18話 善郎の戦い2
紀ノ川で敵を撃破した後、敵に退路を塞がれたため、善郎はこのまま戦うか、撤退するかの決断を迫られていた。
「ここは十ヶ郷に戻りそこの敵を倒すべきです。」と三好義継は進言した。
それとは逆に池田勝正は、「いや、ここは攻め上がる方がいい。我々は一度紀ノ川を渡ってしまった、それを渡るのは時間が掛かる。その間に背後を付かれたら我々は終わりだ。」と進言した。
「確かに両者の主張には、一理ある。池田殿の言う通り、ここで我らの背を敵に見せるのは危険過ぎる。ここは、攻めるとしょう。」
こうして善郎軍は、南下し敵の本拠地である雑賀城方面に向かって進軍を行った。
そしてその進軍を止めと雑賀衆は雑賀城より少し離れた平原で迎え撃った。
善郎軍は6万、雑賀衆は1万5000ほどの兵力で、数で善郎軍は優勢、しかも善郎軍は多くの竹束を配備しているため、雑賀衆の強味である、鉄砲が意味をなさなくなっていた。
それによりこの戦いでも善郎は敵を撃破したが、いまだ善郎に協力する者が現れなかった。
「先の戦いとは違い、今回はここまで雑賀衆の結束が固いとは、予想外ですな。」
こう愚痴を溢す勝正に対し善郎は、
「敵は、裏切りの後の報復を恐れているのだと思います。今回我らが紀州に来た理由もそうであるように、だから誰も我々に味方するは、まだ現れない。たが、これからより多くの勝利をあげれば味方する者が現れる。だからそれまで耐えましょう」
そして善郎軍は雑賀城に向かいそれを包囲したが、雑賀城で頑強な抵抗にあい、中々落とせず時は過ぎ、そうすると敵の援軍がやってきたため、善郎軍は雑賀城と援軍との挟み撃ちを恐れて、軍を二手に分け片方を三好義継に率いさせ、敵の援軍を迎え撃たせた。
だかしかし、善郎軍に弾薬が不足するという問題とこれまで勝利して来たが、その代償として善郎軍は少なくない損害を出しており、まだ余力はあるが、時間が経つにつれ少しづつ追い詰められて来ていた。
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一方、三好義継率いる別働隊は敵援軍である鷺森御坊の僧兵たちを迎え撃った。
そして雑賀城から三里(約12キロ)離れた場所でぶつかり、それを撃破した。
そして鷺森御坊まで追撃し、鷺森御坊を攻め落とした。
鷺森御坊を落したあと義継は、残った本願寺派の寺を脅しをかけ、それで抵抗する寺があれば義継は、それらを襲撃していった。
これらの義継の活躍で紀州本願寺派の寺は善郎軍に屈服した。
だがこれでも紀州雑賀衆や紀州一向一揆はまだ頑強な抵抗をしていた。




