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【翻訳英語版③巻発売】悪役アリス  作者: 来栖千依
第四章 闇の呼び声

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154/193

† † めざわりな女の子 † †

 月も出ない真夜中の古城。その暗い最上階で、一人の悪魔が外を見下ろしていた。


 本性を表せるのはここだけだ。

 大勢の人間がいる校舎や寮の近くでは、変身が解けないように気を張っている。

 寄宿学校の日々は繰り返しだ。少年たちは卒業した分だけ入学してきて、同じ制服を着て、同じスケジュールで数年過ごし、少しだけ成長して卒業する。


 どうせ戻っては来ないのだから、悪魔はしばらく騙せればそれでよかった。

 だが、今年は困った生徒たちがいる。


 特に目立つのが、アーク校始まって以来、唯一の女子生徒アリス・リデルだ。

 彼女が藪から運動場に出てきた蛇みたいに男子の好奇心をせっついたせいで、乱暴未遂事件まで起きた。


 女の子と蛇は似ている。卵をよく食べるし、腹の底では何を考えているのか見通せない恐ろしさがある。


 アリスの取り巻きも変わっている。

 双子の転校生、ダムとディーは彼女以外には敵意を剥き出しにしている。

 彼女と同じ船でやってきた新入生のダークとジャックは、トップハットとベレー帽をいかなる時でも手放さない。

 そして、養護教諭に収まったリーズという掴みどころのない男も、気味が悪い。


『罠にかかった四人のうち、いったい誰がナイトレイ伯爵なのか……』


 外れが三人。当たりは一人。

 悪魔はそう思っていたが、アリスの堂々たる態度を目にして、新たな考えが頭をよぎった。


『まさか、あの少女こそが、ナイトレイ伯爵なのか?』


 確かめなければならない。手遅れにならないうちに。

 悪魔は大きな翼をばさりと広げて、開け放った窓から夜空へ飛び出していった。




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