登場人物紹介(第三十九話終了時点)
2023/04/24 フアンの髪の説明を修正。
【修正前】
本編中では描写がないが、漆黒にわずかにくすんだ茶色が混ざった髪で襟足は首筋に触れる程度の長さの髪
【修正後】
くすみと煌めきを合わせ持った白銀の髪で襟足は首筋に触れる程度の長さの髪
一章一話で髪の記載があったのを見逃してました。
ご指摘いただきありがとうございました。
登場人物紹介
(現代)
【アストリア】
●フアン・レイナー
ギルドの事務員にして「野良」のマナ使い。
関係者に見つかると即連行の人その1。
くすみと煌めきを合わせ持った白銀の髪で襟足は首筋に触れる程度の長さの髪。日に焼けた石のような少し色のくすんだ白い肌と黒い瞳。身体の所々に小さく紅く爪で引っ搔いたような跡がある。
立場はエレノアと一緒に見えて、彼はマナ使いという事実が魔術協会関係者にバレなければ問題ないので、エレノアよりは比較的気が楽な身分。
魔術の出し惜しみをしているのは、どこで誰が見ているか分からないから。
ガイ達の前でも本当は使いたくなかったが、人の命には代えられなかった。
人見知りは健在だが、「仕事」と割り切ればなんとかなる。
●ベアド村のレツ
フアンの外付けスピーカー。
……というには、以心伝心具合は足りてない。
でも、頑張ってる。
おそらく村の住人が今のレツを見れば、
「あのレツが……。大人になって」と感涙するに違いない。
こちらもフアン同様、容姿の描写は本編にないが、少し黒味を帯びた金色の短髪で、陶磁器のような白い肌と藍色の瞳をしている。
人や獣なら相手に出来るが『ウツロ』には無力な狩人。
第一章と第三章の合間の旅路では、野盗に襲われたり、野獣に襲われたりしたときに活躍してるのだが、本編中では『ウツロ』との戦闘描写しかないため、戦闘の部分では目立ててない。
彼が本編において戦闘で活躍出来るときはあるのか。
●エレノア・リットン
元『アストリア』国教会の治癒術士。
現在は野良の治癒術士。
関係者に見つかると即連行の人、その2。
指名手配されているはずなので、下手をすると普通にしてても捕まる可能性があり、日頃はフードを被って行動していることが多い。……はずが、食事の最中などは面倒がって外していたり、「お勤め」中は村人の警戒心を煽らないように外していたり、とフードを外して行動していることも多い。
その間は、レツとフェリが周囲を警戒しており、本人はそんなことになっているとは気づいていない。彼女の周りの人が彼女にやたらと過保護だったり、やたらとリスク避けたがる人見知りだったりとかのパーティーだから、エレノアの危機意識が人並みのままなのでは、という気がする。
『ゲラルーシ』山脈で救えなかった民の事が尾を引いているが、これは過去にもエレノアは顔見知りの村の少女を病から救うことが出来なかったという経験が尾を引いているため。その時も、彼女の手は物理的に届く場所になかったのだが、それでも救えたはずの命が救えなかったという気持ちは消えないまま残っている。
比較的若い時分に教会に身を置くことになったことから、色恋に対しては純情で、ある種の憧れを持っている。夢見る少女。フェリはそんなエレノアを生暖かい目で見守っている。
背中まで届く黒髪は、普段はローブの中にしまっている。
●フェリ・クラム
治癒術士エレノアの付き人。
エレノアがが治癒術士になるきっかけとなった少女である。
治癒術に目覚めたことで幼くして教会に「保護」されることになり、結果的にエレノアと家族を引きはがすことになってしまったことに責任を感じている。
治癒術士自体が貴重な存在であるため、治癒術士の付き人も誰でもなれるような職ではなく、特別な職業である。
元は一介の旅商人(今は商隊を持つまでになったが)のガレル・グラムの娘であり、家柄も一平民に過ぎなかった彼女は、本来なら治癒術士の付き人になることは不可能に近かった。
しかし、旅商人の娘として日頃から身につけた様々な薬草に関する知識を元に、薬学についての学を修める傍ら、父親の口利きでいわゆる「付き人」としての技術を学ばせてもらい、晴れて付き人の育成学校への入学を認められる。
