第231話 酒場でのザックスとの再会
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レイルの話を聞いた後、エクレアがガロンに装備品を見てもらい手入れをしてもらった後で工房を出た。
「いい店だったな。機会があれば私も何か作ってもらうか」
歩きながら笑顔でウィン姉が言った。ウィン姉は剣の紋章も宿しているからね。だからガラン工房に剣をお願いしてもおかしくないけど、それだけあの工房が気に入ったということなんだだろうね。
「でもレイルが持ってきた斧というのがちょっと気になるね」
言ってエクレアが心配そうに眉を寄せた。斧を見てもらおうと持参したレイルは何か思うところがあったようだとガランは言っていた。それをエクレアは気にしているのだろうか。
「人の事など気にしている場合ではないだろう。今は弟の心配事をなくすほうが先決なのだからな。無論このまま抜けても私は構わぬがな! その分この私が弟を愛でる!」
「い、行きますよ! ぜったい抜けたりしませんから!」
ウィン姉の発言に対してエクレアが慌てたように言った。僕としてもエクレアが一緒だと心強いんだよね。
「それなら丁度いい時間だと思いますよ師匠!」
「うむ。本来の目的を忘れてはいなかったようだな。やるではないか」
「えへへ~師匠に褒められてアイ嬉しい!」
ウィン姉に頭を撫でられてアイスが相好を崩した。アイスってこんな表情もできるんだね。そしてウィン姉がだんだんとアイスの扱いに慣れてきている気がするよ!
そして僕たちは再びあの酒場に戻ってきた。この時間になるとお客の数も増えているようで店内ではロッドも忙しそうに動き回っているよ。
「おう、来たな。そっちにいるぜ」
マスターが指で堰を示してくれた。そこには確かに以前アイスと昇格試験に挑んでいたザックスの姿があった。その対面にはピンク色の髪をした女性がいてザックスと酒を呑んでいる。
爪の長い女性で派手なドレス姿でもあった。長い爪には何か色々と装飾が施されているよ。
「ザックス見つけた」
「ん? ゲッ! アイス! お前なんでこんなところにいるんだよ!」
声を上げたアイスに気がついたザックスが随分と驚いていたよ。だけど何かアイスを避けているような雰囲気も感じられるんだけど……。
「別にお前にようはない」
「お前、こんなところまで喧嘩を売りに来たのか?」
アイスにハッキリ言われて不機嫌な顔になるザックス。だけどその後僕たちも一緒なのに気がついたようだよ。
「うん? お前らは確か昇格試験の」
「はい。お久しぶりです」
「スピィ~♪」
僕とスイムが挨拶を返すとザックスが困ったような顔を見せたよ。
「お、おう。あんたも色々あって大変だったよな」
あぁそうか。ザックスはきっと気を遣ってくれているんだね。怪我をした僕の見舞いにアイスが来てくれた時にザックスも一緒だったからね。もしかしたらガイのことも知っているのかもしれない。
「再会を分かち合うのも結構だが本題に入らないとな」
僕たちのやり取りを見ていたウィン姉が言った。あまり話が脱線しないように考えてくれているようだね。
「いや別にわかちあってなんてない、てってぇえええぇ! あんたまさか暴風姫のウィンリィか!」
「ほう。私の事を知っていたか」
目玉が飛び出そうな程に驚くザックス。やっぱりウィン姉は冒険者として有名なんだろうね。
「そりゃ有名人だからな。実力は間違いなくSランクなのに色々とやらかしてるせいでAランクに留まっているともっぱらの噂だぜ。まさかその本人にうわっ!」
ウィン姉の存在に驚いていたザックスだけどその直後別な意味で驚くことになった。何せ腕が凍りついていたからね。その近くには冷たい目をしたアイスがいるよ。これ絶対に怒ってるよね!
「お前、アイの師匠を馬鹿にした。万死に値する」
「待て待て! 別に馬鹿にしてねぇよすげぇと思ってんだよ!」
「てかさ。さっきから私をおいてけぼりにして盛り上がりすぎじゃね?」
アイスとザックスが言い合ってるところで対面の女性が呆れた目で言った。た、確かに。でも本来の目的はこの人に会うことなんだよね――
いよいよ本作のコミカライズ版の連載が一二三書房の漫画レーベルである『コミックノヴァ』にて始まります!連載開始は今月10月11日からです。水魔法の魅力がたっぷりつまったコミカライズ版です。一人でも多くの方に読んで頂けると嬉しく思いますのでどうぞ宜しくお願い致します!




