プロローグ
中学2年の飛井善朗は公園のベンチに座りため息をつく。
「習い事行きたくねな~。なんで今のご時世に居合いとか合気道を習わないといけないんだ。」
善朗は幼い頃から、居合いと合気道を習い尚且つかなりの腕前でよく大会に出ることがあった。
そんな彼だが毎日の様に、居合いと合気道をやっているため友だちと遊んだりすることができずこれらの事を辞めようと思っているが、親がそれを許さない。
何故かと言うと彼の両親も居合いと合気道をやっておりしかもかなりの腕前である。それなので息子である善朗にも習わせたのだが、善朗はうんざりしていた。
「しかも帰ったら歴史の授業を聞かされるのか。」善朗はまたため息こぼした。
歴史の授業というのは、善朗の両親が筋金入りの歴史マニアな為、毎日の様にメジャーな話からマイナーな物までを善朗に聞かせたり孫子などの兵法書、君主論や韓非子などの帝王学の書を丸暗記させたりしているが、善朗は興味がないためかなりうんざりしている。
これも善朗が幼い頃からやっており、そのせいで歴史に興味がないのに歴史をかなり得意としている。
「こんな事覚えても何にも役に立たないのに、百歩譲って孫子や韓非子は役に立つと思うが信長公記や太閤記は絶対に役に立たない」
善朗は家に帰りたくないと思い彼は、この公園で時間を潰そうと考え、ベンチに横になった。
すると善朗は日頃の疲れが出たのか、眠気に襲われ寝てしまった。
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善朗は目を覚ますと驚いた。
「なんだここは!さっきまで公園にいたのに!」
善朗が驚くのも無理はない先ほどまで公園にいたのに今は何処かもわからない森にいるのだから。
だが善朗はすぐに冷静になり状況確認を始めた。
「まずは人を探さないと」そう言い善朗は歩き出す。
そして歩き出してから数時間が経過し道を見つけた。
するとやや遠いところに人影が見えたので善朗はそっちの方に向かった。
「あの、すいま..!」善朗はそれを見て驚いた。
なんと刀を持ってボロい和服を着た3人組の男たちが1人の同じく和服を着た老人を襲っていたのだ。
普通の人ならドラマの撮影と思うだろうが、善朗は瞬時に男たちが持っているのが真剣だと気づき
(助けないと...)と思い飛び出した。
「やめろ!!」と叫んだ善朗に男たちは振り返った。
「なんだテメー邪魔すんじゃねー」
「お頭あいつの身ぐるみも剥ぎましょうぜ」
「そうだな。お前らヤッちまえ」
「ヘーいっ!」
そうして3人の男たちは善朗に襲いかかった。
普通の人ならパニック起こすしそもそも声も掛けないだろう、だが善朗は違った。
幼い頃から居合いと合気道を習い大会に出る事のできる腕前を持ち、かつて似たような経験がある善朗は普通の人よりかは冷静だった。
「死ねーこの餓鬼ー」と襲ってきた男の1人の刀を避け即座に側面にまわり柄を握り刀奪うと同時に男をほかの男に投げ飛ばした。
「なにやられてんだアホが!」
「すんません、次こそぶっ殺してやります!」
そしてまた男が襲ってきたが善朗は避けた。
しかし善朗の心は追い詰められていた。なぜならかつて似たような経験をしているが、本当の意味で殺されかけたことは一度もなかったからだ。
今善朗の行動は、ほとんどが条件反射である。
(どうしよう、刀を奪ったけどこれじゃ殺される。なんとかしなきゃ。殺る前に殺るしかないのか。)と中学生らしからぬ事を考えながら攻撃を避けるというスゴ技を行っていた。
そして師匠の言葉が頭をよぎる。
『善朗よ、戦いに躊躇いは必要ない。躊躇ったら負けてしまうぞ。だから決して躊躇うな良いな』
(そうだ、躊躇うな、殺るしかない。)
男の一太刀を避けると同時に男の頚動脈を一瞬で切断した。それ見た男の仲間は先ほどまで避けることしかしていなかった善朗が急に攻撃して仲間の1人が殺されたことで呆気にとらわれていた。
しかしそれが男たちの命取りとなった。
「やりやがったな糞が――」と男が言い終わる前に残った2人の男も斬り伏せた。
善朗は冷静になると初めて人を殺してしまった事で動揺してしまったが、本来の目的を思い出し老人のもとへ駆け寄った。