その後も紆余曲折あり、様々な人の手助けを受けてエレノアの付き人となるのだが、当のエレノアは比較的最近までフェリが、自らが治癒術に目覚めたきっかけとなった少女であることを知らなかった。
薄い茶色の瞳と肩で切り揃えられたアッシュブロンドの髪。
●「赤い牙」のアル
『アストリア』の魔術教会に属する正規の魔術士だが、その戦闘能力の高さから単独行動が許容されているただ一人の魔術士。耳の下まで伸びた黒髪にこぼれて落ちそうな大きな蒼の瞳。筋の通った鼻と小さい桃色の唇をした童顔の26歳。
低音は少しでも大人っぽく見せようとする彼なりの努力の証。
身分関係なく不遜な態度も、少しでも自分を大人っぽく見せようとした結果だが、上手くいっているとは思えない。幸い、実力があるため、そんな態度もなんとか見逃されている。
非公式ではあるが、作中では最高クラスの戦闘力を誇る。
●ウィル
●セリカ
●ティオ
●デイル
一章で登場した「赤い牙」の面々。
本編三十九話で参加予定だったが、間延びしてしまったので出番を削ることに。
書き手の構成力不足で、出演させられず申し訳ない。
特にウィルはアルと一緒に出てくる予定だった。
●傭兵ギルドのギルド長(お名前募集中)
『アストリア』の梟。
自分の背後に立つ物理的な気配から、世の闇などという見えない何かまでをも見通す目を揶揄してのあだ名。
他組織からの嫌われ者。
他国に派遣したギルド員達は、『アストリア』の梟の下で働いていると話すと、大抵同情的な眼差しで見られる。
共通の敵を作ることで仲良くなれるということで、他国で活動する傭兵たちが、各地でなじみやすくなるために敢えて憎まれ役を買っている。などという殊勝な性格でもなく、おそらく好きでやってるだけ。
●シアン・レイナー
フアンの父親。アストリア教会所属の治癒術士。
フアンが幼い頃に『ウツロ』と思われる黒い靄に襲われた事件の中で、フアンを救おうとした母親が命を落としたのを見届けた後、フアンの復調を待たずに教会に戻ったとされるが、失踪。
【メルギニア】
――皇族――
●皇帝シリウス・クラウディウス
4神期前に齢17歳で皇帝の座に着いた若き皇帝。現在は21歳。
前皇帝ペテルギウスと正妃ミルザ・オルムステッドとの子
流れるような金の髪に青い瞳を持つ。
白い肌に細身の体つきで、どこか儚げな印象を抱かせる。
しかし、その瞳は彼の倍以上の齢を重ねる選帝侯を前にしても気圧されることはなく、ただ全てを受け止めるかのように静かに揺らめいている。
前皇帝とは異なり温和な性格。
実務能力は人並み。近接戦闘能力に至っては人並み以下だが、弓は得意。
芸術に高い関心を持ち、特に音楽に関心を持っている。
●皇妹 メテオラ・クラウディウス
前皇帝ペテルギウスと第三妃テッサリア・カファティウスの子。20歳。
流れる金の髪も透き通るような青い瞳も現皇帝とは瓜二つで、その美しい容姿は彼らが確かに兄妹であることを窺わせる。
幼いころから文武両道であり、彼女が女性でなければ、と惜しまれている。
帝国の皇位継承権の規則から、彼女を推す勢力は存在しないが、彼女の持つ人脈に魅力を感じる者は多数存在する。
前皇帝が早々に亡くなったこともあり、政略結婚の先が決まらないまま今に至る。
嫁ぎ先の候補として『シェハサ』『アストリア』が挙がっていた。
彼女自身は自らを政略の駒と割り切っており、宰相を通じ、最も自分を有効に使える者はどこかを選定させている。
彼女の母テッサリアは防衛大臣でありアンスイーゼン侯でもあるカファティウスの姉である。そのため、幼いころからカファティウスを知っており、彼のことを今も「クスト」と愛称で呼ぶ。
優秀すぎる故の悩みか、自らとまともに話が出来る相手に飢えている。
百合の花言葉は「純粋」「無垢」「威厳」だったりする。
●皇弟 プロキオン・クラウディウス
前皇帝ペテルギウスと第二妃メイサ・ルクセンティアの子。16歳。
第二妃に可愛がられ育った。光星の光を受けると、兄や姉同様に金色に輝く茶色の髪と青い瞳を持つ。
性格はよくも悪くも純真。
●ペテルギウス・クラウディウス
