長編 わたしは、この街で。
女優を目指す主人公が、東京という街で"生きてゆく"物語。
恩師といえる人間が、矢久には数名いる。
傲慢な私としてしては、恩師=尊敬する人というわけではないのだけれど、矢久を一瞬でも愛し、気にかけてくれた人が、人生の中に数名いる。
その中の一人をモチーフにして、男・女という難しい関係を超えた師弟愛を描いてみたかった。
もう、会うこともなくなった方ではあるのだけど、私は彼に対する感謝を忘れないし、もし、この作品がいつか世に出ることがあるなら、ぜひその恩師の目に留まってほしいと思っている。
「あの時はほんとうにありがとうございました」という気持ちを伝えたい。
もしドラマ化みたいなことがあれば、ぜひその恩師に、この役で出演していただきたい。
……まぁ、実際には引き受けてくれるはずないだろうし、この登場人物が自分をモチーフとしていることを知ったら、本人「お前ふざけんな」と怒り出しそうではあるけど(笑)。
とはいえ、主人公は"彼"ではない。東京に出てきたイナカモノの少女。
流行り?の、成り上がり?……を描きたいわけじゃないので、しっかり差別化を計ったシナリオとなっている。
ちなみにイナカは、具体的な場所を語らなかった。最近はこういうのを詳細に描いて、言葉とかも忠実に方言を語らせるのが主流だけど、私は実はそんなのは重要じゃないと思ってる。
イナカは、あくまで"イナカ"であればいいんだよ。具体的地域を語るのは、その地域のことが語りたい場合だけでいい。物語の本質は、そこではない。




