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【WEB版】水魔法なんて使えないと追放されたけど、水が万能だと気がつき水の賢者と呼ばれるまでに成長しました~今更水不足と泣きついても簡単には譲れません~   作者: 空地 大乃
第六章 Cランク昇格試験に向けて

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第114話 旧アクア鉱山探索⑧

「何とか撒けたみたいね」


 あの怪物と距離を取ったところでフィアが言った。僕も振り返って様子を見てみるけど追ってくる気配はない。


「それにしてもあの再生力は驚きね。まともに相手なんて出来ないわ」

「はい。あのまま続けても被害が増えるだけでしたね」

「スピィ~……」


 皆あいつから逃げられたことで安堵してるね。スイムもどこか疲れた顔をしていてちょっと心配になる。


「スイム大丈夫?」

「スピィ~♪」


 頭を撫でながら聞くとプルプルして嬉しそうに鳴いてくれた。


 ただ、やっぱりどことなく疲れていそうなんだよね。


「スイム水飲む?」

「スピィ~♪」


 生成した水をスイムに飲ませてあげた。どことなく体が潤ってきたような気がするけど、やっぱり少ししんどそう?


「スイムちゃん調子悪いの?」

「うん。疲れてるのかも」

「大丈夫? 無理しちゃ駄目よ」

「スピィ~」

「……もしかしたらこのあたりの空気が影響しているのかもしれません。正直私もちょっと息が詰まりそうなので」


 そういえばセレナの顔色も優れないようだ。何だが妙な敵が現れ始めてから空気が重たい感じは続いているけどね。


「とは言え今更戻れないし先に進むしかないわね」

「うん。そうだね」

「セレナは私の後ろにいて何かあったら私が守るよ」


 ギュッと鉄槌の柄を握りしめてエクレアが言った。本当エクレアは勇ましい。


「なら今度は僕が前を歩くよ」

「大丈夫ネロ?」

「うん。水魔法で防御も固めてるしね」


 水魔法・一衣耐水を行使しておいた。ただ杖にヒビが入っているのが気になる。


 怪物のいた場所から先は蝋燭が飾られていて少しは灯りが確保されていた。


 そこから進んでいくと蝋燭は途絶えたのだけど今度は淡い光が続いていた。


 そして更に進むと――


「これって地底湖?」

「スピィ……」


 目の前に広がった光景をみてフィアが言った。スイムも反応を示すけど、小刻みに震えていて僕の首元にすり寄ってきていた。


 甘えん坊なところもあるスイムだけどやっぱりどことなく様子が異なる。


「この湖……すごく濁ってます」

「なにか黒いよね。すごく不気味……」


 セレナとエクレアも湖を見ながら不安そうにしていた。確かにこの水はすごく濁っていて黒い。


 まるで何かに侵されているようだ。


「「「「キシャーーーー!」」」」

「――ネロ湖からなにか出てきた!」

 

 フィアが叫び湖から翼の生えた魚が飛び出してきた。ギョロリとした目玉に鋭い牙が生えていて羽ばたきながらこっちに向かってくる。


「水魔法・噴水!」


 魔法を行使した。水が勢いよく吹き出し怪魚の三匹は巻き込まれ吹き飛び天井や壁に叩きつけられた。


 だけど一匹は大回り気味に逃れてセレナに向かっていく。


「セレナ危ない!」

「任せて! はぁああぁああ!」


 エクレアが向かってきた怪魚を鉄槌で殴り叩き潰した。


 グチャッと潰れた姿は結構グロい……。


「ありがとうございますエクレア」

「気にしないで仲間だし!」

 

 うん頼もしいねエクレアは。でもこの不気味な魚やっぱりこの湖の影響かな?


「スピィ……スピィ~!」


 僕が一人考えているとスイムが何かを訴えるように鳴いた。


 何かを警戒してる? すると湖からゴボゴボと泡が立ちそして大きな水柱が発生し巨大な影が浮かび上がった――

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