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Ep.マリー

※今回はフィリス(アイリス)ではなく別人視点のお話です。本編の時系列からも少し外れます。外伝のようなものなので見なくても(多分)話は繋がります。それでも良ければ読んでいってください。

私はマリー。グランベイル侯爵家で使用人をやっている者だ。と言っても名目上こそグランベイル家に仕えている私だが、本当は私の主、アイリス・グランベイル様専属の使用人みたいなものだが。業務的にも心情的にも。あの日から私の忠誠心はアイリス様一人のものなのだ。

そんな主のために日々粉骨砕身働く私だが、近頃どうにも業務に集中しきれない。その原因は主であるアイリス様の不審な言動にある。最近のアイリス様は突然意味不明な言葉を口走ったり、よくわからない物を作ろうとしたりする。何より貴族であり淑女であろうと日々己を律してきたあの方からは考えられないほど奔放な振る舞いをすることが多くなった。 

始めはアイリス様のことなので何かお考えがあったのことと見て見ぬふりをしてきたが、流石に違和感が勝ってきた。この人は私の知らない別の人なのでは、などと馬鹿な考えまで抱いてしまう始末だ。


私は自身の馬鹿な考えを振り払うように頭を振り、ふと空を見上げた。暗い空にはそこだけぽっかりと穴が開いたように綺麗な満月が浮かんでいる。


そういえば、あの日も丁度こんな夜だった。何があろうとアイリス様に着いて行こうと決めたあの日も。





もう7年も前の話、当時14歳の私はこの世界の何にも期待していなかった。商家の次女として生を受けた私は生まれた時、赤子に家の跡継ぎの男子を期待していた両親からさぞがっかりされたらしい。

それでも他の商家に嫁入りすることが決まっていた長女以外に子供が居なかった両親は、私を跡継ぎとして教育した。婿を取ればいいのにと思ったこともあったが、狭量で猜疑心の強かった親は商会を乗っ取られることを危惧してそれをよしとしなかった。

それ自体は私にとってはなんでもないことだった。何より私自身商売に関わることも学ぶことも嫌いではなかった上、商才も悪くないものだった。少なくとも、自身の代で商会を傾けた親よりは。

このまま女性としてではなく商人として終生を生きるのだと、何の疑いもなくそう思っていた私だったが、なんてことないたった一つの出来事で私の人生設計は全てご破算になった。

両親の間に子供が生まれたのだ。男の子が。跡継ぎを得て狂喜した両親。同時に私への商人としての教育は打ち切られ、なんらかの形で他家に出されることが決まった。

私が凡庸なら、家に残って商業を学んだ先達として弟を支える道もあったのかもしれない。しかし私は優秀だった。優秀故に両親は弟と私で商会を二分することを恐れ、私をどうしても家から離したかったのだ。

それまでの努力を否定された私は両親に猛反発したが、優秀だったとはいえ当時14歳の小娘しかない私では何も手を打てず、結局ある貴族家に使用人として送られることになる。

私は様々なことを学ぶ上で立場上礼節や給仕も時には必要になるかもしれないと思い軽く学んでいたのだが、それが貴族家との繋がりを欲しがった両親の目に留まってしまったために使用人という道を用意されてしまったのだ。


こうして私は失意の中、さる貴族の家で使用人見習いとして働き始めることになる。後に私の人生を大きく変えることになる、グランベイル家で。



「初めまして。本日よりここで使用人として働かせていただきます。マリーと申します」

「初めまして。これからよろしくね、マリー」


綺麗な服で着飾った少女が、ふわりと長い金色の髪を揺らして笑う。第一印象は、苦労を知らないどこにでもいる貴族の令嬢。

何もせずとも豪奢な服を着れて、生きるのに努力なんて必要なくて、この世の汚い部分なんて露ほども知らないようなお嬢様。


親にも自分の努力にも裏切られ、世界すら呪いたくなるような思いを心の奥底に押し込めてなんとか作り笑いを浮かべる私に、のほほんと微笑みを向けるこの少女が心底憎く思えた。


これが、私とアイリス様の出会いだった。



それから私はグランベイル家で住み込みの使用人見習いとして働き始めた。今までとは全く違う環境に困惑こそあったが、昔から学ぶことに関してほとんど苦労をしなかった私は、使用人業に関してもすぐに覚えてしまい、使用人としての日々は順調そのものだった。ある一つのこと以外は。

私のことを気に入ったのか、あるいは別の理由があるのか知らないが、定期的にアイリス様が私を呼びつけるのだ。呼びつける、といっても何かをさせるのではなく、お茶を一緒に飲みましょうだとか、庭を散策しようだとか、それこそ用事ともいえないものばかりだった。

