襲撃終結
今回は長いです。
投稿に関してですが連絡が欲しいということなので、ストックも切れた次から大体二、三日に一本投稿します。あと、投稿する前に活動報告に載せます。
ヒロムさん、アイデアありがと言うございます。少々能力や形状が変わっていますがすみません。
これからある程度の数字はアラビア数字(1,2,3……)を用います。
年号などは漢数字にするかと思います。
ソフィーが放った火球をサティアはぎりぎりで避け、ラライは突進するがソフィーは風魔法を使って危なげなく避ける。
「クソッ、全く当たらねぇ。本当に元魔王様か」
「はぁ、はぁ、あの迷宮から出てきてたというのにも驚きだっていうのに、こうも強くなっているのかよ」
魔族二人は息を乱れさせて一向にソフィーにダメージを与えられないことに苛立ったように言う。攻撃は軽やかに避けられ、向かって来る攻撃は遊びのように放たれる中級クラスの魔法。近づいて攻撃しても前衛職並みの筋力で振り切られる。おまけに反撃の肘打ちや裏拳が急所に飛んでくる。
「お前達は弱い」
ソフィーはそう言って無造作に魔法を放つ。二人は死が目前に迫る中大慌てでその場から飛び去り魔法の範囲から避けるが、その背中に爆風を受けて地面を激突してしまう。
二人のステータスはレベルが130ほどで、ステータスの平均は1800ほどだ。なので、今のソフィーならやろうと思えば瞬殺できる。しないのは自身の力を再確認することとディライに元魔王が健在であり、その仲間零夜の存在を知らしめるためだ。
今の魔族軍を仲間に引き入れなければ打倒セラが遠ざかってしまう。どうにかしてソフィーはもう一度魔王に返り咲かなければならないのだ。それが零夜のためにもなると信じている。
別にソフィーは魔王が嫌なわけではない。願いを果たすためには魔王でいることの方がいいだろうし、魔族は力を重んじるため裏切られる可能性が少ない。少なくとも人族よりはマシだ。
今のソフィーのステータスは平均8000だが、それは筋力など低いものがあるからで魔力や精神力は既に零夜と同じく五桁を越えていた。そんなソフィーがたかが中級魔族に負けるわけがない。
ソフィーが弱かったのは魔族軍の立て直しとセラ打倒のために国造りをしていたことで訓練をしている暇がなかったのだ。だが、それを零夜が指導したことで魔王種としての血が働き、ステータスが急激に伸びたのだ。これからも伸びていくのは間違いなく、恐らく歴代最強にはなるだろう。
「レイヤが来たから、そろそろ終わらせる」
「くそっ、舐めやがって! 『ダークネス』」
「ブモオオオオォ『大地爆砕』」
ソフィーはサティアから放たれた闇の奔流をタダのパンチで砕き、掘り返して進むラライの衝撃波を飛んで回避すると、胸元で両手を重ね地面に着地すると同時に地面へと叩き付けた。そこから真っ赤に燃える魔法陣が形成される。
「想像魔法……『大噴火』」
ソフィーが地面に両手を叩き付けるとそこから真っ赤に光る亀裂が走り、魔族二人の下で止まると小さな山が出来るように膨れ上がり次の瞬間、蒸しパンが爆発するかの如く大爆発が起き、魔族二人の身体を焼き爆散させた。
「レイヤの戦い見る」
ソフィーはそう言って二人の魔族から興味をなくすとレイヤが空から降り立ち白須を護った所へ向かった。
「ユッカ、遅れてごめん。でも、約束は守ったよ。これからは僕が護るから安心して」
僕は狼男を投げ飛ばして背後に庇った大事な幼馴染に優しく声をかけて振り向いた。数カ月ぶりに見るユッカは最後に見た時と変わらず優しそうな雰囲気を纏っていて、暖かく包み込んでくれる。
「……レ、レイぐんっ! い、いぎでだ……。やっばり、いぎで、が、がえっでくれだ……」
「うん、約束したからね。ユッカを護れる力を付けて帰ってくるって。そして、告白をするって」
「う゛ん、う゛ん! 約束した、よ……」
「だから、もう安心して。僕は強くなったから。すぐにこの襲撃を終わらせるから、此処でじっと待っていて」
僕は今にも抱き着いて涙を流して抱擁したい気持ちを抑え付け、先ほどユッカを殺そうと殴りかかってきていた狼男を睨み付ける。
その途中で目に入った皆の姿はボロボロだが、誰も欠けておらず僕をポカーンとしている。遊馬は……眠っているのか。あの四人を見ればってこっちも気絶してんのかよ!
