登場人物紹介(第八十一話終了時点)
登場人物紹介
(現代)
-■-◇-■-◇-アストリア-◇-■-◇-■-
---★-☆-★-傭兵ギルド関係者-★-☆-★---
●フアン・レイナー
ギルドの事務員にして「野良」のマナ使い。
天地崩壊の最中、神の加護を持たない身で、平然としていられたことから、自らも『ウツロ』であるのでは、という疑念を抱いている。
関係者に見つかると即連行の人その1だが、
話の進行に従って、抱えているものがばれると即連行される先が徐々に増えている。
自覚があるだけまし。
『メルギニア』では、野良魔術士狩りの魔術士として秘密裏に行動していると法螺を吹き
公の場で魔術を使ってもいいわけ出来る立場を手に入れた。
しかし、元が秘密裏に行動している前提なので、そこまで身軽になったわけでもない。
ばれるとやばい人たちに、ばれても良くなった、という程度。
そもそもそれとは別の爆弾(『ウツロ』疑惑)を抱えることとなったため
身軽さという意味では、むしろ重くなった可能性まである。
くすみと煌めきを合わせ持った白銀の髪で襟足は首筋に触れる程度の長さの髪。
日に焼けた石のような少し色のくすんだ白い肌と黒い瞳。
身体の所々に小さく紅く爪で引っ掻いたような跡がある。
心配性が振り切ったせいで、他人の言葉を素直に信じることが出来なくなったことが原因で
重度の人見知りのような状態になっている。
本当の人見知りとは異なるため、「仕事」と割り切ればなんとかなる。
また、職場(傭兵ギルドの事務)を思わせる雰囲気の相手とは
初対面でも比較的普通に話せることが分かった。
●ベアド村のレツ
フアンの外付けスピーカー兼安眠枕。
抱き枕ではない。比喩表現であり、物理的に枕にしているわけでもない。
自然を相手にすることが多かったからか、
両親の教育の賜物か、
自分の目で見たものしか信じない、
物事を色眼鏡で見ることをしない性格。
そういう感情をフアンよりもずっと素直に表に出せるため
周りはずいぶん救われている。
そういう人の機微を計算出来ないからこそ、信頼されている(褒めてる)。
少し黒味を帯びた金色の短髪で、陶磁器のような白い肌と藍色の瞳をしている。
人や獣なら相手に出来るが『ウツロ』には無力な狩人と思われていたが、
教会地下の戦闘では、『ウツロ』であるテルたちを牽制出来ている。
その理由について、現在本編上では不明のまま。
フアンが色々『メルギニア』で法螺を吹いているので、
『アストリア』に戻った後が怖いなぁ、と密かに思っているが
言ったところで手遅れなので黙ってる。
●エレノア・リットン
『アストリア』の西部、『ゲラルーシ』山脈の麓にある村セマ出身の元『アストリア』国教会の治癒術士。
現在は野良の治癒術士。
女神の力「神力」を扱うことの出来る聖女。
関係者に見つかると即連行の人、その2。
ちなみに、彼女が『アストリア』で指名手配されているかどうかは定かではない。
おそらくそうであろう、とエレノア達は考えているだけである。
しかし、一度行方不明になっている以上、何事もなく『アストリア』の教会に戻ることは出来ない、という点は変わらない。
本人達は、指名手配されていると思っているので、日頃からフードを被って行動していることが多いのだが、食事の最中などは面倒がって外していたり、「お勤め」中は村人の警戒心を煽らないように外していたり、とフードを外して行動していることも多く、エレノアとフェリだけで行動している間は、身を隠す、という行動を徹底できていなかった。
その間は、レツとフェリが周囲を警戒しており、本人はそんなことになっているとは気づいていない。彼女の周りの人が彼女にやたらと過保護だったり、やたらとリスク避けたがる人見知りだったりとかのパーティーだから、エレノアの危機意識が人並みのままなのでは、という気がする。
実家は宿屋を営んでおり、六人家族。
三人兄妹の真ん中で、長女。上に兄が一人、下に妹が一人いるが、兄は家業の宿を継ぐために、修行のため家を出ており、ほとんど兄の記憶は無い。
幼い頃、母親がかかった「石化病」を救うため、フェリと共に特効薬を探しに向かう最中、フェリが大けがを負ったことが原因で治癒術と神力に目覚める。
しかし、当時は「神力」の存在を知らず、ただの治癒術士として教会に「保護」されることとなった。
比較的若い時分に教会に身を置くことになったことから、色恋に対しては純情で、ある種の憧れを持っている。夢見る少女。フェリはそんなエレノアを生暖かい目で見守っている。
人の命が失われること、自分の手の届く範囲の命を救うことに強いこだわりを持っている。
幼い頃に、母親を「石化病」で失うかもしれないという強い恐怖心に襲われたこと
それをきっかけに、母親を救いたいという自分のわがままにフェリを付き合わせ、その結果フェリが命を失いかけたこと、
『アストリア』の治癒術士として「お勤め」をしている先の村で、(不可抗力とはいえ)顔見知りの少女を病から救うことが出来なかったこと