アイリス様自身が学業や淑女教育で忙しいのに、休憩の合間を縫って私を呼びつける。不可解極まる行動だった。アイリス様のスケジュールだけを見ればとても7歳の少女がこなすようなものではなかったけれど、どうせ真剣に学んでおらず、疲労も少ないから大して休憩も必要としていないのだろうと。

だから私なんかを呼びつけて遊んでいる暇があるのだろうと、この時はそう思っていた。そもそもアイリス様の学んでいたことの中には、貴族”令嬢”として見れば必要かどうか疑わしいものも多かった。領地経営や政策など、令嬢がわざわざ学ばずとも、将来領地の舵を取るのは夫になるのだから不要なのだ。故に、ただそういうことに興味を示しただけの少女の戯れで教師を呼んでいる、そんな程度なのだと私は思い込んでいた。


その認識が変わったのは、飽きもせずにアイリス様が私をお茶に誘ってきたある日だった。

アイリス様が私を誘った時、決まってアイリス様は私のことを聞いてきた。私の趣味、仕事、過去など。今日も今日とて同じようなことを聞かれる中、貴族少女の戯れに自身のことを根掘り葉掘り詮索されることにいい加減うんざりしていた私は、業務が残っていることを理由に席を立とうとした。

すると、私を引き留めようと立ち上がったアイリス様が体勢を崩して、地面に倒れたのだ。大丈夫ですか、と口では心配しながらも内心ではいい気味だと思っていた私だったが、そこである違和感に気付いた。

アイリス様が立ち上がってくる気配が無いのだ。いくら何でもおかしいと感じ、アイリス様の身体を抱き起してみると、アイリス様は息も荒く、触れただけで身体が熱を持っていることがわかった。

幾ら嫌ってる相手とはいえ、このままにするのはまずい。私が急いでメイド長にこのことを伝えると、間もなく医師が呼ばれた。



医師が言うには、疲労からくる風邪のようなものだろうということだった。命に別状はない、とも。他の使用人たちは納得したようだったが、私だけは腑に落ちなかった。

過労で倒れたということは、あの殺人的とも言える日程をこの少女は真面目にこなしていたということに他ならない。正気じゃない。そう思うと同時に、そこまで疲れているのなら、何故わざわざ私を呼びつけて話なんかしていたのか、大人しく休んでおけばよかったという疑問も湧いてきた。

どうしてもそれが心の端っこ引っ掛かった私は、アイリス様の看病役を申し出た。何かしていないと、悶々と考え込むことになりそうだったから。



アイリス様が目を覚まされたのは、それから数刻も後。すっかり日も落ちて、月がのぼり切った真夜中だった。

自室のベッドの上で身を起こした少女は、キョロキョロと辺りを見回すと、私を見つけて声をかけた。


「マリー?私は、なんで部屋に?一体何があったの」

「お倒れになられたのですよ。貴女がお茶になさっていた時に」


私が言うなり、アイリス様は勢いよくベッドから起き上がろうとして、ふらついた。私はそんなアイリス様を抱きとめると、そっとベッドに戻した。


「医師が言うには過労とのことなので、まだ休んでおられた方がよろしいかと」

「過労……そう。そんなことで夜まで寝てしまっていたのね」


悔しそうに表情を歪めるアイリス様。そういえば私はこの家に来て初めて、この人の笑顔以外の表情を見た気がした。

思わずその顔に見入ってしまっていた私の肩に、アイリス様がポンと手を置いた。


「ありがとうマリー。ずっと看病してくれていたのでしょう?私はもう大丈夫。貴女も疲れているでしょうから、部屋に帰って休んでも大丈夫よ」


そう言って、アイリス様は笑った。その顔は、さっきまで寝込んでいた人のそれとは思えないほどに綺麗な笑い顔だった。綺麗なはずなのに、私にはそれが何かを堪えているように見えて、私は思わず問いかけてしまった。


「何故、そこまで頑張られるのですか」

「えっ?」

「今、貴女のやられてる学業の内、将来の貴女にとって不要なものも多いでしょう。手を抜くことだって出来たはずです。貴女のお父様が厳しいことは聞いていますが、それにしたって倒れる前に手を休めることくらいは出来たでしょう。何故そこまで努力なされるのですか」