『メルギニア』前皇帝。40歳の時に行った『キシリア』戦役の最中、突然の病に罹り戦陣にて病没。
軍の崩壊を防ぐべく、カファティウスを始めとした選帝侯達が、従軍していた当時の皇太子シリウスをその場で即位させ、無事難を逃れる。
父親アルニウム・クラウディウス共々苛烈な性格であったとされる。
●メイサ・ルクセンティア
マグノリア侯ルクセンティアの長女。36歳。
ルクセンティアによって、ルクセンティア家がかつて得ていた権威の復興を望まれ続けた女性。彼女にとってはペテルギウスもそのための道具に過ぎなかった。だが、それはペテルギウスも同様であり、利害の一致した互いの関係は、ある種理想的な関係であったのかもしれない。
シリウスが皇帝となり、皇位継承権の関係から、プロキオンの命が危うくなると感じた彼女は、『キシリア』戦役の最終盤に行われた和平交渉の最中に帝都メラノを離れ、マグノリアに帰郷した。
現皇帝シリウスに対する想いよりも、正妃ミルザやカファティウスらカファティウス家へに対する想いの方が強い。
●アルニウム・クラウディウス
2代前の『メルギニア』皇帝。シリウス、メテオラ、プロキオンらの祖父にあたる。
メルギニアの北に接する国『レジル』の領土からヴィスタ領を奪った。
その後、息子のペテルギウスとヴィスタ領領主の娘ミルザ・オルムステッドに婚姻関係を結ばせ、ヴィスタ領の実効支配を図った。
マグノリア侯らの反乱のきっかけを作った人物ともいえる。
――選帝侯――
●アンスイーゼン侯カファティウス
『メルギニア』国防省の防衛大臣。クストディオ・カファティウス。
短く切り揃えられた黒髪と、全てを飲み込むかのような黒い瞳。すらりとした体格の男。34歳。姉テッサリアとは4歳差。
「傭兵嫌い」の大臣として知られるが、彼が嫌いなのは統率の取れていない身勝手な武装集団であり、主に『メルギニア』の傭兵団を指す。
どこか姉に似た雰囲気を持つメテオラのことが少し苦手。幼い頃のあどけなさの記憶と、どこか奥底が読めない今の振舞いに対する落差に対する戸惑いもある。
4神期前の『キシリア』戦役での皇位継承以降、敵は多い。
また、『キシリア』戦役での動きから過大評価される節もある。彼の手はそこまで長くはない。
しかし、彼自身の手は長くなくとも彼の代わりとなる手は多い。
●マグノリア侯ルクセンティア
旧『ポートガス』王国に連なる選帝侯であり、皇弟プロキオンの祖父にあたる。54歳。
白銀の髪、中肉中背で鍛えられた肉体を持つ。得物は長剣。
旧『ポートガス』王国の皇族の血筋であり、王国以前は『マグノリア』国の皇族でもあることから、100神期を超える期間、国の頂点に立っていた血筋である。祖父の代に『メルギニア』に併呑されて以来、マグノリア侯として、『メルギニア』の一臣下に甘んじている。
『メルギニア』自体を滅ぼす気はないが、間接的に『メルギニア』の頂点に立つべく、様々な謀略を巡らせる。
孫のプロキオンを皇帝とするための策も巡らせていたが、思わぬ事故がきっかけで全ては水泡に帰した。
しかし、張り巡らした策の一部は未だ生きており、そんな中現れた神子とその予言をきっかけに、『メルギニア』皇族に反旗を翻すことを決意する。
内乱による弱体化は、彼も望むところではないことから、少ない被害で皇帝の交代が成ることを狙っている。
●メラヴィア侯シューブリン
旧『ポートガス』王国に連なる選帝侯。
古くは『メラヴィア』国の皇族の血筋にあたる。
『メルギニア』の穀倉地帯であるメラヴィア領の領主。
内乱においては、マグノリアに継ぐ力を持つ領主であり、マグノリアとの血縁の近さから副盟主の地位に着く。
●ロイス侯ファブリツ
旧『ポートガス』王国に連なる選帝侯。
古くは『ロイス』国の皇族の血筋にあたる。
『ロイス』建国以来、『メルギニア』とは良き隣人であったが、一方で『アストリア』を神の国とする特殊な女神信奉に対しては同調できなかったため、『メルギニア』と主張を異にする『ポートガス』連邦に組する。その後、『メルギニア』に併呑される事となった。
国としても彼自身としても『メルギニア』自体への反感は少なく、また『ポートガス』への忠誠という意味でも、権力への渇望という意味でも、想いが少なかったため、今回の反乱に対しても消極的な意思で参画をしていた。