そうしたことの積み重ねが、彼女の中で「罪」として重なり、彼女はそれらに対して贖罪の念を抱いているのだが、彼女自身はそうした自身の感情に気づかずにいる。
背中まで届く黒髪は、普段はローブの中にしまっている。
●フェリ・クラム
治癒術士エレノアの付き人。
エレノアが治癒術士になるきっかけとなった少女である。
治癒術に目覚めたことで幼くして教会に「保護」されることになり、結果的にエレノアと家族を引きはがすことになってしまったことに責任を感じている。
治癒術士自体が貴重な存在であるため、治癒術士の付き人も誰でもなれるような職ではなく、特別な職業である。
元は一介の旅商人(今は商隊を持つまでになったが)のガレル・グラムの娘であり、家柄も一平民に過ぎなかった彼女は、本来なら治癒術士の付き人になることは不可能に近かった。
しかし、旅商人の娘として日頃から身につけた様々な薬草に関する知識を元に、薬学についての学を修める傍ら、父親の口利きでいわゆる「付き人」としての技術を学ばせてもらい、晴れて付き人の育成学校への入学を認められる。
その後も紆余曲折あり、様々な人の手助けを受けてエレノアの付き人となるのだが、当のエレノアは比較的最近までフェリが、自らが治癒術に目覚めたきっかけとなった少女であることを知らなかった。
薄い茶色の瞳と肩で切り揃えられたアッシュブロンドの髪。
『ウツロ』が引き起こす天地崩壊を収めることの出来る女神の「神子」と思われるが、フェリ自身は天地崩壊を収めた時の記憶はない。その間、知らぬ男性と会話をしていた記憶はあるものの、それもただ「見ていた」だけであり、自らの意思で会話していたわけではないとのこと。
●ヴェッティ
傭兵ギルドのギルド長。『アストリア』の梟。
自分の背後に立つ物理的な気配から、世の闇などという見えない何かまでをも見通す目を揶揄してのあだ名。
他組織からの嫌われ者。
他国に派遣したギルド員達は、『アストリア』の梟の下で働いていると話すと、大抵同情的な眼差しで見られる。
共通の敵を作ることで仲良くなれるということで、他国で活動する傭兵たちが、各地でなじみやすくなるために敢えて憎まれ役を買っている。などという殊勝な性格でもなく、おそらく好きでやってるだけ。
だからこそ、頼りにされている、という一面もある。
---★-☆-★-赤い牙-★-☆-★---
●「赤い牙」の団長
癖の強い連中をまとめている、おそらくもっと癖の強い人。
と、思わせておいて意外とまともな可能性もある。
アルが普段から突っかからない相手なので、
戦闘能力は高くない、かもしれない。
●アル
『アストリア』の魔術教会に属する正規の魔術士だが、その戦闘能力の高さから単独行動が許容されているただ一人の魔術士。耳の下まで伸びた黒髪にこぼれて落ちそうな大きな蒼の瞳。筋の通った鼻と小さい桃色の唇をした童顔の26歳。
低音は少しでも大人っぽく見せようとする彼なりの努力の証。
身分関係なく不遜な態度も、少しでも自分を大人っぽく見せようとした結果だが、上手くいっているとは思えない。幸い、実力があるため、そんな態度もなんとか見逃されている。
魔術協会に属しているが、単独行動を許容されている実力派魔術士。
非公式ではあるが、作中では最高クラスの戦闘力を誇る。
魔術のほかに体術にも優れている。
自分の今の実力を測ることに貪欲なため、周りからは、戦力として頼られつつ、すぐ力試ししたがる点では煙たがられている。
彼がそんな風になった理由だが、彼が一目ぼれした女性(エルシェの傭兵)にある。
彼女の理想の人物というのが、自分よりも体術に優れ、いざというときに守ってくれる人、
自分と共に居て自分より先に命を落とさない人、と聞いたため、以来自分磨きを欠かさないのだが、
元々高いレベルにある彼女を上回るには、彼女と同等以上の使い手と試合うしかなく、
結果、力量のある相手なら誰とでも戦ってみたい、という風に変わってしまった。
もはや呪いの域である。
本編では真面目な役割しかないはずだが、こうした欄外では毎回からかわれるというのも、もはや呪いの域にある。
お約束、とも言う。
●ウィル
傭兵団「赤い牙」の団員。戦士。29歳。
赤茶けた短髪、蒼い瞳。
鎖帷子に鋼の胸当てと太刀を持つ。
弱きを助け強きを挫く、を軸にした行動をとるが、本人はそういう自覚はない。
レツから「契約にない仕事はやらないからな」、と言いそうと思われているが
人情に訴えかければ押し負けるのがウィル。
そういう点でドライなのはティオ。
●セリカ
傭兵団「赤い牙」の団員。戦士。○○歳
背中まで届く金の長髪を後頭部で丸く纏めている。
切れ長の青い瞳。
片刃の斧と槍が先端についたハルバードを獲物とする。
厚めの布地の服の上に鋼の胸当て、鉄の肘、膝当て、小手を装着する。
全体的に軽装。
可愛いもの好きで、特に尻尾フェチ。
多分、望星隊のミヤとは気が合う。
ティオの尻尾のようになった後ろ髪でもいける口。
お姉さん肌。
「赤い牙」のメンバーの中では比較的出番が少ないが、彼女を出すと収拾がつかなくなるため、ではない。
