛戦に参加していたライムが、地図を見ながら説明する。


「サルファー砦に近づきすぎると、モンスターの恰好の的だもんね」

「その通りです」


 僕たちが乗っているのは、スピードに特化した飛空艇である。

 それこそ、モンスターの群れに襲われたらひとたまりもないだろう。



「何を怖気づいているのだ? モンスターが襲ってくるなら、蹴散らせばよいではないか?」


 イナーヤ隊長が、不機嫌そうにそう言った。


「飛空艇の上で、モンスターの攻撃をしのげる訳がないだろう!」

「自殺したいなら、人を巻き込まないでくれ!」


「貴様ァ! 我は栄えある中央騎士団の隊長だぞ。冒険者ごときが、知ったような口を聞くな!!」


 イナーヤ隊長の言葉は、どこか白々しく響く。

 

「ケンカしたらダメなの。成功する作戦も上手くいかなくなる!」

「むう……。リリアンがそう言うのなら――」


 リリアンが止めに入って、冒険者の面々はハッとした表情を浮かべる。

 味方同士で争っている場合ではないと、思い直したのだ。


「ふん。身の程知らずめ……」


 もっともイナーヤ隊長は、まったく空気を読まない。

 周囲の視線を物ともせず椅子に座りこみ、タバコを吹かすのだった。




◆◇◆◇◆


 やがて飛空艇が、サルファー砦の傍の村に着陸した。


「先輩? 村、ものすごく(さび)れていますね……」

「近くの砦がずっと交戦状態だからね。避難してるんだよ――正しい判断だよ」


 村は閑散としていた。

 ほとんどの者は、すでに避難していたのだろう。


 砦に補給物資を運ぶための、最低限の人数しか残っていないようだった。

 残っている村人の表情は、ものすごく暗い。


「そうですね。砦が落ちたら、どれほどの被害が出るか……」



 まるで葬式のような空気。

 重たい空気を払拭するように、リリアンが声を張り上げた。


「私たちが来たからには、もう大丈夫なの!」

「たったそれっぽっちの人数で、何が出来るって言うんだ……?」


 村人たちの胡乱(うろん)げな視線を受けても、


「ここに居るのは、腕利きの冒険者の集まり――災厄の竜を倒した救世主であるイシュアも付いてるの!」


 リリアンは励ますように、言葉を続けた。



(こういうところは、本当にリリアンの凄いところだよね)

(……いや僕の名前を出しても、逆効果だと思うけど)


 リリアンの声は、不思議と心にスッと入っていくのだ。

 どん底に居る者でも、再び立ち上がらせる不思議な力があるのだ。



「ええ!? あの伝説のイシュアさんが、ここにいるっていうのか!?」

「ようやく希望が見えた! この子、四天王を撃退したリリアンだよ」

あの(・・)勇者パーティか! まさか生で見られる日が来るなんて――生きててよかった!」


 村人たちが、俄然として活気づく。


「飛空艇に物資が積まれています」


「この村を守るためだ。出来ることは、なんでもやらせてくれ!」

「おっしゃ! 援軍に来て下さった方ばかりを、働かせる訳にはいかねえ!」


 あっという間に村人に活力を与えたリリアン。

 そんな様子を、イナーヤ隊長は憎々しげに睨みつけていた。



「ふん。それなら貴様らはここで、積み荷を降ろすが良い。我々は先行部隊として、サルファー砦に向かうことにしよう」

「ま、待ってください。ライムさんも、受け入れ準備や作戦があると言っていました。そんな勝手なことは――!」


「うるさい! 冒険者ごときが、気安く口をきくな!!」


 僕が制止するも、イナーヤ隊長は聞く耳を持たない。



「しょ、正気ですか!? どう考えても、冒険者の言葉が正しいです」

「ライムさんは現場を見ています。今は、その言葉に従いましょうよ」


「うるさい、うるさい! 逃げ帰ってきた臆病者の団員に従う義理がどこにある? 逆らうなら王宮に帰ったら、貴様らは首だ!!」


 止めようとする団員も居た。

 しかしイナーヤ隊長は、まるで聞き入れる様子もなく、つばを吐きながら怒鳴り散らす。

 そして不本意そうな団員を引き連れ、サルファー砦に向かうのだった。




「本当に申し訳ありません。中央騎士団がここまで酷いとは――」

「ライムさんも、苦労してそうだね……」


 所属が騎士団である以上、ライムさんは面と向かってイナーヤ隊長に逆らうことも出来ないのだろう。

 それでもこちらに残っているのは、彼なりの意思表示か。



(というか中央騎士団の面々は、現場を経験したことがないとか言ってたっけ……)

(――大丈夫なのかな?)


 今更ながら不安に思うが、


(まあイナーヤ隊長も、自信満々みたいだったし)

(下手なことにはならないよね?)


 だから僕たちは、今ここでやるべきことをしよう。

新作はじめました。


『外れスキル持ちと蔑まれて実家を追放されたけど、誰にも【チート・デバッガー】の真の力を理解出来なかっただけでした~アイテムも魔法も取り放題で最高に幸せなので、僕を追放した実家はそのまま滅んでください~』

URL:https://book1.adouzi.eu.org/n0516gv/

(下にもリンクあります)


現在、ハイファンタジーでジャンル別2位です!

面白いと思うので、読んでいただけると嬉しいです~!

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