狼男は空中で一回転すると地面へ着地すると足をグラつかせ膝を着いた。どうやら一発の蹴りが完全に体の芯を捉え強固な体に相当なダメージを与えたのだろう。狼男はお腹を擦りながら立ち上がり、僕を睨み付けるように見て言った。
「貴様、何者だ」
「僕は雲林院無心流古武術四十九代目継承者、雲林院零夜だ。貴様だけは許さん。殺しはしないが、地獄を見てもらう」
「ほざくなガキが! たかが一発当てたぐらいで、粋がんじゃねぇぇぇ! 『熱波掌』」
狼男は手足に炎を作り出すと僕に向かって突っ込んできた。速度は迷宮にいたやつよりも早いが最後にいた迷宮ボスほどではない。
「くらえやぁぁぁ!」
「雲林院無心流拳術……『旋風連脚』」
繰り出される拳をしゃがんで避け、そのまま手を地面に着き右脚の足払いをしてこけたところを上へ回転させた右脚の踵落としを首に叩き付ける。
反動で地面に穴が空き狼男は蛙が潰されたような声を出して纏っていた焔が消えた。僕はそのまま腕の力で立ち上がりユッカの前まで飛び下がる。その時、ソフィーも僕の元へ到着し声をかけてきた。
「そいつ、爆炎のディライ」
「爆炎のディライ?」
「そう。炎を使う狼魔族。鋼の肉体と爆発する焔が特徴」
ソフィーはそう言って僕の傍得近付いてきた。僕は狼男――ディライに鑑定を掛ける。……レベルは200ほど、ステータスは8000ぐらいか。耐久が10000あるけど迷宮ボスの方が強いね。
「レ、レイ君? その女の子と知り合いなの?」
ユッカが涙を流しながら戸惑ったように聞いてきた。ああ、まだ言っていなかったのか。とりあえず紹介は後にして簡単な説明だけするか。
「彼女の名前はソフィー。後で詳しい説明をするけど、迷宮の中で出会った協力者だよ」
「むぅ」
僕がそう紹介するとソフィーがなぜかむくれてしまった。僕が首を傾げているとユッカもジト目で訝しむようにソフィーと僕を見ている。ソフィーもその視線に気が付き、僕とユッカを見比べる。
「ね、ねぇ、レイ――」
「ガキィィィィ! よくもやってくれたなぁぁぁッ!」
「――危ない!」
「大丈夫。……『喉輪落』」
ユッカが僕を見て話しかけようとすると僕の後ろを見て目を丸くし僕を突きとばそうとしたが、僕は既に魔力感知でディライが突っ込んでくるのを知っているため、ユッカの手を取り背中に庇う。突っ込んでくるディライの顔面に当身を入れ、仰け反った瞬間に喉仏を人差し指と中指の第二関節を曲げた状態で掴み取り、苦しさで炎が消えると腕を取って喉を決めながら地面に叩きつける。
今度は声すら出すことが出来ずに地面へ叩き付けられたディライ。僕はそこで終わらせずに喉を持って持ち上げると右手を腕から離して技を放つ。
「ぎ……ま……」
「待たん! 『羅刹五連貫手』」
ディライは出せない声を無理矢理出して待ってくれと身振りするが、僕は一言で斬り伏せると腰を落として左手の指を綺麗に揃え刹那の貫手を放つ。
「グ……ガ……ぶはっ」
命中した場所は心臓、鳩尾、右肩口、膀胱、右内腿だ。さすがは10000を超えているステータスなのか穴は開くことがなかったが、紫色に腫れ上がって内出血を起こしている。これなら満足に戦うことも出来ないだろう。
僕はディライの喉を持ったまま投げ飛ばし、背後に庇っているユッカに怪我がないか確認する。
「大丈夫? 怪我はないよね?」
「う、うん。レイ君が護ってくれたからどこも怪我してないよ」
「それは良かった。あ、傷が出来てるじゃないか。魔力も相当減ってる。……そうだ、これを飲んで。すぐに回復するから」
僕はそう言ってボックスから神緑の苗木の雫が入った木製の小瓶を取り出してユッカに手渡した。ユッカは首を傾げていたが僕が喜んで進めるから安全なものだと思ってすぐに飲んでくれた。その効果はすぐに現れ全身の傷という傷、体力と疲労、魔力の枯渇を瞬く間に回復させた。
「す、凄いよ、この水! 体の疲れも魔力も全部回復したよ! 迷宮で手に入れたの!?」
「そうだよ。詳しいことはまたあとでね。今はこの状況をどうにかしないと」
「あ、そうだね。でも、ディライとかいう魔族は倒しちゃったんでしょ?」
ディライはピクリとも動かないがまだ死んではいないだろう。あれだけタフなのだから気を失うこともないはずだ。恐らくこの後どうするか考えているのだろう。
「いや、まだだね。――おい、ディライ。起きないのならそのまま殺すぞ」
僕はそういうと同時にディライを刺し殺さんという殺気を放つ。その殺気に当てられたディライは不気味に笑いながら体を起こしたが、立ち上がれないのは本当のようで不敵に笑って降参をした。
「降参ですよ、降参。人族にこんなに強い者がいるとは、計算外です」
「じゃあ、大人しく捕まってくれるな?」
