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【WEB版】水魔法なんて使えないと追放されたけど、水が万能だと気がつき水の賢者と呼ばれるまでに成長しました~今更水不足と泣きついても簡単には譲れません~   作者: 空地 大乃
第八章 救いたい仲間たち

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第248話 失敗は許されない

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

 ガイの処刑日が決まってから、後は任せて待っていて欲しいとマキアに言われた。それから暫くマキアは朝にはでて夜に戻る日が続いた。


 だけど、僕としては気が気ではなかった。そうこうしている内にガイの処刑される日が近づいているのだから。


 だから僕も動こうと思ったのだけど、マキアからは止められていた。幾ら変装しているとはいえ、下手に動いては怪しまれる確率が高いから、だから今は自分を信じて待っていてと言われたんだ。


 だから僕たちは待った。そして遂に明日、ガイの処刑の日が来てしまうんだ。


「もうこれ以上待てないよ!」


 借りている部屋で僕は憤りを覚えていた。部屋にはマキア以外の皆も揃っている。


「そうは言ってもな。俺等に出来る事なんて限界があるだろう」

「でも、もう時間がないよね」

「うむ。マキアは一体何をしているのだ? まさか――約束を破ったわけではあるまいな。もしそうなら、ザックス貴様どう責任をとるつもりだ?」

「え! 俺ッ!?」

「師匠。こいつを凍すなら手伝う」

「待て待て! クソ! だからこんなことに関わりたくなかったんだよ!」


 ザックスが頭を抱えた。でも頭を抱えたいのは僕も同じだよ。何とかしないと、このまま指を咥えているだけなんてありえない。


「こうなったら明日直接乗り込んでガイを助けよう。それしか手はないよ」

「スピィ! スピ~!」


 僕の決意をスイムは応援してくれているようだった。皆の顔も引き締まる。


「そうだね。ネロの言う通りこのまま黙っていられないもん」

「いやいや、勝手に話を進めないでよ全く」

 

 エクレアも僕に同調してくれたところで部屋の扉が開きマキアが会話に加わった。


「姉ちゃん! どうすんだよ! 明日が処刑だぞ! このままじゃ俺まで処刑されちまうよ!」

「まぁあんたのことは煮て食おうが焼いて食おうがどうでもいいんだけどね」

「こんなもの食えるか」

「凍してもまずそう」

「何から何まで酷くね!」


 ザックスが叫んだ。中々気の毒な扱いだとは思うけど、今重要なのはそこじゃないんだ。


「マキアさん。処刑はいよいよ明日なんですよ。それなのに!」

「いや、これでいいんだよ。作戦の段取りは上手くいったからね。明日私たちは依頼人の下へ向かう。そこでガイを助けるんだよ」

「はい?」

「スピィ?」


 マキアの話に僕は疑問符しか浮かばなかった。スイムも同じ気持ちだと思うよ。


「いやいや! 依頼人って明日が処刑なのにそんな呑気なこと言ってる場合じゃないよね!」

「へぇ~例えばその依頼人がアクシス家だとしてもそう思う?」

「へ? あ、アクシス、え、えええぇええぇええぇッ!?」

 

 仰天してしまって思わず転倒するところだったよ!


「おいおい姉ちゃん。まさか今回の仕事の相手って?」

「そう。相手はアクシス家。実はね、私は処刑日が近いことも知っていたの。前から仕事の話は貰っていたからね。内容が内容だから最初受ける気はなかったんだけど、貴方達から話を聞いて気が変わったってわけ」

「えっと、それじゃあ今日まで出ていたのは?」

「アクシス家との打ち合わせの為よ。あいつら処刑を祭りと同様に考えているみたいだからね。屋台まで用意して見物客も集めて盛大にやろうっていうのさ。本当悪趣味過ぎて話を聞いている間、笑顔を取り繕うのに苦労したわよ」


 そう言ってマキアが眉を顰めた。それにしてもガイの処刑がそんなことになっていたなんて。だけどあいつらならやりかねない。そんなのが自分の家族だと思うと嫌悪感しかわかないよ。


「それで姉ちゃんは一体どんな仕事を受けたんだよ」

「アクシス家の次女と夫人にメイクを施す仕事だよ。処刑の日でも着飾って出たいんだって。全くお貴族様の考えていることはわからないよ」


 言ってマキアが両手を上げた。それにしても妹と母、つまりアンダラとスネアも処刑の日にいるってことだね。そのおかげでアクシス家に入り込むことが出来るようだけど――


「とにかく決行は明日だ。処刑の日のぶっつけ本番だから皆気合い入れていくよ」


 マキアが最後にそう締めくくった。そう、処刑が実行される前に必ずガイを助ける必要がある。失敗は許されないんだ――

本作のコミカライズ版がコミックノヴァにて連載中です!

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