●ティオ
傭兵団「赤い牙」の団員。弓士。
見た目と仕草は可愛らしいが本人にそんな自覚はない男の子。17歳。
革の肩当と脇が自由になる皮鎧。
普段は木の弓を使うが、戦況によって強弓を使用する。
肩に少しかかる程度の黒髪を首筋辺りで縛っている。
大きめの黒い瞳。
見た目の可愛さとは裏腹に上半身は脱いだらすごい。
強弓を引くため特に腕、肩、胸筋、背筋が鍛えられている。
嗅覚、視覚、聴覚に優れた天性の狩人。
だが、狩人だけで食べていくには兄弟が多く、
家族を養うために稼げる傭兵になった。
「稼ぐ」ことに貪欲であることから、契約関係には厳しい。
昔「稼ぐ」ことだけに目がいきすぎて、痛い目にあったから、らしい。
直接人を手にかけることは苦手。
弓は自分が人を殺した感覚が少しでも薄くなるため使用
なるべく遠距離から狙撃ができる能力を鍛える。
具体的な数値は定義しないが、レツよりは遥かに技量は上
●デイル
傭兵団「赤い牙」の団員。斥候。31歳。
獲物は小剣。両手に一本ずつの2本使いも可能だが、通常時は1本のみ。
また腰には投擲用の小型ナイフを数本とスリング、いくつかの石礫も持っている。
身軽さ重視のため、革鎧と小手のみ。
黒髪を後頭部の高い位置で縛り、馬の尾のようにまとめている。
そのため、彼のこの髪型があだ名となって
「デイル」と呼ばれているだけで、
本名ではないのでは、という噂も。
真実を知っているのは、団長のみ。
妻帯者で5歳と3歳の子供がいる。
子どもがいるからというわけではないだろうが、面倒見が良い。
後輩を可愛がる、といった感じのウィルに対し
子どもを育てる、といった感じのデイル。
---★-☆-★-魔術協会関係者-★-☆-★---
●魔術協会の協会長
フアンが魔術士であることを知る一人とされている人物だが、当然フアンは面識などない。
サビヌスの下に訪れた際、フアンはギルドの使者として訪れているため、
仮にサビヌスが「直接問い合わせ」するとしても、傭兵ギルドのギルド長の方だろう
という思惑があって名前を出している。
サビヌスが『アストリア』の魔術協会の協会長と知り合いだったらどうするのか
というところまで考えが及んでないところはまだまだ未熟。
ちなみに、実際の『アストリア』の魔術協会の協会長は
魔術の研究に没頭しがちの困ったちゃんで、
外との交渉は大体副会長がやらされている。
傭兵ギルドのギルド長とは別の意味で、扱いの難しい長。
---★-☆-★-教会関係者-★-☆-★---
●エレノア
●フェリ
傭兵ギルド関係者を参照
●シアン・レイナー
フアンの父親。アストリア教会所属の治癒術士。
フアンが幼い頃に『ウツロ』と思われる黒い靄に襲われた事件の中で、フアンを救おうとした母親が命を落としたのを見届けた後、フアンの復調を待たずに教会に戻ったとされるが、失踪。
---★-☆-★-『アストリア』の人々-★-☆-★---
●コオリ村の人々
●アルとミア
コオリ村の子ども。ミアの死によって感情を抑えられなくなったアルが魔術暴走を起こしたことで、フェリは大けがを負い、怪我を癒やしたいと望んだエレノアは女神の声を聴くことになる。
このアルは「赤い牙」のアルとは別人。
●ベアド村の人々
●セナ・レイナー
フアンの母親。故人。
フアンが幼い頃に『ウツロ』と思われる黒い靄に襲われた事件の中で、フアンを救うために命を落とす。
●ブリック
レツの父親。ベアド村の狩人で、レツとフアンの狩人の師匠でもある。
唯人。
長年の狩猟の経験から、相応の知識と技術力を持っており、
弓の腕は「赤い牙」のティオには及ばないものの、レツたちよりは遙かに上。
弓単独の腕前という観点ではティオに劣るが、
本職である「狩り」の腕前だけで言えばティオを凌駕する。
具体的には、気配を消す技能や、自然に紛れる技能に始まり、
森や山において獲物を追うために必要となる知識と技能などがそれにあたる。
そのため、彼が森や山岳地帯において掃討戦に参加したならば、
「赤い牙」の他の誰よりも優秀な狩人となるだろう。
一方で、彼がそれを望むことはないだろう。
特殊な能力ではなく、持ち前の経験から、ある程度死の気配を感じることが出来る。
●クロリンダ
レツの母親。本編では名前のみ登場。
狩りで家を空けることの多いブリックに代わり、
家のことや村づきあいなどを一人でこなしている。
ちなみに、ブリックは家事全般一通り出来るが、基本的にはやらない。
狩りをする以上、ある程度の料理は出来るが、
家のどこに調味料があるかは分からない。
持ち物の精査をするために、ものの整理は出来るが
家のどこに片付ければ効率が良いか、は分からない。
下手に家のものを触るとクロリンダに叱られるので、
彼は、家事は「出来る」が「やらない」。
適材適所、とでも思ってることだろう。
なお、レツの家にはレツ以外に兄が二人居たが、
既に独り立ちをしている。
フアンの回想の時点では、
レツの二人目の兄がちょうど家を出たところだったため
部屋のスペースも空いており
