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男にはない女の子だけのお話

「という訳で、今日から学校指定のお店で売ってもらっているので、来週までに学校指定の水着を買っておくこと。いいですね?」


「「「「「はーい」」」」」


「よろしい、それでは男子は解散。女子は少し教室で待機する事」


「「「えー」」」


 放課後の帰りの会、女子達が声を上げる中そう言って先生がガラガラと戸を開けて出ていったのを見送り、俺は叶奈ちゃんと綺月ちゃんの元へとむかう。


「おつかれー」


「ちよちーお疲れ様ー」


「ちよよんおつかれー!楽しみだな!」


「だねー!」


 いやー、去年はなかったけど今年からいよいよスタートかぁー、くぅー!今から楽しみだ!


「あははっ!ちよちー待ちきれなくてうずうずしてるー」


「はわっ!」


 いかんいかん、つい楽しみでうずうずしてしまった。ちゃんと気を引き締めねば。


 俺は綺月ちゃんにそう言われ、気を引き締めるべく顔をふるふると振ったあと、手元にあるプリントにもう一度目を通す。

 そこには「一九六七年度、新設学校プールに関する知らせ」そうでかでかと書かれていた。


「というか男子だけ先に帰れて羨ましい!叶奈も早くみやみやとちよよんと遊びたいぞ!」


「私もー。なんで女の子だけ残されたんだろー」


 プール、女の子……うーん、ちょっと分かんねぇなぁ。


「ほんと、なんなんだろうね」


「皆ごめんねー!」


 あ、保健室の先生えーっと確か名前は……


「あー!みよよよ先生ー!」


「みよよよじゃありません!先生の名前は美代です!」


 そう、美代先生だ。というか叶奈ちゃん、とうとう保健室の先生にまであだ名を付けたのか……将来大物になりそうだ。


「とりあえず、皆席は自由でいいから前から詰めて座ってねー」


 そんな事を思いつつ、俺はガラガラと教室の戸を開けて入ってきたみよよよ先生こと美代先生にそう言われ、綺月ちゃんと叶奈ちゃんの間の席に座るのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


「終わったぁーい!」


「こらこらー、叶奈ちゃん廊下は走らなーい」


「全くかなちーったら。でも案外短かったねー」


「「ねー」」


 まぁ裸にならなきゃだし着替える場所の説明とは思ってたけど、まさか体調管理系……まぁ色々遠回しに言ってたけど、とどのつまり生理の話もあるとは思ってなかったなぁ。

 というか……そうだよねぇ………俺も女なんだから数年後には来るのかぁ……生理……前世で幼馴染の腐れ縁から散々辛い辛い聞かされてたから嫌だなぁ。


「はぁ……」


「どうしたちよよん。元気ないぞー?」


「わふー。叶奈ちゃんもそのうち分かるぞー」


 ほっぺを叶奈ちゃんにむにーっと引っ張られた俺は、そう言うと仕返しがてらに叶奈ちゃんのぴょこぴょこ髪の毛が跳ねているショートヘアをわしゃわしゃとしてやる。


「でもプールの授業の時は女の先生も見に来てくれるのは嬉しいよねー」


 あー、それは確かに。


「やっぱり男の先生だけだと少し不安だよね」


 主に視線とかそんなのがね。平然と女子の身体検査に男の先生が入ってくるくらいだから、女の先生が居てくれるとそういうのも少しは自重してくれるだろう。

 このロリコンどもめ!


「叶奈は男の先生だけでもいいけどな!」


「そうなの?」


「どうして?」


 まさか叶奈ちゃん……年上好き……!?


「だって男の先生は体育の授業一緒にやって遊んでくれるからな!」


「「あー」」


 なんというか……変な事考えた俺が馬鹿だったというか……叶奈ちゃんらしいなぁ…………


「叶奈ちゃんはずっとそのままいてね」


「?もちろんだぞ!」


 そう言って叶奈ちゃんは俺にぎゅうっと力強く抱きついてくるのだった。

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