私らしくもなく、余計な事を聞いている。今は体調が良くなったようで何よりですと引き下がるのがこの場で最も無難な対応だ。そうは思うが、口が止まらない。

そんな私にアイリス様は眉尻を少しだけ下げると、困ったように笑った。


「不要、そうかもしれないわね。お父様が厳しいから頑張っている。それも真実。でも、それだけじゃないわ。例えば私が領地経営を学ぶことで、将来主人となる人により良い政策を提示できるかもしれない。そうなれば、民が一人でも助かるかもしれない。私じゃなくても誰かがそれをやるかもしないけど、やらないかもしれない。なら、私の努力で誰かが救える可能性があるのなら、それは理由として十分だ思うもの」


綺麗事だ。これが誰か別の人の言なら、私は心の中でそう切って捨ててしまっていただろう。でも、そうは出来なかった。嘘だと断じるにはこの人の態度があまりにも平然としすぎていて、真摯な瞳はそれが嘘でないことを如実に証明していた。


「それだけの理由で、他者に、それも顔も見たことのない誰かに身を捧げることが出来るというのですか」

「身を捧げるなんてそんな高尚なものじゃないわ。ただ、私の頑張りで誰かが報われればいいなと言うだけ。それに顔は知らないけれど、貴族はその誰かの税で生活しているのだもの。関わりが無いわけではないわ。むしろ、その税の分を返さなきゃいけないくらい」

「それは、誰かの、貴女のお父様の教えですか」

「違うわ。昔お母さまに言われたのよ。貴族だからって傲慢になっちゃダメ。民のことを思って行動するのよって。だから、私は私に出来ることをしているだけ」


敵わない、そう思った。私は私のためにしか努力してこなかったし、それを否定されて腐っていた。にも関わらず、この人は実るかどうかもわからない努力を、死に物狂いで、誰かのために。それをいとも普通に行っているのだ。敵う訳がない。


「お聞きしたいのですが、ならば何故その学業の合間を縫ってまで私を呼び出していたのですか。素直に休憩なさっていれば、少なくとも今日倒れることは無かったと思うのですが」


私はずっと胸に引っかかっていたことを口にした。この人が常軌を逸した努力家なのは理解した。だが、それ故に私を呼び出して遊びにでも誘うような、一連の行動の理由が猶更わからなくなったのだ。

誰かのために、というのならば努力を続けるか、身体を休めた方がいい。そのくらい、この人自身もわかっているだろうに。

思わず責めるような言葉で問うてしまった私に、アイリス様はいたずらがバレた子供のように、どこか気まずそうに目線を少しだけ逸らした。


「本当は言うつもりは無かったのだけど、マリー貴女、ここに来てからずっと辛そうにしてたでしょう?だから、何か出来ないかと思って。でも何も良い考えが思いつかなかったから、まずは話を聞こうと。やっぱり、迷惑だった?」


その言葉に、私の顔は驚愕で固まってしまった。私が笑顔の裏に隠したと思い込んでいた私の感情を、どこにもぶつけようのない恨みのような感情をこの人は見抜いていたのだ。そこまでわかっていたのなら、恐らく私がこの人をあまり好いていないことも。自分は疲れも辛さも笑顔の仮面に隠した上で。

それでもあの冗談みたいな日程の中でわざわざ私のために時間を取っていたと。そこまで考えが至った瞬間、私の中にあったこの人への、この方への様々な負の感情はすっかり消えてなくなっていた。


「……いえ、そんな、そのようなことはありません。労わってくださったこと、深く、深く感謝いたします」

「そう畏まらないで。私が勝手にやったことだもの」


アイリス様はなんでもない風にそう言った。この方は、そうやって誰を相手にしても、何でもない風に自身を切り分けていってしまうのだろう。そう確信できる言い方だった。

その時、私は生まれて初めて誰かを支えたいと思った。誰かのためにと自分を犠牲に出来るこの人が、誰かのために倒れてしまわないように。

人と人は相互利益だけで成り立つ、そう信じていた私が、忠誠心というものを理解した瞬間でもあった。


「マリー、申し訳ないのだけど、その棚に入っているだろうものを取ってくれないかしら」

「入っているだろう、ですか」


奇妙な言い回しに首を傾げながらも棚を開けると、そこには十数枚の紙が入っていた。


「これは資料、でしょうか?それも、商いの」

「課題よ。私が何らかの理由で授業に来れなかった時は、そこに課題を置いて貰って次までに学んでおくことになっているの」


その言葉にアイリス様に紙を渡そうとしていた手が止まった。まさかこの方は病み上がりどころか完治したかも怪しい状態で今から課題をしようと言うのだろうか。


「お休みください。アイリス様は倒れられたのですよ。身体を休めることを第一にですね」

「でも、次までにやっておかないとその分だけ授業が遅れてしまうもの。眠れそうにもないし、せっかくだからやっておこうと思って」


この方は、呆れるほど自分を労われない人だった。私はそのことに溜息をつくと、資料をパラパラとめくっていく。

課題は表紙から読み取れるような思っていた通りのものだった。良かった。これなら、私でもなんとかなる。


「明日、お好きな時間に私を呼んでください。これなら私が教えることが出来ます。一人でこれを読み込むよりは効率がいいでしょうから。それにしても、何故商いまで学ばれているのですか」