フアンを受け入れるための準備も大した手間ではなかった
という事情もある。
そうした事情はなくとも、
クロリンダはフアンを受け入れたとは思われる。
-■-◇-■-◇-メルギニア-◇-■-◇-■-
---★-☆-★-皇族-★-☆-★---
●皇帝シリウス・クラウディウス
4神期前に齢17歳で皇帝の座に着いた若き皇帝。現在は21歳。
前皇帝ペテルギウスと正妃ミルザ・オルムステッドとの子
流れるような金の髪に青い瞳を持つ。
白い肌に細身の体つきで、どこか儚げな印象を抱かせる。
しかし、その瞳は彼の倍以上の齢を重ねる選帝侯を前にしても気圧されることはなく、ただ全てを受け止めるかのように静かに揺らめいている。
前皇帝とは異なり温和な性格。
近接戦闘能力に至っては人並み以下だが、弓は得意。
芸術に高い関心を持ち、特に音楽に関心を持っている。
実務能力は人並みと思われていたが、それは事務処理の能力でしかなく
政務能力については誰も彼の能力を測れていなかった。
また、彼には魔術と異なる何らかの力を思わせる様子がある。
ここ最近は『メルギニア』の人間関係や力関係を引っかき回す(作者にとっての)厄介者。
●皇妹 メテオラ・クラウディウス
前皇帝ペテルギウスと第三妃テッサリア・カファティウスの子。20歳。
流れる金の髪も透き通るような青い瞳も現皇帝とは瓜二つで、その美しい容姿は彼らが確かに兄妹であることを窺わせる。
幼いころから文武両道であり、彼女が女性でなければ、と惜しまれている。
帝国の皇位継承権の規則から、彼女を推す勢力は存在しないが、彼女の持つ人脈に魅力を感じる者は多数存在する。
前皇帝が早々に亡くなったこともあり、政略結婚の先が決まらないまま今に至る。
嫁ぎ先の候補として『シェハサ』『アストリア』が挙がっていた。
彼女の母テッサリアは防衛大臣でありアンスイーゼン侯でもあるカファティウスの姉である。そのため、幼いころからカファティウスを知っており、彼のことを今も「クスト」と愛称で呼ぶ。
優秀すぎる故の悩みか、自らとまともに話が出来る相手に飢えている。
彼女の孤独は有名なのか、兄である皇帝シリウスにも揶揄されるほど。
彼女が好んでつける香料の元となっている百合の花言葉は「純粋」「無垢」「威厳」。
内乱後、皇帝から、叔父にあたるカファティウスとの婚姻を持ちかけられ、その意図を掴みかねながらも、受諾する。
●ペテルギウス・クラウディウス
『メルギニア』先代皇帝。
40歳の時に行った『キシリア』戦役の最中、突然の病に罹り戦陣にて病没。
五章では、先代皇帝、という表記でのみ登場。
父親アルニウム・クラウディウス共々苛烈な性格であったとされる。
---★-☆-★-皇族関係者-★-☆-★---
●皇妹の付き人 ユリア
二神期前の水の神節に、アンスイーゼン領でメテオラが保護した少女。
以来、メテオラの付き人として従っている。
突然ユリアを側に置き始めたメテオラに対して、何か特別な関係性があるのかと勘ぐるものもいたが、メテオラがユリアと接する姿と、ユリアの感情の起伏が少なさから、そうした噂も薄れていった。
ユリアの感情の薄さがメテオラにとって気を張らずにいられるのでは、という噂もある。
実際は、噂とは異なる意味で主従の関係と異なる関係性にある。
シリウスの、メテオラとカファティウスの婚姻の指示に続き、「ユリアはわたしが貰い受ける」という申し出にも感情を露わにすることなく、受け入れた。
灰色がかった金髪に、薄い茶色の瞳。
●セルブス
メテオラ付の御者。
遠出の際にも護衛も付けずに出歩いているのは、セブルスとマグダの能力が高いため。
元は皇帝直轄軍の部隊長を努めていた、らしい。
とある理由で軍を去ることになるが、その際メテオラに拾われた。
●マグダ
メテオラ付の侍従。
遠出の際にもお付きとして任じられる有能な侍従ではあるが、侍従頭ではない。
身体能力に優れており、なぜ侍従をやっているのか、と周囲には思われているが、本人は花嫁修業のためと嘯いている。
侍従頭の方はメテオラ不在時にも館を切り盛りさせるため、基本的にはお留守番。名はマリア。
---★-☆-★-選帝侯-★-☆-★---
●アンスイーゼン侯カファティウス
『メルギニア』国防省の防衛大臣。クストディオ・カファティウス。
短く切り揃えられた黒髪と、全てを飲み込むかのような黒い瞳。すらりとした体格の男。34歳。姉テッサリアとは4歳差。
「傭兵嫌い」の大臣として知られるが、彼が嫌いなのは統率の取れていない身勝手な武装集団であり、主に『メルギニア』の傭兵団を指す。
そのため、ポートガス内乱では、『アストリア』の傭兵団「赤い牙」を自身の手駒として扱っていた。
どこか姉に似た雰囲気を持つメテオラのことが少し苦手。幼い頃のあどけなさの記憶と、どこか奥底が読めない今の振舞いに対する落差に対する戸惑いもある。
4神期前の『キシリア』戦役での皇位継承以降、敵は多い。
また、『キシリア』戦役での動きから過大評価される節もある。彼の手はそこまで長くはない。
