第233話 マキアの手で変わる面々
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「はぁやっぱり予想通りね! 皆素敵よ! 本当全員化粧のノリが最高でこっちも久しぶりに腕がなったわ」
マキアがご機嫌な表情で僕たちの姿を評した。そう僕たちは変装の為にマキアによって化粧を施された上に衣装まで用意してくれた。
うん、それはいい。いいんだけどね。
「なんで僕が女の子に!?」
「スピ~♪」
そうなのだ。マキアが僕に施したのは女装だった。しかもかなりテンション高めで……髪も付け毛でロングに見せていて自分でもちょっと違和感――
ちなみにスイムはマキアに着せられた僕のワンピースの中にいる。胸に見せる為にね。勿論それだと一つ足りないからその分はマキアが用意してくれた、て、そんなことはすごくどうでもいいよ!
「マキア――」
ふとみるとウィン姉の肩がプルプルと震えていた。ヤバい! まさか僕が女の子の姿になったことで怒ってるとか!
「貴様は――端的に言って最高だぁああぁああ! 私は今猛烈に感動しているーーーーーー!」
「えぇえええぇええぇえええ!?」
「スピ~~~~!?」
ウィン姉の反応に僕とスイムは驚きの声を上げたよ。まさか女装した僕に対して最高だと言われるとは……。
「まさか愛しの弟にこんな一面があったとは今すぐ挙式を上げよう愛弟よ!」
「いやいや色々とおかしいから!」
ウィン姉が鼻血を垂らしながら求婚してきた。いやいや姉弟だからね、て問題はそこじゃないよ!
「で、でも本当にネロってば可愛い。私、負けてるかも……」
頬を赤らめてそんなことを口にするエクレア。いやいや絶対そんなことありえないからね!
「え、エクレアだって似合ってると思うよ」
とにかくエクレアを褒めることにした。ちなみにエクレアは髪を下ろしていつもと雰囲気の違うドレスに着替えただけ、なんだけどそれでも随分と雰囲気が変わっているよ。マキアによると普段活発なイメージのエクレアだからこそ清楚系にするだけで気付かれにくくなるんだとか。
「アイは師匠も素敵だと思います! 男装もかっこいい結婚したい」
「すまんなアイス。私はネロという心に決めた相手がいるのだ」
アイスがウィン姉を褒めていた。心からの言葉だと思うよ。何か恋する乙女の顔をしているし。そんなアイスも実は男性に変装させてもらってるんだけどね。
「てか姉ちゃん。なんで俺はこんなわけのわからない姿なんだよ!」
声を上げたのはザックスだった。ザックスはターバンを巻きサングラスをして首巻きをしダブダブの服を幾重にもして着ているといった様相だった。うん、確かにちょっと奇抜かも。
「あんたは元商人という設定よ。今は借金に追われて渋々私の手伝いとして雇われているけど昔の優雅な生活が忘れられず勘違いしたまま今に至る痛々しい奴って設定なんだからそれでいいのよ」
「なんだよその無駄に凝った痛い設定は!」
ザックスが思わず声をあげた。う、うん、確かに濃い設定だよね……。
「しかしこの格好だと少し胸がキツイぞ。エクレアは性別そのままで楽そうでいいな」
「まぁそこは我慢して。それにエクレアぐらい大きいと流石に無理があるからね」
そう言ってマキアがエクレアの一部に視線を向けた。エクレアの顔が僅かに紅潮する。なんだか聞いてはいけないことを聞いてる気がするよ!
「それに男女のバランス的にはこれぐらいが丁度いいからね」
「えっと、それなら僕がこの格好する必要はあまりなかったような?」
別にウィン姉かアイスが女の子のままで僕がそのままでも良かった気がするんだけど。
「それは絶対に駄目だ!」
「師匠がそういうのだから受け入れるしかないのだ!」
「そんなの駄目よ勿体ない!」
「う、うん。私も正しいと思うかな」
何故か皆して僕がそのままなことに否定的だよ! エクレアでさえ控えめにではあるけど今の僕の格好に賛成みたいだし!
「とにかくこれで準備が出来たわね」
言ってマキアがコクリと頷いた。気になるところはあるけど確かにこの格好ならバレることはないかもね。
「それで姉ちゃんいつ出るつもりなんだよ?」
「そんなの決まってるわ。今でしょ!」
「今ぁッ!?」
ザックスが顎が外れんばかりに驚いていた。確かにまさか今すぐとは思わなかったけどね。
「助かります。事態は一刻を争いますから」
「だろうね。そう思ったわよ。そういうわけだからあんたもさっさと準備しなさい!」
こうして変装を終えた僕たちはその足でアクシス領に向うことになるのだった。ガイ――絶対に助けてみせるからね!
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