マグノリア侯とは異なる意味で、被害が少ないまま反乱が収まればいいと望んでいる。
●ブラべ侯ザーリア
五大選帝侯ではなく、『キシリア』戦役にも参加していない選帝侯。『メルギニア』建国後、その拡大の中で、『メルギニア』の庇護に入った土地の領主のその末裔。
共に土地を拓き、共に過去を思う。
散っていった『べトゥセクラ』の民達が『メルギニア』という土地に彼を結びつけている。
●オレアニア侯ホルテンシウス
●チェイン侯カッシウス
●バトロイト侯バビリウス
●クレーべ侯アウレリウス
●ケヴィイナ侯デキウス
●ヴィスタ侯オルムステッド
『キシリア』戦役にて、前線に居た選帝侯達。
名前だけなら、十一選帝侯は全員登場済み。
クレーべ侯とケヴィイナ侯は幾たびかの婚姻関係を通じて、他家と比較して強い血縁の結びつきがあるが、同じ血縁からの分家というわけではない。
ケヴィイナ侯はマグノリア侯から内応を持ち掛けられていたが……。
――首脳陣――
●宰相 キリル・デキウス
『メルギニア』国の内政に対して皇帝代理の権限を持つ人物。65歳。
皇帝と視線で会話を交わせるのは彼の人生経験の為せる技。
2代前の皇帝アルニウムの代には、アルニウムの側近として皇族に仕えており、先代ペテルギウスの代に宰相の座に就いた。
皇族の光も闇も知っており、清濁併せ呑んだ上で変わらぬ忠節を誓う人柄が、彼をこの座に就かせている、と思われている。だが、当然それだけで就けるような座ではなく、清濁併せて処理できる能力も持っている。
レツは彼に弟子入りすれば、もっとフアンとのコミュニケーションが円滑に出来ると思われる。
●帝都防衛長官 サビヌス
役職の格としてはカファティウスと同等。
国軍を預かるカファティウスに対して、直轄軍を含めた帝都防衛軍を預かるのがサビヌス。帝都の直接の防衛を担う分、旧来の力関係から言えば、帝都防衛長官の方が上なのだが、カファティウスは選帝侯でもあることから、普段から彼を立てた振る舞いをする。
サビヌス自身、権力を笠に着る性格ではないことも原因。
皇妹メテオラと通じていたりと謎も多い。
――『メルギニア』国軍――
●プブリウス
皇帝直属軍クリペウスハスタの指揮官。前皇帝の頃から同役職に就いており、シリウスにとっては上官であったこともあり、彼にとっては実の父より父親のように信頼を置いている人物。
●カエキリウス
皇帝直属軍クリペウスハスタの魔術士で、戦時における皇帝専属の魔術士。皇帝専属の魔術士には、都での護衛を兼ねた専属魔術士など、他にも複数の者が就いている。
前述の通り、護衛任務としての専属は別にいるものの、皇帝を護衛できるだけの能力も求められるため、魔術士としては珍しくそれなりに体術を修めている。
但し、変態の技術と比較してはいけない。
●ノラン・ファブリツ
ファブリツの娘マグダレナ・ファブリツの夫であり、マグノリア侯ルクセンティアの三男。
立場上、ファブリツを立てるが、内心では父親の臣下のようなものと見下している。
ファブリツもそうした心の内には気づいているが、見透かされる程度の反抗心など可愛いものと見逃している。
カリヤ湖畔の戦いにおいて、皇帝に対する民兵の反抗心を焚きつけたのは彼の配下の手によるもの。ファブリツが戦わざるを得ない状況を作り出した人物である。
●アーマンド、ハルバート
ロイス軍の大隊長。
役職的にはノランと同等。
●フレド
ロイス侯ファブリツ専属の魔術士。
各軍の大隊長格には、命令を短時間で届けるために風の魔術を使うことが多く、また遠距離からの魔術による狙撃を守るために専属の魔術士がつくことが常である。
●ガイウス
国境砦の部隊長だった人物。黒髪の短髪に黒い瞳、浅黒の肌をした底抜けに明るい顔、とカファティウスに思われている。
任期を終え、帝都に帰った際、サビヌス直属の部下となり、その後『メルギニア』各地の諜報活動を行っている。
『ウツロ』との交戦経験を持つ数少ない人物。
本編中で『ウツロ』との交戦経験があると明記されているのは、ガイウスが率いる部隊とアル、フアン、それからアギィのみである。