僕は警戒しながら近づきそう言ったが、ディライは更に笑みを深めズボンのポケットを弄り一つの魔道具を取り出した。
「さすがにそれは無理です。この情報を持って帰らなければ。――隣に居られるあなた様のこともですよ? サティアにラライすまない。では、人族の英雄さん。『転移、バラクリーザ』」
「待てっ! ……逃したか」
ディライは最後に瞑目すると魔道具を掲げて転移してしまった。名前が聞いていた魔族の王国名だから北大陸に帰ったのだろう。まあ、いずれ北大陸に行かなければならなかったし、魔王に僕の存在が知られるのも時間の問題だっただろう。まあ、和解したいのに敵対のようになってしまったのは痛いが、今回は仕方がない。
魔族が逃げたことで操られていた魔物が逃げて行き、王国に平和が訪れた。まだ魔人や魔物がいるが倒されるのは時間の問題だろう。僕がほとんど倒し切っているからあとは百体にも満たないだろうからね。
僕はディライが倒れていた場所に何かないかと思ったが壊れた転移魔道具しかなく、他は穴が開いていただけだった。僕はその残骸をボックスの中に入れユッカ達の元へ戻る。
「ごめん。取り逃した」
「いや、いい。皆が無事だったのだからな。それにしてもレイヤ、良く無事に帰って来てくれた。それにこんなかっこいい場面に」
ロイ団長が涙ぐみながら僕の期間を喜んでくれる。本当にロイ団長は僕達のために命すらかけてくれる。ロイ団長にはあのことを話したほうがいいのだろうか? とりあえずロイ団長にいろいろと聞いてからじゃないと判断できないな。
「そうよ、私達がどれだけ心配したことかわかってるの? 特に優香は雲林院君を助けるために無茶ばかりして大変だったのよ」
「それは、なんかごめん。でも、これからは、僕はずっと一緒にいるから、大丈夫」
「頼むわね」
涼風さんも目の端に涙を浮かべて嬉しそうに愚痴ってくれた。
「それでレイヤ、彼女は何者だ? お前の知り合いなのだろう?」
ロイ団長が僕の隣にいるソフィーを見てそう言った。ユッカは大きく首を振っている。
ここで言うべきことじゃないからあとで主要人物に集まってもらってから話すべきだろうな。僕はそふぃと目配せするとそう切り出す。
「いろいろな説明はあとでします。まずは残党を倒しましょう。ここに魔力が回復する水と回復薬もたくさんありますから。これで元気を付けてください」
僕はボックスから迷宮で作った丸薬や薬を取り出し、最後に魔力水を取り出して魔法師の皆に渡した。皆半信半疑だったがユッカが回復したのを見ているせいかすんなりと使ってくれた。やはり効果は劇的で瞬く間に傷が治り魔力が回復していく。
「これも迷宮で手に入れたものか?」
「ええ、まあ」
「まあいい。詳しいことはあとで聞かせてもらうからな」
「はい」
僕達は元気になると森の中に入って行き残党を討伐していく。僕は空から見回り、魔人がいるところへ降りては風穴を開けて倒していった。
数時間が経つとだいぶ魔物の数も減り、あとは放かっておいても大丈夫だろうと判断された。
僕達はそのまま王様に報告するために王城内へ向かって行く。僕もどうするべきか考えたが一応、帰還したことを伝えてやろうと考え王様に会いに行くことにした。ソフィーに関してはいろいろと聞かれたが友達以上的な立場になり、魔族で元魔王であることはまだ伏せてある。
「陛下、無事魔族の撃退を完遂しました。また、レイヤ・ウジイが帰還しました」
王様がいるという執務室へ向かうと大きな机に向かって資料と睨めっこしている王様がいた。僕達がノックをして入ると王様が笑顔で労いの言葉を掛けてきた。隣には教皇のランバルドさんもいる。王様は僕のことを覚えていたのか喜びに微笑み、ランバルドさんは目を見開いて驚愕を表し、その後一瞬憎々しげな表情に変わった。
「よくぞ王国を護ってくれた。異世界の客人方も良くやってくれた。それにウジイ殿、迷宮からの無事帰還嬉しく思う」
「いえ、こちらこそ迷惑をおかけしました」
「ウジイ殿、ご帰還嬉しく思います。――王よ、私は用があるのでこれで失礼します」
僕は一応社交辞令でそういうと王様はそうかと一言述べ、ランバルドさんはいそいそと部屋の外へ出て行った。もしかしたら、先ほどの表情もあるから何か僕に関して知っているのかもしれない。この場にいるのはロイ団長と王様、僕とユッカと涼風さん、それからソフィーの六人だ。遊馬とトマ達は気絶しているため医務室で休息中だ。天宝治君は国の復興を手伝うと言って外に向かった。生徒全員が復興の手伝い花木が出した薬草を使って薬を作ったりしている。
「まず、今回の襲撃の原因だが、ロイよ、何かわかっているか?」
まずは王様が聞くがロイ団長も眉を細めて分からないと表している。
「いえ、私は迷宮にいたため詳しいことは……。魔族もここにいるレイヤが倒すとすぐに逃げてしまったもので」
