第239話 アクオルにて――
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無事にアクオルに入れるか心配だったけど、マキアが上手く話してくれたおかげで街には意外とあっさり入ることが出来た。
アクオルの街は活気に溢れていた。アクシス領の中心地だけあるね。何なら昔よりも人が多いぐらいだ。
「姉ちゃん、とりあえずどうする?」
「宿に先ず行ってもらおうか。食堂も隣接しているからそのまま食事も出来るからね」
マキアの案内に従って馬車は進み宿屋についた。外観が立派な宿屋で馬車も預かってくれるみたいだね。
そしてマキアが部屋を取ってくれたのだけど――
「ちょ、どうして僕がエクレアと一緒の部屋!」
「スピィ?」
部屋に案内されて驚いたよ! まさかエクレアと同室だなんて、エクレアも顔を真赤にさせて戸惑っているよ!
「仕方ないのよ。今はネロも女の子なわけだし」
「いや、それならシングルでもいいような」
「空いている部屋は三部屋だけだったし」
その結果、僕とスイムとエクレア、アイスとウィン姉、マキアとザックスという組み合わせになったようなんだけど――
「いや、でもマキアさんはザックスさんと一緒なんですよね?」
「私たちは姉弟だから別に」
「納得がイカァアアァアアン!」
そこで吠えたのはウィン姉だった。
「姉弟でいいのなら当然私と愛弟だろう!」
「アイは師匠と一緒で嬉しい!」
「まぁ、ほら、今は姉弟だって隠してるわけだしねぇ。寧ろ二人が一緒だと目立ちそうだから避けたいんだよね」
何か色々いいつつもマキアがニヤニヤした顔でこっちをみているような? でもやっぱりこれは、部屋を改めて見たらベッドもダブルだし!
「え、エクレアだってこんなの困るよね?」
「え? あ、うん。でも、し、仕方ないよね」
「スピィ~♪」
仕方ないって、えぇ! 受け入れるってこと!? スイムが嬉しそうにはしているど、こ、これは色々問題が。
「とりあえず部屋はこれで取ってるし。まぁ内々で変わる分には問題ないんだから後でまた考えるとして、とにかく先ずは食事をとって腹ごしらえしておこう!」
結局、部屋割りについては有耶無耶なまま、僕たちは食堂に向うことになったよ。うぅ、でもこんなことで頭を悩ませることになるなんて思わなかったよぉ。
色々と思うところはあったけど僕たちは食堂で食事を摂ることになった。丁度昼時ということもあってか席は満席で少し待ってから案内されることになったよ。
「……ここで食事を摂るのも久しぶりだな」
思わず言葉が漏れた。
「そうか。ネロにとっては故郷の料理でもあるんだね」
「スピィ~」
エクレアの言う通りでもある。そう考えると懐かしくもあるかな。あいつのことは大嫌いだったけどだからといってアクシス領そのものが嫌いというわけではない。
だからか懐かしくもある。頼んだ料理が運ばれてきて食べると、心に染み渡るものがあったよ。
「午後から広場で裏切りの勇者の顔見せがあるんだってよ」
「あぁ、処刑日もそこで発表かもな」
「勇者のクセに人殺しなんてふてぇやろうだぜ」
「死んで当然よね」
懐かしさを感じながらも食事を摂っている僕たちの耳にそんな会話が飛び込んできた。勇者、つまりこれからガイが広場に――
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