サビヌスに送った諜報活動の結果を記した手紙が、熱烈な恋文だとサビヌスの付き人に勘違いされているとは夢にも思っていない。
もちろんサビヌスも気づいていない。
――ギルド関係者――
●クライブ
『メルギニア』傭兵ギルドのギルド長。
厄介者の多い『メルギニア』傭兵ギルドのまとめ役のため、苦労人。
そのうえ、隣国の『アストリア』傭兵ギルドの長が曲者のため、常に気が抜けない。
側にいるのは強面な上に態度も威圧的なイリアスとビジネスライクな会話しかしないフィオレであり、「誰か俺に優しくしてくれよ」と常々思いつつ、顔には出さない(出せない)可哀想な人。
●イリアス
『メルギニア』傭兵ギルドの軍事顧問。実は『メルギニア』の直轄軍クリペウスハスタの部隊長。『メルギニア』傭兵ギルドと国がいつでも連携出来るための連絡員でもあり、『メルギニア』傭兵ギルドに所属する傭兵団の技能向上のためのアドバイザ的な役割を持っている。
真の目的はギルドの監査役。だが、クライブもその程度の(イリアスが監査役である)ことは承知の上であり、イリアスもまた自身の役割が「理解」されていることを分かっている。
クライブからすれば、常日頃から碌なことをしない傭兵団が多いので、むしろ国が監視してくれるのはありがたいとすら考えている。
●フィオレ
『メルギニア』傭兵ギルドの特殊案件担当。
特殊案件担当は面倒ごとと調整ごとが多いため、配置されることは名誉な事ではあるが、業務内容には一般人が処理するには面倒事も多いため、他国では忌避される事も多い。しかし、元より厄介者の多い『メルギニア』傭兵ギルドにおいては、一般案件の方が面倒な事が多いため、むしろ特殊案件担当、「はい、喜んで!」である。
特殊案件では国を相手に出来るだけの交渉術を必要とするため、一筋縄ではいかない人物であることは確か。ギルド幹部連で一番腹黒いのは誰かと聞かれたら、多分、全員が全員、自分ではない、と言うだろう。
●ガイ
『メルギニア』の傭兵ギルドに所属する傭兵。
黒髪の短髪に黒い瞳、麻黒の肌にがっしりとした鍛えられた体格の男。独身。
港町マレポルタ滞在中のフアン達とは何度か食堂で遭遇していた顔見知り。
その後、帝都メラノの傭兵ギルド、『ゲラルーシ』山脈の山中と、出会うべきはずのない場所で遭遇するため、フアンとガイは、互いに互いの存在を訝しんでいた。
女性には声を掛けずにはいられない性格で、何事も女性優先だが、一応仕事とプライベートを分別する程度の常識は弁えている。
アギィは彼の事を隊長と呼ぶが、傭兵団というよりは小規模な傭兵隊の隊長という感じである。
女性に対する好意とは別で、有能な人材に対して貪欲な性格。
その才能を成長させることに楽しみを覚えているが、やり方は完全に彼の趣味。
いじめっこ気質。
●アギィ
『メルギニア』の傭兵ギルドに所属する傭兵?で、魔術士。
肩まで伸びた薄い茶色の髪の細身の青年。独身。
ガイの身の回りの世話から、面倒ごとの対処まで引き受けざるを得ない状況になっていることから、ガイからも、周りからも「ガイの嫁」扱いされている。本人としては、そういう意味での扱いは甚だ不本意。
フアン曰く、『メルギニア』の傭兵ギルドには、魔術士は所属していないため、(そんな変た……、特別な人物は、『アストリア』傭兵ギルドに所属する傭兵団「赤い牙」のアルぐらい、とのこと)それが事実であるなら傭兵ではない。
●ブルート
ガイと共に行動をする傭兵。
ガイの事を心の中では尊敬しているが、日ごろのガイに対する態度からはそのような気持ちは窺いしれない。しかし、ガイが怒ると怖いことは身に染みているため、からかうのはあくまでもじゃれあい程度。親しき中にも礼儀あり。
●マルクス
ガイと共に行動をする傭兵。
ガイの事を心の中では尊敬しているが、ガイに対する日ごろの態度はブルートと同じ。
ガイ自身が堅苦しいのを嫌っている、というの態度の理由の一つ。
ガイがあまりに誰にでも自然体で振舞うことから、自分たちが率先して守らねば、と警戒心が強くなりがち。
――村の人々とか――
●マレポルタ近郊の村の住人
・フラーダ
