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【WEB版】水魔法なんて使えないと追放されたけど、水が万能だと気がつき水の賢者と呼ばれるまでに成長しました~今更水不足と泣きついても簡単には譲れません~   作者: 空地 大乃
第七章 Cランク試験への挑戦

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第175話 電光石火のごとく

「くっ、くそ! 速すぎて目で終えん!」


 レイルが驚愕した顔で声を上げる。エクレアの動きは以前とは比べ物にならないぐらいに加速していた。


 レイルもその分身も今のエクレアの動きにはついていけてない。急加速したおかげで泥の影響もなくなった。


「ハァアアァアアァアア!」

「くっ、なめるなぁあ!」


 エクレアの攻撃に真っ向から挑もうとするレイル。しかしエクレアは更に加速しレイルの攻撃を躱した。すれ違いざまに雷を纏ったエクレアの鉄槌がレイルと分身に多段ヒットする。


「俺の装甲が――」

 

 雷の如き速さを体現したエクレアの波状攻撃によって、ついにレイルの土の装甲も剥がされ始めた。


「これでどう!」


 更にエクレアの強烈な一撃によってレイルが生み出した分身が粉々に砕け散った。そのままレイルにも打撃を繰り返し本体の装甲も破壊されむき出しになった箇所に次々と攻撃が降り注いでいく。


「グッ、グハッ!」


 苦しそうな声を上げるレイル。装甲が無くなったことでレイルにも攻撃が届くようになり、それに気付いたエクレアは更に勢いを増した。


「これで終わり!」


 強烈な一撃がレイルの胴体を捉えた。バチバチと電撃が迸りあまりの衝撃に吹っ飛ばされたレイルは倒れ、その場にうずくまった。


「ハァ、ハァ、ど、どう? これで決まりよね?」

 

 片目を閉じエクレアがそう呟く。レイルを圧倒していたエクレアだが彼女自身もかなり消耗していた。閃いたばかりの武芸や魔法は体力や魔力の消耗が激しい。ましてやエクレアは雷と槌の紋章を授かったハイブリッドだ。


 故に体力と魔力の両方を消耗してしまう。既に電光石火の効果も解けていた。これ以上続けては体が持たないと判断してのことだろう。


「ありえん、この俺が、ま、負けるなんて」


 レイルが地面に手をつき、信じられないといった表情でそう呟いた。土の装甲は完全に破壊され半裸状態だ。


「まだやる気?」


 エクレアが聞くがレイルは黙ったままだった。しかし体が思うように動かないようでもあり、傍目には既に勝負は決まっていた。


「スピィ~!」


 勝敗が決したと感じ取ったのか茂みからスイムが飛び出し姿を現した。


「スイム。ありがとう助かったよ」


 エクレアはピョンピョンっと近づいてくるスイムを抱き寄せその頭を撫でた。


 エクレアは感謝の気持ちで一杯だった。途中でスイムが水をかけたことで戦闘の流れが変わったからだ。


 エクレアが有利に立てたのもスイムの援護があってこそなのである。


「まだだ。俺は、まだ!」

「うそ――またやるつもりなの……?」


 レイルがっゆっくりと立ち上がりエクレアを睨んできた。どうやらまだ負けを認められないらしい。ただ蓄積されたダメージで足元も安定しておらず、とても戦える状態でないのは確かだ。


「もうやめようよ。そんな状態で続けても仕方ないし。スイムにやったことは許せないけどこれ以上戦っても無意味よ。試験だって続けないとだし」

「――そんなことお前が勝手に決めるな」


 レイルが憎々しげに言葉を返してきた。その時である、空に多くの鳥が姿を見せた。カラスや鷹などその種類も多い。


 すると鳥の群れから一羽がエクレアたちに近づいてきた。そして――


『――Cランク試験受験者に次ぐ。この知らせを以て一旦作業を中断し直ちに集合場所まで戻ってくるように。これは命令である。この知らせを聞いた受験者は直ちに戻ること。繰り返すこの時を以て――』


 そんな声が鳥から発せられた。鳥が喋ったのかと最初エクレアは驚いたが、よく聞くと女性試験官の声であることがわかった。


 おそらく武芸や魔法によって鳥を通してメッセージを届けているのだろうと判断。しかしどことなく声から緊迫した様子も感じられ、それが気になるエクレアなのだった――

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