短編 しまもよう カモメの逝きし 空に見え
現代の鹿児島に昭和20年の光景が見えたところから始まる姉弟の物語
こういうのを一回描きたかった。そういう衝動で描いた作品の一つ。9000文字。
ちなみに9000文字というと原稿用紙で大体30枚くらいとなる。そう聞くと意外に長く感じるね!
衝動もそうだが、とある短編コンテストに「しまもようという言葉をキーワードに物語を創れ」というものがあり、それに乗ったものだった。締め切りが8月10日だったのかな?……"だから"、戦争モノを描いたと記憶してる。
記憶では「タイトルに"しまもよう"という文言を入れて……」とあった気がするのだが、大賞とった作品にその言葉は盛り込まれていなかったという……俺の記憶違いなのか……。
本作は特攻をテーマにしている。あのゼロ戦で敵艦船に突っ込んだヤツ。
考え方は人によるだろうが、あれほど、後の世が振り返ってロマンを感じてしまうものがあるだろうか。
いやいや、ロマンで語ってしまってはいけないのかもしれない。が、時代の極限に追い詰められた男たちの物語として、あれほど魂を揺さぶられる出来事もない。
「馬鹿だアホだ狂気だ」とその時代を言い捨ててそっぽを向く人間と、それをやり玉に挙げて物語を描いてしまう人間は、個人的には何も変わらないと思う。結局、その時代、その空を飛んだ人たちにしか、本当のことなど語れないと思うからだ。戦後世代が好き勝手欠席裁判をしているに過ぎない。
なににせよ、特攻に至る様々な感情は、きっと私だけじゃなく、多くの人の心を掴んでしまう物語なのだと思う。
日本人。今の日本人が戦争で追い込まれてあんなことやれるか……
……実は、私は、やれる(やってしまう)と思っている。それが日本民族だ。まだ、そんなのは持ってる気がする。
タイトルとなっている俳句だか川柳だかは、昭和二十年が見えてしまった"姉"が結末に読んだものだが、この時の"しまもよう"は"虹"。"カモメ"は"ゼロ戦"を表してる。
いや、思うんだけど、こういう時にうたのセンスとかあると、かっこいいなと思うんだけど……。まぁ、作中でも素人が詠んだうただから、いいのかな……。




