自分は特別ではないのか
里奈は驚愕する。
ステータスが精密以外の数値が一になっていたからだ。
おそらく強制譲渡された武器が原因だろう。
名称『紅烏』刃渡り三〇センチほどの短刀である。柄は紅。鍔には烏の意匠。
そして『封印』という名のスキル。
説明は「相手に攻撃を当てた際に相手が所持しているスキルを一定時間封印する」というものだ。
その代わりステータスをあげる際に精密にしかポイントを振れないとなっている。
パラメーターは平均的にあげることを推奨されるゲームでこの制限は厳しすぎやしないかと里奈は思う。
あらゆる装備品は四つのパラメーターを要求される数値まであげないと装備ができない。
極振りでは装備できるものが極端に限られてくる。おかげでいままで装備できていた武具はもう使えなくなっている。
ゆゆしき事態だが、里奈はどうしていいかわからなかった。
とりあえず由芽に相談しようか。ベッドに体を投げだして大きく息を吸う。先ほどから胸がずっとざわついている。
寝るとき見あげる天井はいつも違う。こんな生活にもいつの間にか慣れたようにある。
それでもたまに恐ろしく不安になることがある。
自分が東京へ行くことに見送ることも、止めることもしなかった両親たち。
こんなことが日常茶飯事になっていた。
特に珍しくもない。ありきたりな話だ。里奈は自身の悩みも端から見ればそうなのかとそんな考えが脳裏をよぎる。
自分はやはり特別なのではないのだろうか?
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