腰を痛めている女性。農作業では、腰をまげて作業をする時間が長いため、痛めやすい場所。
他の住人でも腰や背中の張りが酷い人は多い。
●食堂で出会った女性
・ライラ(本編名前未登場)
ガイと共に食堂で食事をしようとしていた女性。ガイが良く行く雑貨屋の店員。雑貨屋には様々な人種の客が集まり、人気の店だった。
つまり、ガイにとっての彼女はそういう相手。
●アンとシン
「お勤め」中のエレノアとフェリの別名。教会関係者が村を訪れた際に、名前から気付かれないようにという配慮。
アンがフェリで、シンがエレノア。
二人の仮の名を合わせるとアンシン。二人合わさってもフアンが安心出来ないのは、ここは日本ではないから。
【その他】
●神子
マグノリア領に現れ、神力を揮ったとされる人物。
『ウツロ』に関する予言
「まもなく、虚無の時が訪れる。大量の『ウツロ』が神の恩寵を取り戻すためにこの世に姿を現し、そして世界は底に沈むだろう」
という言葉を残した後、姿を消す。
(前回の天地崩壊以前の人物)
●グェン皇帝
およそ800神期前の天地崩壊以前、ゼカリアス大陸のほとんど全ての国を平らげたとされる大国の皇帝。
「生きたければ、打ち払い、奪い、滅ぼせよ。出来ぬならただ朽ち果てよ」
との言葉を残したとされる。
また一方で、「数多の獣を喰らい数多の命を照らす星」と称されていたという説話もあり、実は皇帝は二人いたのではないか、などという説もある。
●『アストリア』国王ヴラド
『グェン』の侵攻という『アストリア』の歴史上最大の国難に立ち向かった国王。
国土を焼き払ってでも、多くの民を犠牲にすることなっても、侵略した国の民を虐げるという『グェン』に屈することなく、救える民だけでも救うという悲壮な決意の下で、『ゲラルーシ』山脈を最後の砦として戦い続けた。その最中、天地崩壊が起き、『グェン』軍は天地崩壊に呑み込まれて崩壊。崩壊の中心地から離れた『ゲラルーシ』山脈に逃れていた『アストリア』の皇族と国民たちは難を逃れた。
一方、その『アストリア』を守るべく最後まで支援していた『ベトゥセクラ』は天地崩壊に巻き込まれ、皇族は全滅。民の多くも地の底に呑み込まれた。
●神子ミラ
『アストリア』教会に所属していた治癒術士の一人。普段は目立たぬ感情の起伏に乏しい少女だったとされるが、天地崩壊が起きる直前より、神力に目覚め、その後は、人が変わったようなカリスマ性を発揮し、人々を導く。
人の命を吸い取る地の底に沈んだ国土を、ただ一人で引き上げたとされる。
曰く、神の加護を持たぬ者は地の底ではわずかも生きていけぬため、誰も近寄ってはならぬ、と言って、彼女は一人、地の底に旅立ったとされている。
●神子フルーク
天地崩壊によって地の底に沈んだ『ベトゥセクラ』を引き上げた神子。
『ベトゥセクラ』の教会に所属していた治癒術士とされるが、彼女の前半生は謎である。
女神の国『アストリア』を、その身を呈して守り続けた『ベトゥセクラ』の民のため、女神より遣わされた使いである、と自らを称している。
地の底より『ベトゥセクラ』を引き上げたこと、多くの民に揮ったとされる奇跡の力は伝承に語られる神力と同程度のものであることから、彼女は神子とされているが、彼女自身は自らを女神の遣いと称し、神子と名乗ったことはないとされている。
数々の功績を残したが、齢25という若さで亡くなった。
「女神より迎えが来た」と告げ、ある日突然眠るように亡くなったとも言われている。
●神子の愛し子 レムス
『メルギニア』の初代国王だが、彼自身は自らを国王と称したことはない。自身は天地崩壊より生き残った『ベトゥセクラ』の民たちの代表者である、と言ったに過ぎない。
そのため、実は『メルギニア』という呼称が正式に使われ始めたのがいつであったのか、なぜその名としたのかについては、記録に残されていない。
またレムスが神力を揮ったとされる伝承は残されていない。
神子でもなく、おそらく治癒術士でもなかった彼が、なぜ神子フルークの愛し子と呼ばれたのか、その伝承もまた残っていない。
ただ、彼が神子フルーク同様、多くの民に慕われた人物である、という逸話だけは多く残っている。




