長編 胡蝶の魔法使い
仲間たちに命を賭けた女魔法使いの物語
前項『主人公無き戦争の物語』が終わったあと、衝動的に描き殴って、完結まで一気に突っ走った物語、8万文字が三週間足らずで埋まった。
この作品までに、何作を描いただろう。このエッセイ?に掲載されている順番が描いた順番ではないし、そもそも全作品を書いているわけではない。とにかく、描いて描いて描き続けた。
しかし報われない。決して報われることがない今までを思ったら、彼女のことが描きたくていられなくなった。なんというか、おちゃらけた導入からは想像もつかないほど、魂が啼き続けている作品。
こういうのってさ、本当にハングリーな時しか描けない気がする。きっと夢を諦めても、もう描けない。自分が完全に枯れるまでに、描き残せてよかったなと思える。
基本、魔法概念のなかった『主人公無き戦争の物語』と比べたら、まるでゲームの舞台のような剣と魔法の世界。世界を救う冒険者たちを描いているが、彼らを取り巻くのは輝かしい栄光ではまったくなく、辛い現実だ。
だいたい、ろくなサポートもされない冒険者が世界を救うのに、明るい道が通れるはずもない。そして男二人に女一人パーティに、男女のもつれがないはずもない。
それをすべて飲み込んで、かけがえのないパートナーを形成していく様に、全米が泣く(大笑)。
小説の構造として、二層構造となっているが、メインを走る方のストーリーの大元の発想は、大昔やってた立て見下ろし型のシューティングゲームを小説化してみようというものだった。だから基本的に話的には縦一線のベクトルが形成されている単純な構成となっており、よく言えば分かりやすい、悪くいえばひねりはない。
しかし、だからこそ伝えたいことがストレートだと思う。
矢久の、裏代表作。一番好きかもしれない。