「ウジイ殿が撃退されたのか? 噂ではそれほど強くないと聞いていたのだが」
王様は僕を見てそう言った。今が丁度いいだろう今回の件とこれからを話すのならね。
「それについては僕からお話しします。魔族の目的は実験となります」
「実験とな? それはどういうことだ?」
「はい、魔族が魔物を産み出していることは御存じですね? 今代の魔王は人族滅亡推進派のようで魔物を歴代で一番生み出しているそうです。それが今回の襲撃の実験となります」
「それは産み出した魔物と魔人がどれだけできるかということだな?」
「はい、恐らくそうなります」
「なぜ、お主がそれを知っている」
王様達が僕の方を見る。その目には嘘は通じないから真実を申せ、と物語っている。僕はここからが本番だと割り切り腹をくくる。隣にいるソフィーを一度見て任せてもらうことにした。
「それについては詳しく申し上げることが出来ませんが、迷宮でとある人物に出会い、最下層である秘密を知ってしまったからです」
「人物と秘密とな? 詳しく話せないのはなぜだ?」
「それは……これを話すにはあなた方の明確な立場、地位ではなく考えや主義などの個人としての立場です。それから僕が話すことは確実にこの世界の人には信じることが出来ません。そして、激怒する可能性もあります。そして、教会にばれれば僕は人族の敵となるでしょう。……それでも聞きますか? これは僕達異世界人には伝えなければならないことなのでいずればれることだとは思っていますが」
僕は覚悟を決めた目で四人を見つめる。静寂が支配する中先に口を開いたのはユッカだった。
「私はどこまでもレイ君について行くから何があったのかは知らないけど信じてる。王様達だってしっかり話せばわかってくれるよ」
「そうね、話さなければいけないことなのでしょう? それは彼女に関わることでもあるのよね?」
「まあ、そうだね」
ユッカと涼風さんは何があっても僕の味方でいてくれるそうだ。王様とロイ団長はどうしたらいいのか迷ってる。
「では、お聞きします。あなた方は神をどこまで信じていますか?」
僕はどうしようもないので質問していくことにした。僕の質問に少しだけ不快感を示した二人だが、僕の言い方がいけなかったかもしれない。
「セラ様のことを言っているのなら……教会の連中ほど俺はそこまで信じていないな。いや、存在していることは信じているがおっしゃることが全て正しいとは思っていない。俺達は人形ではないからな。まあ、召喚や信託で力を貸してくれるのはありがたいと思ってはいるがな」
「儂もだな。儂の場合、なぜ国にトップが二人もいるのか疑問に思っておる。国より教会の権利や地位が高いのを昔から不思議に思っておるな。まあ、この国を神が創ったと言うのだからそこまで不思議ではないが、さすがに国政まで神様の意志が入ると儂らはいらないのではないかと思う」
二人は自分の思っていたことを吐露する。僕はそれを聞いて安心すると共に、これから話してどうした方向に進めるべきか悩む。
「……わかりました。では次に魔族についてどこまで知っていますか?」
「魔族か? 魔族は人族を滅ぼしに来ているのだろう? 我々も魔族を滅ぼすために戦ってきている」
ロイ団長は当選だと言ったように言い放つがそれには理由がない。恐らく神が言うからなのだろう。
「理由はないんですか? 僕はとある人物にその理由を聞きましたよ?」
「ん? そう言えばそうだなぁ。教会の連中が言うから俺達は従っていたが魔族は悪だからとしか効いていないし、人族を滅ぼしに来ているのだからこちらも抵抗するとしか考えていなかったか」
「そうだな。儂もウジイ殿に言われて初めてそう思ったわい。――ウジイ殿はそれをとある人物に教えてもらったのだな? もしや……魔族か?」
やはり国のトップをするだけはある。人族が知らないということは反対の魔族しかないだろう。亜人族と言うのもあり得るが樹海の方に引き篭もっているので出会うことがなかっただろうと考えている。それに僕は迷宮の中にいたからそこに行くまでの実力もいる種族だということで魔族だと判断したのだろう。
「ええ、魔族の方です」
「それが……彼女か?」
ロイ団長が目を少し開きソフィーを見て言った。ソフィー本人も頷いている。それに合わせてみんなが身構えるが僕はソフィーを背中に庇って説明を始める。
「まず聞いてください。魔族には先ほども言った人族滅亡推進派、つまり人族を敵とした派閥ともう一つあります。神を倒し世界に平和をもたらすための派閥、セラ打倒派です」
「セラ様を倒す? それは魔族が他の神を信仰しているからか?」
ロイ団長が警戒したまま訊ねる。それに僕は首を振って答えた。
