16 作業所のお皿
とある地域のイベントにふらりと寄った時、あまりにも好みの焼き物のお皿が売られていた。
何の作意のない素朴な手作り。
お値段も150円とかでめちゃくちゃ安かった。
たまたま来て、たまたま見つけたのに爆買いする勇気がなく、数枚買ってその場を去った。
けれど忘れられないあのお皿…
もっと欲しかった。
調べたところ、知的に障がいがある方たちの作業所が出店したとのこと。
すぐにその作業所へ電話をし、どこで買えるのか聞くと、作業所に来てくれて構わないとのお返事をいただいた。
後日。作業所へ行き、裏手にあるプレハブ小屋に案内してもらう。そこに大きなプラスチックケースがいくつもあり、無造作にたくさんのお皿が入っていた。そこから自由に選んでいいとのこと。
たくさん買ったら申し訳ないと言うと「売れたら利用者さんの賃金として還元されます。だからたくさん買ってください」とにっこり言われた。
ええ。任せてください。たくさん買わせていただきます。友人も連れてきます。
そう約束した。
日を分けて何人も友人を連れて向かい、たくさんのお皿を買い付けた。
大きなものから小さなものまでたくさん揃えた。
作る人のことを考えてか、扱いやすい柔らかな土を使っていてとても脆く割れやすい。ちょっとぶつけるとすぐに欠けたり割れたりするので、それを言い訳にその都度買い付けた。
ずいぶん時間を空けて「また伺いたい」と連絡すると「陶芸の先生がお辞めになられて、お皿ももうあまり残っていないんですよ。それで良ければ」と言われてすぐに向かう。
本当に少ししか残っていなかった。その中から何枚か買い付けた。
欠けたお皿をまとめて処分してしまった事があり、欠けたやつでも使ってればよかったと、もっと買っておけば良かったとすごく後悔した。
今も悔やんでる。
長く使って、今手元に残ったのはこの数枚。
もう買う事が出来ないので、他のどのお皿より大切に使っている。