しかし、彼自身の手は長くなくとも彼の代わりとなる手は多い。
武人である先代、先々代の皇帝と違い、文人と言っていい今代皇帝に対し、
底知れぬ何かを感じ取っており、そこに期待をしている。
シリウスは彼の期待を超える未来を見せてくれているが、
彼の期待とは異なる未来も見せられて、戸惑っているところでもある。
●マグノリア侯ルクセンティア
旧『ポートガス』王国に連なる選帝侯であり、皇弟プロキオンの祖父にあたる。54歳。
白銀の髪、中肉中背で鍛えられた肉体を持つ。得物は長剣。
旧『ポートガス』王国の皇族の血筋であり、王国以前は『マグノリア』国の皇族でもあることから、100神期を超える期間、国の頂点に立っていた血筋である。祖父の代に『メルギニア』に併呑されて以来、マグノリア侯として、『メルギニア』の一臣下に甘んじている。
『メルギニア』自体を滅ぼす気はないが、間接的に『メルギニア』の頂点に立つべく、様々な謀略を巡らせる。
孫のプロキオンを皇帝とするための策も巡らせていたが、思わぬ事故がきっかけで全ては水泡に帰した。
しかし、張り巡らした策の一部は未だ生きており、そんな中現れた神子とその予言をきっかけに、『メルギニア』皇族に反旗を翻すことを決意、旧『ポートガス』王国に所属するマグノリア領、メラヴィア領、ロイス領の三領にケヴィイナ領を加えた四領による内乱を起こした。
短期決戦を目指し、帝都を直接攻めるための策を弄していたが、その悉くが偶然、必然、様々な理由で露見し、策を逆手に取られる形で初手を押さえ込まれることとなった。
戦で争った敵国には寛容な『メルギニア』だが、裏切り者には容赦の無い国である。
そのことを知っている彼は、皇帝シリウスが「なかったことにする」と言っても、カファティウス達五大選帝侯の手により、お家取り潰しの憂き目に遭うことが予測されたため、彼は最後まで抗い、すべての罪を自らが被るつもりでいた。
しかし、シリウスは彼のそうした立場すらも分かった上で、別の未来を示し、ルクセンティアはシリウスに膝を屈することにした。
●メラヴィア侯シューブリン
旧『ポートガス』王国に連なる選帝侯。
古くは『メラヴィア』国の皇族の血筋にあたる。
『メルギニア』の穀倉地帯であるメラヴィア領の領主。
内乱においては、マグノリアに継ぐ力を持つ領主であり、マグノリアとの血縁の近さから副盟主の地位に着く。
●バトロイト侯バビリウス
五大選帝侯の一人。
ポートガス内乱で帝都に進軍してくるルクセンティア、メラヴィア連合軍を押さえ込むため、帝都メラノの東側から、帝都南側、リシリア平原に展開する連合軍の側面を突く計画で進軍中に望星隊の第二遠征隊と会敵。
予期せぬ遭遇戦であり、『ウツロ』(望星隊)と違って大軍であることが足枷となり、部隊の再編に手間取る。
その結果、『ウツロ』(望星隊)の先制を許すこととなり、以降防戦を強いられる。
指示系統が整わぬ中、望星隊に魔術士部隊を撃破されると、以降は有効な反撃の手段がなくなり、軍は瓦解。軍隊の4割近くを失うという大敗を喫した。
本編中で触れられていないが、バビリウス自身はこの乱戦の中で兵を逃がすための指揮を執り続け、第二遠征隊第一小隊小隊長ヤマチ率いる部隊によって討たれている。
---★-☆-★-首脳陣-★-☆-★---
●帝都防衛長官 サビヌス
役職の格としてはカファティウスと同等。
国軍を預かるカファティウスに対して、直轄軍を含めた帝都防衛軍を預かるのがサビヌス。帝都の直接の防衛を担う分、旧来の力関係から言えば、帝都防衛長官の方が上なのだが、カファティウスは選帝侯でもあることから、普段から彼を立てた振る舞いをする。
サビヌス自身、権力を笠に着る性格ではないことも原因。
白銀に僅かに黒が混ざった髪に、漆黒の瞳をしている。
白銀であって白髪ではない、はず。
ルクセンティアとの対峙においても、彼が選帝侯であるため、彼を立てた言動をするが、政治的な立ち位置で言えば、サビヌスの方が上である。家格などを考慮して、敢えて一歩引いた立場を取っている。
人としての扱いにおいてはいくらでも譲るが、政治的に譲れない部分は譲らない。
硬軟合わせつつ、調整を図る交渉力が彼を今の立場に押し上げている。
魔術協会に対する一歩引いた立場も、魔術協会の歴史的な立ち位置と国際的な繋がりを配慮してのもの。
それゆえ、国外から訪れた魔術士フアンに対しても、敬意を示した態度を取っている。
『ウツロ』との数少ない交戦経験を持つ、という意味でも、貴重な人材という認識があった。
魔術協会の中にサビニアという同じ氏族の魔術士がいるが、元々『メルギニア』の魔術協会には以下の理由から氏族のものが多いため、さほど珍しいことではない。
・氏族は一般の帝国民と違い、初めての魔術の発現を安定的に行うことが出来る。
・魔術士であることは誇りであるため、魔術協会への報告がスムーズに行われる
・魔術協会の中でも安定的な立場でいることが出来る。
---★-☆-★-首脳陣関係者-★-☆-★---
●サビヌスの付き人
サビヌスの身の回りの世話やスケジュール管理、取り次ぎなどを行う男性。