「いえ、セラ打倒派と言うのは派閥としてはほぼ個人となります。皆さんが知っている通り魔族は力で決まる傾向が強いですから。それに、魔族の方も数万年の時を経てしまい人族と同じようになぜ戦っているのか分かっていませんから」
僕はソフィーから聞いたことを簡単に説明した。
ソフィーがまだ魔王だということは話していないが、魔族の中に魔王種と呼ばれる初代魔王の血を濃く引き継いだものがいること、初代魔王がどういった人物か、元々の魔族の侵攻理由、セラという神がどういったことをしたのか、世界の成り立ちまで話した。
「と、いうことになります。信じられないかもしれませんが、僕は本当のことだと思っています」
「…………わかった。だが、レイヤはなぜ本当だと思っている。レイヤが嘘を付くとは思っていないがにわかに信じることは出来んのだ。何か証拠はないか」
「儂もな、一応国のトップとしてそれを確認するべきだと思うが、にわかには信じられん。魔族が侵攻してくる理由はなんとなくわかるが、セラ様がそんなことをするとはな……信じたくないというのが本音だな。何か証明する物はないか」
ロイ団長と王様はそう言って僕に何か証明できるものはないかと聞いてきた。僕は此処で出すのもどうかと思ったがあの手紙と織田さんを出すことにした。
「ここで出すのもどうかと思ったのですが、まずこの手紙を見てください。王様とロイ団長には読めないかもしれませんが、ユッカ達に読んでもらいましょう。僕が読むよりいいでしょう」
「まあ、そうだな」
僕はユッカ達にそれを渡し、僕は簡単に説明することにした。
「あの手紙には先ほど話したことと僕達の帰還方法について書いてありました」
「帰還とな? それはランバルドが言っていたように人族を救った後にセラ様が送り返してくれるのではないのか?」
王様がそう言ったが僕は少し悲しい目をして首を振った。
「いえ、そんなことは僕達が生きている間には出来ないそうです。何でもこちらに送るだけで力を使い果たしているようです」
「それは本当か!」
「本当かどうかはわかりませんが、そうではないかと薄々思っています。今まで話したことと僕の身に起きていることが一致しすぎなのです。あの手紙は遥か昔にこの地へ召喚された人のものです。しかも僕と同じ適性が無らしいです」
「今までに召喚されたことがあるのか? その様な文献はないのだが……」
「いえ、僕達も知りませんでした。召喚されたのは僕達の世界でおよそ六十年前の人物達ですが、その頃は僕達の世界でも戦争を行っていたので失踪が起きたというのが残っていなかったのではないかと思います。こちらの世界だと数千年、恐らく五千年は昔のことなので文献も残っていない可能性が高いでしょう。それにこの件は教会が絡んでいると思います」
僕は先ほどのランバルドさんの様子とセラが教会と繋がっているため、確実にセラの害となる僕と無についてこの世から消し去ったのだと思う。
「教会がか?」
「ええ、教会は神の意志の元にあります。この国よりも地位が高く、権利も高い、何もかもが高いのです。大事な勇者召喚のことを抹消できるとしたら教会しかありえません。もしかしたら、他国に残っている可能性もありますが、相手は神と最高権力の教会なので可能性は低いでしょう」
「今思えば教会は暗いところが多すぎるな……」
「では適性が無と言うのは? 結局何だったのだ?」
ロイ団長が聞いてきたので今度は無がどのように生まれたのか話す。
「無というのはそういうことからセラに反発する神々が作り出した人族を内側から壊す、というより塗り替えるものを言います。僕にも試練がありました。試練を達成したため最下層に合ったア―ティファクトと古代魔法を手に入れています」
僕はそう言ってボックスから小手を取り出した。小手は赤というより紅のような色で金色の線が入った見るからに派手な小手だが、鑑定で調べた結果能力はアーティファクトだと言わざる負えない性能だった。
「この小手がアーティファクトです。恐らく僕専用でしょう。能力は魔力を流し込むことで衝撃波を放つ、同じく魔力を広く流すことでシールドに、さらに装備者の能力を数段階上げてくれます。名前は『ヤマシロ』と言います。小手と言うよりガントレットですね」
指まですっぽりと覆う形の西洋風のガントレットだ。それを見た二人は簡単に声を上げる。
「次に古代魔法ですがこれは魔力を物質化する効果があります」
「魔力を物質化? 物にするということか?」
「いえ、違います。……今僕の前に壁を作りました。触ってみてください」
僕は古代魔法を使って魔力を物質化させて見えない壁を作り出した。古代魔法の名前は『マティアリア』。能力は魔力を固定し、そこに壁を作ったり、台を作ったりすることが出来る。固定している間は魔力を消費し続けるのでずっと物質化しておくことは出来ない。
