長編 電脳 ~ Fighting Infection ~
電脳世界の中で戦うデータたちの物語
言ってみれば、デジタルデータの擬人化というべき作品。悪意のあるデータ(ウィルスなど)をシャットアウトするセキュリティプログラムが人となって戦っている。今なんてアイディアなど出尽くしてるだろうから大して個性的じゃないかもしれないが、オカマの剣豪とか、めちゃめちゃかわいい男とか、二十歳くらいの容姿で赤ん坊とか、時代考証もバラバラな奴らが脇を固めている。
大昔入っていた、バイト先で気の小さい店長にフラストレーションをためていたことを、主人公の直近の背景として描いていたりするが、基本的にはライバル同士のぶつかり合いがメインテーマとなっている。まぁ使い古された構造をしてるとは思うがこぎれいにまとまった作品だし、なかなかかっこいい世界が描けてるんじゃないだろうか。
ジャンルはSF。11万文字完結作品。
矢久は戦闘描写は自信があるほうだが、例えば重力とかの影響を減らしたり、物理的法則を減らすことができれば、よりスピーディでリズミカルな戦いができるかなという発想から、そういうのを試す場となった。
が、どんなにルール無視の戦いをさせたいといっても、人間からかけ離れるほどに、それを読者に説得するための描写が増えてしまうため、文章のリズムとしては重いものとなることを知り、結局ドラゴンボールでやってたくらいの、人間が人間の形態のままできる程度のことに限られることとなった。(まぁほら、瞬間移動くらい速く走ったり、めっちゃ跳んだりとか)
読者がまったく想像し得ない戦いを表現するのは、文字だけの小説作品は不利かもね。戦闘中でなくてもどこかで長い説明が必要になる。
ちなみにインターネット網と端末の内部世界を描いた作品だが、まったくその辺の知識に疎いので、理系の友人にだいぶ知識を授けてもらった。