サビヌスが家の跡取りとなった頃より付き人として側に居るが、
元々は先代の付き人も兼ねており、サビヌスとの付き合いは誰よりも長い。
『ウツロ』の調査のために『メルギニア』国内を回っていたガイからの手紙を
サビヌスに回すのも当然この人の役割。
普段優秀なのに、どこか感性がおかしいのか、
ガイからの手紙をサビヌスへの恋文だと勘違いしており
その勘違いは今も続いている。
誰か、教えてやれ、と思うが、
彼は優秀な付き人で、そんな内心を表に出すことなく接しているため
誰も彼の勘違いに気づいていない。
唯一、違和感に気づいたフアンだが、
おそらく彼ともう一度会うことはないだろうし、
違和感の正体に気づくには、フアンは未だ経験が不足しているだろう。
---★-☆-★-メルギニア帝国軍関係者-★-☆-★---
●インテリウス
『メルギニア』帝都防衛隊の魔術部隊長。
帝都メラノにおける『ウツロ』との攻防において死亡。
なお、『メルギニア』には、帝都防衛隊の魔術部隊以外にも、皇帝直轄軍、各領主軍に魔術部隊が存在する。
これらは魔術協会からの派遣という形を取っており、正確には『メルギニア』帝国軍には所属していない。
魔術協会は『ウツロ』を討つための組織という側面を持ちながら、それだけで組織を存続させていくことは困難であるため、国からの援助で組織を維持している。
魔術協会は、支援元の国が滅びると、組織の維持が困難になることから、技術支援という名目で魔術士を派遣している。
●サピエヌス
『メルギニア』帝都防衛隊の魔術部隊副隊長。
帝都メラノにおける『ウツロ』との攻防において死亡。
●サビニア・ウェスパシア・サビヌス
『メルギニア』帝都防衛隊の魔術士。
帝都メラノにおける『ウツロ』との攻防戦を戦い抜いたあと、ルクセンティアとストゥディウムとの口論の仲介をした成り行きで、サビヌスより一時的に魔術部隊の副部隊長に任命されることになる。
サビヌスの遠戚に当たるが、二人に直接の面識はない。
魔術士ということに対して誇りを持っている。また、魔術士という立場を利用して家格を上げたいという野望も持っている。
●アロガンス
日頃から自らの力をひけらかしていた、とサビニアに評されていた魔術士。
一斉に放った風の刃で大量の『ウツロ』の群れを討ったあとは、北側の建物に攻めてきた『ウツロ』の群れを、自らの魔術で全て駆逐すると豪語して、胸に風穴を開け倒れた。
●クレメンス
新たな魔術の研究に没頭しながらも、人付き合いの良かったとサビニアに評されていた魔術士。
日頃声を荒げる事のない彼が、上部から降り注ぐ風の矢から味方を守りながら、必死の形相で周囲に激を飛ばしていた。北大路を皇城に向けて部隊を下げてい以降その声は聞こえなくなった。
●アグリコラ
農夫上がりの魔術士。無学、浅学と謙遜しているが、植物への造詣は深く、周りからは一目置かれていた。
『ウツロ』との戦闘後、サビニアは彼の姿を目にしていない。
●ストゥディウム
堅物の魔術士で、長身。いつも真面目に正論を振りかざすため、上からも同僚からも煙たがられることが多い。
どこかの領主の令息という噂はあるが、どの派閥にも属さない。しかし孤高を気取っているわけでもなく、空気を読まない振る舞いが多いため、周りからは避けられているだけ。だが相談を持ちかけると、それなりに対応してくれる変わり者らしく、空気を読まない、という態度もどこまで本当なのかは怪しい。
『ウツロ』とは何者だったのかについて、議論させていただきたいとルクセンティアに申し出たが、その伝え方が不遜であるとルクセンティアに映ったことで叱責される。
サビニア、サビヌスが仲介したことで事なきを得たが、叱責されることすら、ストゥディウムには関係がない、という風でもあった。
●オリアナ
長い黒髪に素顔を隠すようにして、日頃から寡黙とサビニアから評された魔術士。
話せばユーモアがあるのに、極度の人見知りで人付き合いを嫌うから陰気と思われている残念美人。『ウツロ』との戦闘後の生死は不明。
●シルヴィア
小さい身体なのに誰よりも大きく広い心を持ち、どんなときでも話を聞いてくれるとサビニアが評した魔術士。
誰からも好かれており、争いごとが大の苦手であるため、日頃から助けられているサビニアは彼女の側に居られたらと望んでいたが、戦闘の最中、離れてしまい、その後の生死は不明。
●ガイウス・アスカニアス・キンナ
国境砦の部隊長だった人物。黒髪の短髪に黒い瞳、浅黒の肌をした底抜けに明るい顔、とカファティウスに思われている。
任期を終え、帝都に帰った際、サビヌス直属の部下となり、その後『メルギニア』各地の諜報活動を行っていた。
国境砦の任期を終え、『ウツロ』の調査という追加任務も終えた彼は、元々帝都国民として徴兵された身分であったことから、晴れて退役となり、港町マレポルタに戻ることとなった。
『メルギニア』軍においては、彼はガイウス・キンナと名乗っていた。
サビヌスに送った諜報活動の結果を記した手紙が、熱烈な恋文だとサビヌスの付き人に勘違いされているとは夢にも思っていない。