ロイ団長は言われたように手を伸ばすと途中で何かに遮られたかのように手首が曲がり、指が反りかえる。それに驚くと叩いたりノックしたりといろいろと試す。王様も歩いてくると実際に触って確認を取っている。
「これが古代魔法です」
「これはまた……とんでもない魔法だな。これがあれば敵を囲むことも出来るのか」
「まあ、それなりの強度を作りには魔力を必要としますが、それほど魔力の消費が激しいわけではないので楽ですね」
僕は壁を消し去って手紙を読み終えた二人の方をみた。二人は難しい顔で僕の方を見ると頷いて王様とロイ団長に言う。
「この手紙にはレイ君が言った通りのことが書いてあります。それに言い回しや文字が少し古い形をしているのも特徴的なので年代的にもそれくらいかと思います」
「そうですね。これが本当なら私達は遊びのためだけに呼ばれたことになるわね。還る方法も難しいわ」
「して、実際の帰還方法とはどうなのだ?」
王様が二人を見た後僕に訊ねてきた。
「帰還方法は大体わかっていると思いますが、この世界にある残り六つの古代迷宮に眠るアーティファクトと魔法を手に入れなければなりません。それを南の地にある孤島で用いることで神のいる天界へと渡り、七つのアーティファクトと古代魔法で異界の門を作ることらしいです。このアーティファクトと魔法はセラではない属神の神々が創りだしたものらしいです。セラ打倒の鍵となり、帰還への鍵ともなるのでどちらにしろ手に入れなければなりません」
「それが帰還方法なのだな? して、あの手紙が先代召喚者のものだとどうしてわかったのだ? 文字以外にも確信があるのだろう?」
「ええ、本人の遺骨がありました。さすがにここには出せないので一部だけを」
僕はそう言ってボックスから手と服を取り出した。服はボロボロだが当時の学生が来ているような黒い服だ。僕達のと素材が違うがこの世界のものより数段上だ。ユッカと涼風さんは息を飲み、王様とロイ団長は普通にしている。
「この服は僕達の世界のものでしょうし、この人が手紙を持っていたのでおそらく本人だと思います。冒険者にしてはおかしいですし、恐らくポケットに……ありました。これは形が違いますがプレートですよね?」
僕は織田さんのポケットからステータスプレートを取り出してロイ団長に渡した。形は少しだけ厚く銀色をしていて、変色しているところもあるから相当年代を覗えるだろう。それでも壊れないのはさすがアーティファクトと言ったところだろう。
「どうだ、ロイよ」
「ええ、恐らく現代よりもずいぶん前のプレートだと思います。解析するのには少し時間が掛かるかと思いますが……」
「急いで解析を頼む」
ロイ団長は王様の言葉を受けて丁寧に王レートを布で包みポケットにしまった。
そして再び静寂が訪れた。今度は重い空気が流れている。ユッカと涼風さんは僕の方へとよりこの先を見守る。王様とロイ団長は目を合わせると深いため息をついて話し出した。
「……はぁ~。それらの話が本当だとわかった場合、儂らにどうしてほしい。援助するにしても最初の内は陰からのみとなるだろう。残念だが、国民の中には神が全てだと思う者が多い」
「いえ、僕はそこまでの援助を望んではいません。ただ、教会が僕に放つであろう監視や出兵などいろいろとあると思いますが出来るだけ近づけさせないようにしてほしいですね。神が放つ神兵は仕方がないと思いますが、もし僕が殺されてしまえば皆帰れなくなりますから。僕がいなければ帰ることも古代迷宮で手に入れることも出来ないようです。なので、僕は死ぬことが出来ません」
僕はガントレットを仕舞いながらそう言った。王様は一つ頷きそれを了承する。
「それはいいだろう。行かないようにするのは無理だが、出来るだけ時間を稼ごう。他にあるか?」
「他は魔族とあまり争わないでください。出来るだけ早い段階で北大陸へ向かいますが、それまでの間に双方が疲弊してしまっては最後に苦労しますから」
「いいが、我々は何度も魔族を無傷で撃退できないぞ」
「それは僕から素材を提供します。それで装備を整えてください。迷宮で手に入れた竜種の鱗や爪などが大量にありますから」
僕は一枚取り出してそう言った。王様とロイ団長は竜種の鱗に目を丸くし、ユッカと涼風さんは竜種を倒していたことに驚いている。まあ、結構きつかったからあまり戦いたい相手ではないな。
「こ、これを提供してくれるのか」
「ええ、全てというわけにはいきませんが鱗800枚と爪15本でどうですか? あと、宝玉の欠片と逆鱗、牙なんかもありますよ?」
ボックスから宝玉の欠片を取り出してそう言ったら、ロイ団長が何かに気が付き恐る恐る言った。
「も、もしかして、これはファイアードレイクの鱗か……?」