「商いと政は切っても切れない関係にあるもの。なら網羅しておいた方が役に立つかもしれないかなと。でもいいの?私の勉学なんかに時間を使わせてしまって」

「アイリス様は私のためにご自身の時間を使ってくださいました。その恩返しだとでも思ってください」


本当は最早そんな理由などなくてもアイリス様を手伝いたいと思うのだが、いきなり手のひらを返されても困惑するだろう。

でも、と言い縋ろうとするアイリス様相手に、私も恩返しを理由に押し切った。

私が教えるという約束をなんとか取付け、アイリス様の手から課題を取り上げた。すると、しばらくしてアイリス様は急に所在なさげに目線をさ迷わせはじめた。


「どうかいたしましたか」

「その、夜はいつもベッドに入って眠るだけだったから、何をしていいのかわからなくて」


休んでください。喉元まで出かかった言葉を私は一旦飲み込んだ。今、闇雲にベッドにこの方を押し込んでも、この様子から気が休まるとは思えない。

身体は休まるだろうが、差し引きすると微妙なところだ。どうしたものかと考えていると、ふと、自分が昔、何かに悩んだ時によくやっていた行為が頭に過った。


「夜空を、夜空をゆっくりと眺めたことはございますか」

「空を?いえ、ないわね。そんな暇もなかったから」


きょとんとするアイリス様をよそに、私はバルコニーに続く窓を開け放ち、アイリス様を背に負った。


「失礼します。また倒れられても困るので」

「えっ、何?!何をするの?」


私はそのままバルコニーへと歩いていき、夜空を指差した。暗い空にはそこだけぽっかりと穴が開いたように綺麗な満月が浮かんでいた。


「夜の空というのは、存外に綺麗で、心を落ち着けてくれるものですよ」


アイリス様の顔を見れば、初めて玩具を見た子供のように、目を輝かせていた。お気に召していただけたようだ。


「……そうね、悪くないわ。空って、こんなに綺麗だったのね」


それから私とアイリス様は、じっと夜空を見上げていた。勿論、この方の身体の冷えない程度の時間だけ。








あの日から、私はずっとアイリス様を支えてきた。時には限界ギリギリを見極めて日程の調整もした。もっと緩めることも出来たが、それはきっとアイリス様がお望みにならなかっただろう。

だから、あの方が許せるギリギリのラインだけ、私はあの方に甘えを残した。私にはそこが限界だった。支えるだけで、本当の意味で休ませて差し上げる事は出来ていない。

いつも笑顔の裏に疲れも辛さも隠してしまわれるから。願うのならば、いつかあの方の仮面を剥がして、本物の笑顔にしてくれる人が現れますように。昔を思い出すたび、そう願わずにはいられない。


それと、差し当たってはいつものアイリス様に戻られますように、とも。



それから数日後、私は今のアイリス様のいつもの妙な提案で、教会に赴くことになる。そこで、ある方と再会するとも知らずに。
















「あのメイドの人って、やっぱり原作にも居た人だよね。原作前に死んで、アイリスさんが心を壊しちゃって悪役令嬢になる原因の人。原作でもちょっと語られただけだったけど、アイリスさんの大事な人だったら助けておいた方がいいよね?確か実家の商会とのいざこざがどうって話だった気がするんだよねー。どうしよっかなー。ま、今のアイリスならなんとかなるか」


後日、マリーの実家であった商会は離散することになる。元々傾いていた商会だ、誰もが商売に失敗したのだと、その程度にしか思わないような。その裏にアイリス・グランベイルという令嬢が居たことを知る者はほとんど居ない。その商会の頭が、ある失敗から貴族との繋がりを失って、間を取り持つことのなかったとある娘を逆恨みしていたことを知る者も。

最早その離散した商会の頭に、誰かに仇なす力は残っていなかった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 人生を変える出会いから生まれた主従の絆、良いですねぇ。 そして転生者アイリスちゃん、さりげなくGJというか、いい仕事してますわ。
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