もちろんサビヌスも気づいていない。
●アギィ(ウィプサニア・ユリウス・アグリッピーナ)
国境砦ではガイの部隊の副長だった魔術士。
その後、サビヌスからの命令で一時的に『メルギニア』の傭兵ギルドに所属する傭兵となっていた。
肩まで伸びた薄い茶色の髪の細身の青年。独身。
ガイの身の回りの世話から、面倒ごとの対処まで引き受けざるを得ない状況になっていることから、ガイからも、周りからも「ガイの嫁」扱いされている。本人としては、そういう意味での扱いは甚だ不本意。
フアン曰く、『メルギニア』の傭兵ギルドには、魔術士は所属していないため、(そんな変た……、特別な人物は、『アストリア』傭兵ギルドに所属する傭兵団「赤い牙」のアルぐらい、とのこと)傭兵ではないと疑われていたが、彼の考え通り、純粋な傭兵ではなかった。
●ブルート
国境砦ではガイの部隊の部下だった兵士。
帝国軍への志願兵であり、元々は帝都防衛隊に所属。
一時的に国境砦に異動し、ガイと共に帝都に帰還していた。
そのまま、サビヌスからの命でガイと共に『ウツロ』の調査のために国内を巡っていた。
ガイの事を心の中では尊敬しているが、日ごろのガイに対する態度からはそのような気持ちは窺いしれない。しかし、ガイが怒ると怖いことは身に染みているため、からかうのはあくまでもじゃれあい程度。親しき中にも礼儀あり。
●マルクス
国境砦ではガイの部隊の部下だった兵士。
帝国軍への志願兵であり、元々は帝都防衛隊に所属。
一時的に国境砦に異動し、ガイと共に帝都に帰還していた。
そのまま、サビヌスからの命でガイと共に『ウツロ』の調査のために国内を巡っていた。
ガイの事を心の中では尊敬しているが、ガイに対する日ごろの態度はブルートと同じ。
ガイ自身が堅苦しいのを嫌っている、というの態度の理由の一つ。
ガイがあまりに誰にでも自然体で振舞うことから、自分たちが率先して守らねば、と警戒心が強くなりがち。
●帝都防衛隊宿舎の受付の女性
日頃から荒くれ者を相手にすることが多いからなのか、『アストリア』の傭兵ギルドの受付と似た雰囲気を持つ、とフアンが感じた女性。
-■-◇-■-◇-所属国不明-◇-■-◇-■-
●神子
マグノリア領に現れ、神力を揮ったとされる人物。
『ウツロ』に関する予言
「まもなく、虚無の時が訪れる。大量の『ウツロ』が神の恩寵を取り戻すためにこの世に姿を現し、そして世界は底に沈むだろう」
という言葉を残した後、姿を消す。
(前回の天地崩壊以前の人物)
-■-◇-■-◇-アストリア-◇-■-◇-■-
●神子ミラ
『アストリア』教会に所属していた治癒術士の一人。普段は目立たぬ感情の起伏に乏しい少女だったとされるが、天地崩壊が起きる直前より、神力に目覚め、その後は、人が変わったようなカリスマ性を発揮し、人々を導く。
人の命を吸い取る地の底に沈んだ国土を、ただ一人で引き上げたとされる。
曰く、神の加護を持たぬ者は地の底ではわずかも生きていけぬため、誰も近寄ってはならぬ、と言って、彼女は一人、地の底に旅立ったとされている。
-■-◇-■-◇-メルギニア-◇-■-◇-■-
●神子フルーク
天地崩壊によって地の底に沈んだ『ベトゥセクラ』を引き上げた神子。
『ベトゥセクラ』の教会に所属していた治癒術士とされるが、彼女の前半生は謎である。
女神の国『アストリア』を、その身を呈して守り続けた『ベトゥセクラ』の民のため、女神より遣わされた使いである、と自らを称している。
地の底より『ベトゥセクラ』を引き上げたこと、多くの民に揮ったとされる奇跡の力は伝承に語られる神力と同程度のものであることから、彼女は神子とされているが、彼女自身は自らを女神の遣いと称し、神子と名乗ったことはないとされている。
数々の功績を残したが、齢25という若さで亡くなった。
「女神より迎えが来た」と告げ、ある日突然眠るように亡くなったとも言われている。
●神子の愛し子 レムス
『メルギニア』の初代国王だが、彼自身は自らを国王と称したことはない。自身は天地崩壊より生き残った『ベトゥセクラ』の民たちの代表者である、と言ったに過ぎない。
そのため、実は『メルギニア』という呼称が正式に使われ始めたのがいつであったのか、なぜその名としたのかについては、記録に残されていない。
またレムスが神力を揮ったとされる伝承は残されていない。
神子でもなく、おそらく治癒術士でもなかった彼が、なぜ神子フルークの愛し子と呼ばれたのか、その伝承もまた残っていない。
ただ、彼が神子フルーク同様、多くの民に慕われた人物である、という逸話だけは多く残っている。
---★-☆-★-女神たち-★-☆-★---
●女神 ラナ
光の女神で『アストリア』を守護する女神。
光星は彼女が世界を照らしている姿であると言われている。
●女神 レアラ
水の女神で『メルギニア』を守護する女神。
●女神 フリウ
風の女神で『キシリア』を守護する女神。
---★-☆-★-望星隊-★-☆-★---