「ええ、そうですよ。下の階層はボスの影響と長年討伐されなかった魔物達がひしめき合い、魔人が生まれかけてました」
「そ、それは本当か! では、今すぐ討伐隊を!い、いや、今はそれどころでは……いるではないか! レイヤ、頼む討伐してきてくれ!」
ロイ団長が一人でヒートアップして言うものだからおかしくて笑ってしまった。
「何がおかしい」
「いえ、もう倒してあるので大丈夫です。迷宮のボスも倒してあるので数千年は大丈夫じゃないでしょうか」
「あ、ああ、そうだったな。レイヤはそこを通ってきたんだもんな。倒していても不思議ではないか。……ところで、どうやって力が付いたのだ?」
僕はその時の状況と遊馬達がしたことを包み隠さず伝えた。ユッカ達は僕が言ったことをしっかり聞いていてくれたみたいで遊馬に何もされなかったそうだ。だが、遊馬の様子は徐々におかしくなり始めているのだそうだ。
「遊馬達には最前線で戦ってもらおう。しばらくはそれが罰だ。すまないな、レイヤ。本当なら打ち首ものなのだが、アスマは一応勇者だからな」
「いえ、恨んではいますが殺したいとは思っていません。僕は復讐のためにこの拳を血に染めたくありませんから。この拳は友を護るためにあります。それはこの拳が砕けようとも、身が滅びようとも変わらない誓いです」
「いいことだな。俺もそれを心がけよう」
「そうだな。我が兵にも通達しておくか」
ええ!? 何かすごいことになってない?!? まあ、僕が考えたことじゃないからいいけど……。
「これだけのものを貰うのならそれなりの対価も用意しよう。まず金銭はあったほうがいいだろう。白金貨百枚分を渡す」
「ひゃ、百枚ですか?」
「ああ、そうだ。竜種に対して言うなら少なすぎる。それにファイアードレイクだと? 伝説の竜種ではないか。鱗一枚白金貨が数枚は飛んでいくわ。幸いウジイ殿にはボックスという技能があるらしいからな、丁度いい」
「そうなんですか。それなら有難く貰います。お金はバラでもらえると助かります」
「ああ、了解した。次に武器関係だが……何かいるか? そういえばウジイ殿は宝物庫で何を選んだのだ?」
あれ? 王様知らなかったのかな? 僕が木刀を選んだことは結構有名なのに。僕は不思議に思いながらボックスから木刀と壊れたブーツ、焦げつき片方が消滅したグローブを出した。
「もらったのはこれです。修復と殺傷能力の付いた木刀と効果のないグローブとブーツですね」
「は? それ以外に何も貰っていないのか? 儂は何でも好きなものを取らせよと命じたはずなのだが……。ロイよ、どうなっておる」
王様はそう言ってロイ団長を見た。ロイ団長もあまり知らなかったようで頭を掻いている。
「私もよく知りません。教会の者が付いて行き、私は訓練の準備をしていたもので付いて行っていませんでした。それにレイヤはそれ以外合わないと言っていたものですから。ステータスが低く、職業も空欄なのでそう言うこともあるかと思ったのです」
「はぁ~、此処にも教会が絡んでいたのか。ますます教会を気を付けねばならぬな。……わかった、もう一度宝物庫で何かないか選んでみてくれ。今度はロイが付いて行ってやれ」
「はい」
「他は……通行証もいるな。しかも特別性の国が身分を保証するというものがな。あとは、足がいるな。あとで国御用達の騎獣屋に連絡を入れておこう。そこで卵を孵し足を作ればいい」
「ありがとうございます」
「なに、ウジイ殿がしてくれたことを思えば安いものだ」
足とはスレイプニルなどの馬車を引く幻獣や魔物のことを言う。卵から何が孵るかわからないが孵ったものがすぐに馬車を引けるようになるのは不思議なことだが、そういった生物なのでしょうがないだろう。
王国は東大陸でも北大陸に近い位置にある。そのため真っ先に狙われるのがこの国オーレライなのだ。そこで防備をしっかりしていれば魔族を撃退することが出来るかもしれない。
他の国は隣国の聖王国と料理の国帝国等が有名だ。聖王国はこの国とは違った意味で宗教国家である。国のトップが教会関係者なのだ。帝国は料理というか豊かで広大な大地を持っているため食べ物が多いのだ。更に近くにある迷宮から食材を手に入れて来そう料理対決もあるらしい。聖王国の近くにも砂漠がありそこに古代迷宮がある。
国同士は人類存亡協定みたいな協力体制を築いているがそこには明確な力関係が合ったりする。王国がやはり一番だが、裏では聖王国の方が力を持っている。そこは宗教国家であるからだろう。また、聖王国には騎竜兵と聖騎士と呼ばれる陸空の最強部隊がいる。帝国はその広大さと北大陸から一番遠い位置にあることと言うのが強い。
