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短編 星、散らす時

 敗国の街に、一瞬輝いた光の物語


 以前、スクウェアエニックスがシナリオライターを募集していたことがあり、本作は「感動できるプロットを送れ」という課題のに則って書いた、概要だけの物語だった。

 スクエニにとっては感動できなかったようで不採用。採用作品が知りたい。どれほどの感動を彼らに与えたのだろう。

 ……というわけで、この作品というか構想は長く塩漬けになっていたが、とあるきっかけで思い出されることとなり、9000文字の短編として起こされた。


 戦後の荒廃し尽くされた街に投げ出された時の人間の感情って、きっと普段ぬるま湯に漬かっている人間たちの思うこととは全然違っているのではないかと思う。極限の中で芽生える、人間としては美しすぎる献身さ……そういうものを表現したかった。

 そして人はその美しさに触れた時、どう思うのか。どう成長するのか、いや、しないのか……。

 黒澤明作品『生きる』のコンセプトと同じだと思う。その作品を意識したわけではないが、私はこの作品を描いて、その美しさを目の当たりにした少年が、どのように成長していくのかを"描かない"ことによって、問うてみたかった。

 この話が本当に感動できるかはきっと、その少年次第なのかもしれない。

 なににせよ、ヒロインの心のきれいさに胸が透く感性を持つのであれば、この物語の情緒を感じることができるんじゃないだろうか。


 ちなみにこの作品も『~響臆~』同様、MVミュージックビデオを意識した作品だったので、ラストシーンのビジュアル面が絵になるよう心がけた。きっと絵にしたらとてもきれいなんじゃないかと思う……。

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