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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
16章 救済者期II 新世界戦隊編
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394話 賢者暗殺さる(3)

394話で「賢者暗殺さる」をまとめるつもりで居たのですが、詰め込みすぎて長くなったので分けました。今日中に投稿予定です。

 ううう……。


 どこだ、ここは?

 薄暗い。


 声が出ず、鼻息だけが荒くなった。口の中に何か詰められている。


 腕も、足も縛られて、俺は床に転がされているらしい。

 捕まったのか?


 何のために?

 俺は、ラングレン卿を殺したのだ。それが邪魔になったのか。


 意識を失う前、毒を盛られたと思ったが。生きているところをみると、ワインに仕込まれたのは、眠り薬だったのだろう。


 それにしても、迂闊だった。

 レミングと言ったか、あの蛇蝎のような男を、いくら結社の人間といえども信用してはならなかったのだ。これまで、結社のために汚いことを引き受け、半生掛けて尽くして来たというのにこのような仕打ちで報いるとはな。


 やはり、おかしい。

 わざわざ俺を、なぜ生かしておくのだ。

 邪魔ならば殺せば良いだけのこと。その方が後腐れがない。

 わからない。


 ん? 物音がした。


 うっ!

 魔灯が眩しくて、思わず目を瞑る。

 扉が開いて、気配が入って来たのだ。

 ふたりだ。


「こちらです。おっ、意識が戻ったようです」

「そうか。喋れるようにしてやれ」


 明るさに目が慣れて来た。俺を監禁しているのは、いったい誰……そんな馬鹿な!

 なぜだ! どういうことだ?


「はっ!」

 もう1人が、口の中の物を取り去ると、水を無理矢理含ませられた。


「うぐぅむ……なっ、なぜ生きている?」

「それは、自分のことか、それとも?」


 んん?


「殺したはずなのに……」

「お前が刺したのは、私ではない」

「そんなはず……なっ!」


 ラングレン卿の横がぼやっとあかるくなったと思った刹那、突如ラングレン卿が2人になった。ローブ姿と、従者姿の2人。

 従者の方は、会釈するとすっと消えた。

 何度か瞬いて、やっとわかった。


「俺が殺したのは、影武者だったのか?」

「殺しては居ない。ゴーレムだからな」


「ゴ……」

 まさか!

「さて、大逆未遂罪の自白は取れたところで、もうひとつ喋って貰おうか」


 ラングレン卿の左手───映像魔導具!

 さっきから撮影されていたのか。

 

「御館様。ここは、私にお任せを」

「うむ」


「起きろ!」

 配下が俺を引き起こした。


「お前に御館様を暗殺せよと命じた、もしくは依頼したのは誰だ?」

 むっ!


「馬車の中でお前に毒を飲ませた、やつらのことだ」


 !

 やはり……そうか。では、なぜ俺は生きているのか?


「分かっているだろうが、運河へ捨てられたお前を引き上げて、命を救って下さったのは、御館様であるぞ。お前はどちらを取るのか?」


「しかし、どのみち俺は大逆罪を犯した……」

「確かに大逆罪は未遂であっても、既遂と同じ罰。つまりは死刑が求刑される。が、捜査に協力するのであれば、情状酌量の余地はなくもない」


「くっ……」

「わかった。話す……そいつの名前は」



   † † †


 主管様に従って、出国検査所に行く。

 宿敵ラングレンが死んだ今。もはや、聖都(マグノリア)に用はない。

 我々は、一般人とは別の窓口に入っていく。


「ケプロプス連邦、外交官だ。この荷物は外交行李である」


 係官に公国発行の身分証を提示する。

 行李の中にはいくつか問題のある物が入っているが、この身分証が有る限り、係官は手を出せはしない。


 係官が、眉根を寄せて冊子をのぞき込む。

 もう良いだろうと思いながら手を、引っ込め──


「何をする」

 その冊子を係官が掴んだ。


「ムイジンガー殿と、秘書のレミング殿ですな」

「それが分かって居て、何の真似か! 貴国とケプロプスの外交問題になっても良いのか!」


 係官を睨み付ける。

 外交官特権だ。出国検査所の木っ端役人ごときができるのは、素直に見送るだけだ。


 しかし。


「衛士!」

 物々しい兵達が数人小部屋に入って来た。両方の出入口も別の兵が固める。

 要するに、閉じ込められたのだ。

 ちぃ。暗器は行李の中、徒手では全員は無理だ。

 もっとも、この兵達を殺したとしても、外も手配が済んでいるに違いない。


「説明して貰おうか」

「それは私がしよう」

 レガリア王国側から、短躯の男が入って来た。


「レガリア王国検察局、ホーリア検事だ。貴様らの容疑は大逆罪だ。まあ少し叩けば、いくらでも埃が出て来るだろうがな!」


「なんのことか、意味がわからないが。例え、どんな容疑があったとしても、我らを拘束する権限はお前達にはない。重ねて言うが、我々はケプロプスの外交官だ」


 主管様は、微動だにせず検察官を見下ろす。


「外交官……な。ムイジンガー書記官の罷免状だ。貴様達の協力者、ケプロプスのダンクワルト伯爵は既に拘禁されたぞ。新世界戦隊隊員への犯罪は、加盟各国で大逆罪相当。連座すれば公国とてただでは済まないからな、そしてこっちが国際手配状だ」


 検事は書面を突きつけた。


 馬鹿な!

 主管様を振り返る。


「ムイジンガーこと薔薇の鎖(ローゼン・ケッテ)主管のムスペルに、レミングことブロリーを拘禁する」


「ふっふふふ……」

「何がおかしい?」


 ああ主管様───あれを為さるのですね。

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2021/11/20 一部消し忘れを削除すみません、微妙に加筆

2021/11/20 国名セロアニア→ケプロプス

2025/05/24 誤字訂正 (コペルHSさん ありがとうございます)

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