ここにその騎士達が到着する前に僕はこの国を出たいと思っている。恐らく神は神託で僕のことを通達している頃だろうからね。封鎖される前にこの国を出てまずは帝国を目指す。帝国は人族が興した国で宗教に余り染まっていない稀有な国だからだ。その後ほとぼりが冷めたら火の迷宮『灼熱のラビリンス』に行こうと思う。
「それで最後になりますが、彼女の紹介をします。驚かないでくださいね」
僕はソフィーに自己紹介をするように目配せすると、ソフィーは小さく頷いて喋り出した。
「私の名前はソフィー・ア・バラン・ラ・ドルチェ・ガドボルグランと言います。役職は先代魔王となりますが、今は魔族に追放されてしまったので目的が一緒のレイヤについて行っています」
やはり身構えはしたが先ほど助けてもらったことと、魔族の話が聞いたのかそれほど大事にはならなかった。
この後は少し質問タイムがあり、ユッカが僕とソフィーがどんな関係かしつこく聞くのがちょっと印象深かった。
「では、貴殿が魔王に返り咲いたときは人族に攻めてこないということでいいですかな?」
「ええ、それでいい。だけど、末端まで言い聞かせるのは難しい」
「それはこちらも心得ておる。多少のことは目を瞑る次第だ。なるべく早く魔王に返り咲くことを祈っておる。双方の平和にも、世界の平和にもな」
「ええ、お互いの利益のために」
王様とソフィーの間で話が進んでいき、王国も出来る限り魔族と言うかソフィーに援助をすることになった。まあ、力を貸すというより邪魔をしないといった感じでだが。
「ではこの後レイヤは宝物庫で装備を整えた後、国を出るのだな?」
「ええ、いつ追手が来るかわかりませんから。聖王国の騎士も近づいているのですよね? まずは帝国を目指します。そこで仲間を集めて迷宮に挑みます」
「確か帝国にあるのは『死水の大遺跡』だったか?」
「ええ、詳しいことは帝国で調べようと思います」
「シラスも付いて行くのだろう?」
「はい、私も行きます。もう離れたくありませんから」
ユッカは極上の笑みを僕に向けてそういった。ソフィーが僕の服を摘まんで少し拗ねたがよくわからない。
「スズカゼも付いて行くのか?」
「いえ、私はついて行きません。行きたいですが、実力をもっと伸ばしてからにしたいです」
「そうか、残ってくれるのならこちら有難いから何も言わん」
「それなら僕の方から迷宮で手に入れた武器を上げるよ。さすがに刀は僕所有になってるから上げられないけど、それ以外にもいろいろと手に入れたから見ていってよ。どうせ売るつもりだったからここに置いて行ってもいいし」
「そうなの? 助かるわ」
僕はその後宝物庫へ案内され、そこで棒術に適した連結式三節棍だ。三節棍とは鎖で繋がった三つの棒のことを言い、真ん中の棒の魔方陣に魔力を流すことで固定され一本の棒になったりする特別な棒だ。名前は武王鋼斬棍といって装備者の筋力を上げ、左右の魔方陣に魔力を通すことで不可視の刃を作り出し斬撃も行える棍だ。その刃の長さは想像で決まるらしい。
他にも大弓『飛龍之巨弓』という名で僕が倒したファイアードレイクほどではないが高位の竜種の皮と骨から作られた大型の弓だ。更に子の弓は折り畳み式で弦が付いていない。魔方陣に魔力を通すことで弦が浮かび上がり、その弦を引くことで魔力の矢を放つことが出来る。最大……はどのくらいかわからないが結構思い通りに放てる。しかも半追尾機能付きだ。
最後に先端が稲妻の様な形の刃がついている槍『雷槍ボルティアランス』という名で、装備者の敏捷度を上げる効果と魔力を吸って雷を発することが出来る。その雷を槍を振ることで任意に飛ばすことも出来る。相手を麻痺させることが目的の槍だ。
僕は代わりに迷宮で手に入れたいらない装備品を粗方仕舞った。ほとんどが六十層や七十層の世には出て来ない高ランクの装備品ばかりで、僕が入れた方が多く価値が高いものばかりだった。だが、僕は重鎧や金属ブーツなど使わないので持っているだけ不要なのだ。できれば食べ物を欲しい。
この後は鱗や爪、宝玉などを置きに国の工房の倉庫へ向かい収めた。その場でお金も貰ったので僕達はいつでも帝国へ行く準備が整った。就寝も王城の部屋を使わせてもらい、食事も豪華になった。いろいろと質問されたが答える気はあまりないので適当にはぐらかしておいた。後のことはロイ団長達に任せるよ。
だが、これからのことで出発前に大変なことになるとはまだ思いもよらなかった。特にユッカのことで……。
ロイ団長が協力するのはまあいいかもしれませんが、王様は無理やりすぎますかね?
教会は屑にする予定なのでどうでもいいのですが、王様は協力体制の方へ持っていきたいのです。とはいっても裏方で、ですが。
国内情勢も無理矢理ですね……。すみません。
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