第151話 彼は素直じゃない?
「ガイたちも無事これたんだね」
僕はガイ、フィア、セレナの三人に気がついたから声を掛けた。だけどガイは僕をチラッと見ただけで特に何も言わない。
「ネロとエクレアも間に合って良かったわ」
「はい。特にレストランは大変でしたから」
フィアとセレナは僕たちが間に合ったことを喜んでくれた。
そしてセレナの発言。レストランといえば確かに謎解きがあったからね。
「ちょっと捻った謎だったよね」
「それもですが、何よりも問題なのはあれだけ料理が美味しいのに時間がないからと全て食べさせてくれなかったことです。もっと味わいたかったのに!」
セレナが悔しそうにしていたよ。そういえばセレナは食べるのが大好きだからね。
「お前をあのまま食べさせ続けたら時間が幾らあっても足りないだろうが!」
ここでガイがやっと言葉を発した。僕にではなくセレナへのツッコミだったけどね。
「そんなこと言って着いたら結構余裕があったじゃないですか」
「いやそれ結果論だろう……」
ガイが目を細めた。セレナは食べたかった物が食べられなかったから少しご機嫌斜めなのかな?
「ガイ。お互い試験頑張ろうね」
「……チッ。勘違いするなよ。俺は馴れ合うつもりはないからな」
ガイがそっぽを向いて答えた。
「こんな事を言ってますがガイはネロが間に合って嬉しいのですよ」
「ま、素直じゃないのは今に始まったことじゃないからね」
「くっ! 勝手なこと言ってんじゃねぇぞ!」
セレナとフィアの指摘にガイが顔を真っ赤にさせていたよ。なんだかんだいつも通りで安心したかな。
「試験は真剣勝負かもだけど、でもやっぱりこのメンバー全員で合格したいよね」
「うん。そうだねエクレア」
「スピィ~♪」
エクレアの言葉にフィアが反応しスイムもプルプルと震えているよ。
でも確かにそうだね。試験はそこまで物騒なものではないだろうし。勿論甘いものではないんだろうけど可能ならガイたちと一緒に合格したいね。
「おう。これで全員か」
何かとても耳に残る声が聞こえてきた。見ると髪が天を突かんばかりに立ち上がった銀髪の男性の姿があった。
隣には件の周囲を奏物に囲まれた人の姿もあったよ。
「そうですね。ここまででがラインで」
「おう。じゃあ一先ずここにいる連中の大体は受験資格ありってことだ。良かったなお前ら」
そう言って銀髪の男性が手を叩いた。祝ってくれているつもりなのかな。
だけど口調が妙に引っかかる気も――
「大体ってどういう意味だろうね?」
「スピ?」
エクレアが疑問を口にした。スイムも首を傾げるような動きを見せているよ。
「し、試験場所はここか?」
「間に合った?」
「お前ら全員受験者だろう? てことは大丈夫だよな?」
その時、何人かの冒険者がやってきて声を揃えた。どうやら今到着出来たみたいだね。
「はいご苦労さん。今来た奴らはもう帰っていいぞ。というか帰れ」
「「「「「は?」」」」」
だけど銀髪の男性が今到着した冒険者にむけて突き放すように言った。
本当にさっきの時点で打ち切ってたんだ。ちょっと可哀想な気もするけどやっぱりこういうところは厳しそうだね――




