表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】水魔法なんて使えないと追放されたけど、水が万能だと気がつき水の賢者と呼ばれるまでに成長しました~今更水不足と泣きついても簡単には譲れません~   作者: 空地 大乃
第七章 Cランク試験への挑戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

191/295

第189話 共闘?

「……こんなことで俺が絆されると思ったら大間違いだからな」

「はは……」


 レイルはやっぱり僕を疑ってるみたいだ。一度は口を噤んだけどやっぱり止まらなかった。


「お前いい加減にしておけよ」

「フンッ」

 

 ガイに言われレイルが鼻を鳴らした。その後安全そうな場所まで移動したところで手持ちの生命の水を足に掛ける。これで怪我も治るはずだ。


「これでだいぶ良くなるはず」

「……なんでここまでする」

「え?」


 レイルが聞いてきた。足を治療して楽になったのか口調にも余裕が出てきた。


「そこの男の言う通り放っておいた方がお前にとっては良かっただろう」

「……良くないよ。そんなことしたら僕は冒険者失格だ」

「は、こういう男なんだよ。ネロは。言っておくが俺なら確実に見捨てたからな。失格だろうと関係ねぇよ」

 

 ガイはそう言ってくるけど僕は結局見捨て無いんじゃないかと思ってる。ガイだってなんだかんだでそういう男だと思うよ。


「ネロは貴方のために貴重な回復薬まで使ったのですよ」

「そうよ。あんた少しは感謝しなさいよね」

「…………」


 セレナとフィアに言われるもレイルは答えなかった。それからは暫くレイルも黙っていた。


 僕たちは移動を再開させる。同じ場所に留まるのは危険だ。暫くは一本道が続いているよ。


「スピィ! スピィ!」

「スイム急にどうしたの?」


 突然スイムが騒ぎ始めた。エクレアが心配そうに聞いていた。するとスイムが突如前方の壁に向けて水を放出。

 

 壁に命中するなり燃焼した。スイムの特技である燃える水だ。だけどそれをどうして? と思ったが――


「「「「ギャギェ! ギェギェギェェエエェエエ!」」」」


 突如壁から悲鳴が聞こえてきて燃えたゴブリンが転げ回った。これはゴブリンが壁に擬態して隠れていたってことだよね。


「スイムはこのゴブリンに気がついて教えてくれようとしていたんだね」


「スイム凄い! 私全然気づかなかったよ」

「スピィ~♪」


 エクレアとフィアがスイムを褒めて撫でていた。スイムも褒められて嬉しそうだけど、ガイは険しい顔をしていた。


「ガイそんな顔してどうしたの?」

 

 セレナもそんなガイの表情に気がついたのだろう。問いかけていた。


「……スイムが気づいてよかったが、ゴブリンがこんな真似までしてくるなんて普通じゃねぇ。俺たちが思っている以上に不味い状況かもな」

「……フン。今更だな。この俺でさえゴブリンに負傷させられた。言っておくがこいつらにはホブゴブリンを含め杖持ちのゴブリンシャーマンやアーマーゴブリンも生まれてる。放っておけばゴブリンの戦力はどんどん増していくだろう」


 これまで黙っていたレイルが口を開いた。ゴブリンシャーマン――ゴブリンの中で魔法が使えるタイプはそう呼ばれる。アーマーゴブリンはゴブリンの皮膚が鎧のように変化し硬質化したものらしい。


 どれも本来は珍しいものだ。通常はすべて同時に生まれることなんてないと言われている。だけどレイルの言う通りならそれらのタイプも出揃っていることになる。


「とにかく先に進むぞ。レイルお前のことは気に入らねぇがこんな状況だ。怪我も治ったなら協力してもらうぞ」

「――チッ」


 レイルがそっぽを向いて舌打ちする。ただ嫌だとは言っていない。致し方無しといったところなんだろうけどここは協力してくれるようだ。


 そして暫く進むと――途端に騒がしくなってきた。しかもその中には悲鳴も紛れている。確実に戦闘が起きている。


「急ぐぞ!」


 ガイが駆け出しすぐさまレイルも飛び出した。僕たちも後に続く。たどり着いたのはこれまで以上に広い空間だった。


 しかもここは石筍も多く生えていて障害物となっている。岩も多くただ広い空間ということもない。


 そしてゴブリンはそれらの障害物を逆に利用して戦っていた。ゴブリンが小柄なのも相まってゴブリンにとってこの環境は優位に働くようだ。


「不味いな。ゴブリンは完全に地の利を活かしてやがる」

「くそ! 冒険者が揃いも揃ってなさけない!」


 この状況を見てガイとレイルが苦い顔をしている。見ただけでゴブリン側が優勢なのはわかった。中には必死に抗っている冒険者もいるけど、負傷して倒れている冒険者も多い。


「矢に気をつけてください。恐らくですがゴブリンは矢に毒を塗布しています」


 セレナがぐるりと広間を見渡し言った。矢を受け倒れている冒険者もいるけど顔色が悪い。そこから毒だと判断したんだと思う。


「セレナはけが人の手当てだ。この状況で怪我して寝っ転がられるのは邪魔でしかねぇ。あとはセレナのサポートが欲しいとこだが」

「それは僕が引き受けるよ。毒だけじゃなくてけが人の手当も必要な筈。それなら僕の水があればセレナと協力して回復薬が作れる」

「私も一緒に行く! セレナとネロは魔法系だしね」

「スピィ!」

「だったらフィアとあとはレイルか、お前やれんのか?」

「バカにするな! 貴様らこそ足手まといになるなよ!」


 今の口調、ガイは敢えてレイルを挑発したように見えるよ。そういうところガイは上手いよね。


 とにかく今は少しでも状況を良くする為に立ち回らないと。ガイの言う通りならきっと猛獣狩人や試験官の二人も動き出している筈だしね――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