五章での望星隊は、フアン達から見れば別の存在として映っていますが、読んでいる方からすれば既に明らかなので、登場人物紹介では、そのまま記載しておきます。
---ミナカ隊---
●隊長 ミナカ・ノガミ
望星隊のノラネコ、または飢えたトラ。
喉の下を撫でてもごろごろは言わない。
短髪の黒髪に濃い茶色の瞳。
気を抜くとわずかに前屈みになって歩く癖があるが、姿勢が悪いわけではない。
身長は165cm程度。
望星隊の身長平均ぐらい。
この地方の人の身長平均は160cm超。
日頃から足音を立てずに歩く癖がある。
上半身はさほど筋肉質には見えず、足の筋肉が厚い。
口が悪い。
基本的には隊員たちが出来ることは隊員たちにやらせる。
判断が早く正確。
その判断の早さでこれまで何度も死線を潜りぬけてきた。
しかし、それゆえ隊員たちが真の危険を感じる暇を与えることが出来ていない。
隊員たちからは厚い信頼を寄せられているが
長所と短所は表裏一体。
得手はないが、普段使用する武器は直剣。
すべきこと、やりたいことが他者と対立したい場合、相手の心情を慮って譲る、などという殊勝な感情は持ち合わせていないが、教会地下では思うところがあったのか、珍しくムスヒに譲った。
●テル・アマチ
ミナカ隊の隊員。
短髪黒髪だが、光に当たると僅かに金に輝く。薄い黒の瞳。
短髪だが、左右の耳が髪に隠れており、襟足も首元を隠す程度には伸びている。
ストレートのサラサラヘア。
身長は160cm程度で、
望星隊の中では少し小柄。
性格は生真面目。
生真面目ゆえに、なぜ戦うのか、何と戦っているのか、この先何を目指すのか、といったことを考えてしまう。
ミナカが直接指揮を執ることを宣言しない限り、ミナカ隊の司令塔担当。
体術、魔術共にそれなりにこなす。
体術はスサに劣る。
魔術の出力量はミヤに劣るが、器用に使いこなす点ではテルの方が優れる。
得手は直剣。
遠征地における『ウツロ』や『精霊』がどういうものかを気づいている節がある。
●ミヤ・クラキ
ミナカ隊の隊員。
短髪の黒髪で光に当たっても黒く艶めく。灰がかった黒の瞳。
髪型はテルと同じような髪型だが、僅かにミヤの方が襟足が長く、後ろ髪の量が多い。
普段は感情の起伏が薄いが、幼い頃から感情を抑制する鍛錬の結果に依るもの。
抑えている分、抑えが外れると止め方を知らず、怖いことになる、らしい。
ふわふわしたもの、きらきらしたものが好き。
かわいいもの、もふもふ好きの「赤い牙」のセリカとは趣味が合うため、混ぜるな危険。
ちなみに、きらきらしたもの、は物理的にきらきらしてなくても良い。
魔術の出力量に優れるが、その分扱いが難しいのか、魔術操作は得意ではない。
体術は力の差でテルやスサに劣るが、技巧の面で比較すれば二人に劣らない。
表情が読み取りづらいため、超近接距離での組み手においては多少の優位性がある。
●スサ・コオノ
ミナカ隊の隊員。
超短髪の黒髪、漆黒の瞳。短いが故のつんつん頭。丸刈りではない。
撫でるとつんつん具合が気持ちいいとか、くすぐったいとか。
水に濡らすと立っていた髪が全部へたるので、別人のようになる、らしい。
隊の中では態度が軽く、短絡的な行動が目立つが、
これは他の二人が生真面目なためにバランスを取ることが目的。
そうは言っても、完全に演じてるわけでもなく元来の性格に合っているからでもある。
3人の中では最も身体能力に優れるが、得物を使った動きはあまり得意ではない。
自身の身体の範囲における体術は頭一つ抜けている。
それでも、体術だけでミナカと1対1で戦えば、10戦1勝出来ればいいところ。
元々の性格もあり、ヒノと戦えば全敗と思われる。
魔術は操作系が苦手だが、放出、特に射出系の操作は優れている。
手を放したものの操作は優れているが、手の延長線上のものの扱いは不得手である理由は本人も分かっていない。
得手は籠手並びに棍。
癖の強い連中に囲まれているせいか、ミナカ隊の中では一番の常識人の可能性もある。
-◆-◇-特別遠征隊-◆-◇-
---ムスヒ隊---
●ムスヒ・カムロギ(黒い髪の青年)
女性のような美貌を持つ男。
背中まで伸びた黒髪は艶やかで塔の壁に掛けられた蝋燭の薄明りの中にあっても煌めきを湛えている。
切れ長の黒い瞳の周りには黒がより映えるように濃い蒼の線が引かれている。
身長は170cmと、ミナカより僅かに高い。細身。
闇の神 クラツチをその身に宿し、自らを神子と呼ぶ。
内包する神の世界を通じて、神と交信が可能だが、その声が彼以外に届くことはない。
魔術とは異なる力を揮う事が出来るという。
フアンたちを目前にしたとき、自分には手も足も出ない相手が居て、退かざるを得ない、と判断し、撤退する。だが、それはあくまでも今だけだ、という意思も見せる。
<六柱の神>
●闇の神 クラツチ
ムスヒの内側に棲む異界の者を封じるために地に沈んだ六柱の一。
天地創生の際、異界との境界に楔を打ち込み、以降、世界に満ちた神の恩寵が失われると、神子の身体を借り、楔を正しい姿に戻してきた。




