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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
13章 英雄期I 血脈相承編
329/472

318話 長子誕生

追記:2000ブックマークありがとうございます。


長子誕生とタイプして。ふむ、生誕の方が格好が良くね? だけど違和感あり。生誕、生誕……国語辞典「生まれること」 騙されませんよー、ネット検索「(主に偉人の)死後、生まれてから今年は何年目というような使われ方が多い」 なるほど腑に落ちました。

 亜空間──


 広大無辺の闇に吸い込まれた。


───久しいな ラルフ


 この波動は。

 虚無の空間に、突如紅い光が渦巻くと焔と化した。

 イーリス。我が国の聖獣が姿を現した。


 どういうことだ?

 その問いが発せられる前に、左に白き焔、右に蒼き焔が次々と燃え上がる。


 蒼白い光が大きくなって受肉すると、俺に抱き付いた。


「セレナ! 帰って来たのか」

「ラルフ、ラルフ……」


 頭を撫でてやる。


「イーリスにサクメイ。何の用だ?」


───フフフ


 イーリスが紅き鳥相、サクメイが4脚の獣相となる。


「3聖獣揃って我が館を訪問か?」


───如何にも


 まさかな。


───汝の子息の誕生を祝福に参ったのだ


 はあ? 冗談は……


「なんで男子と分かっている?」

 俺ですら、魔感応で診たのだぞ。


───それはともかく

 おい。


「ローザ が 居ない」


───妊婦が数時間前に急に見えなくなった

───吾らのように亜空間にでも居るのでは無いかと妾は見ておる

───辻褄は合うな


「わかった。生まれたら、お前達にも見せよう。しばらく待て」


     †


 公館に戻ると1時間もしない間に男児誕生の報が届いた。

 離れ2階に駆け付けると、1時間ほどして顔見知りの助産師が出て来た。


「おお、子爵殿。おめでとう。母子共に健康。問題なしだ。奥方の事後処置も終わった」

「そうですか。ありがとうございます」


「うむ。いやいや。それで……」

「はい」

「最初は少し泣いたんだが、それ以降泣かなくてな。少し心配だったが、元気いっぱい手脚を動かしている」

 ふむ。


「中に入っても?」

「ああ、奥方は眠っているがな。見る分にはよいぞ」


 助産師殿の許可も下りたので、消毒魔術を念入りに自分へ行使して、分娩室に入った。

 ローザは台の上で、布を掛けられて寝息を立ててい……なっ!?


「薄ら光ってるし」

 朝、顔を会わせた時とは段違いにローザの霊格値が高まっている。

 

 2千いや3千近い。なぜだ? 子供を産んだからか?

 ありえない。出産したら霊格値が跳ね上がるなんて話は聞いた事がない。お袋さんは一般人より少し多いぐらいだぞ。

 ともあれ……


「ご苦労だった」

 妻の頭を撫でてから、その横の台上に置かれた籠に向き合う。

 中にはお包みに包まれた、赤子が居た。


 結構でかいな。4.5パルダ(3kg)ぐらいだろう

 助産師の言う通り、しきりに手を動かしている。生まれてすぐこんなに動くものなのか? まあ、ローザの腹を蹴りまくっていたから、不思議でもないのか。


 瞼が腫れぼったい。まあ赤子は大体そうらしいが。薄く生えた髪の毛は、俺と同じ金色だ。だが何よりも、霊格値の高さがまざまざと波動を伝えてくる。

 この子の霊格値がローザに移ったかとも思ったが、こちらは変わっては居なかった。


 無事生まれてくれた。ふつふつと嬉しさが込み上げてくる。


 おっ!

 まだ呼んでも居ないのに、聖獣達が扉から入って来た。そして、俺を押しのけて籠の周りに首を並べた。


 まあ、良いか。


───ほぅ これはまた……

───聞きしに勝る霊格値 本当に人間か ああ反証がすぐ横に居たわ


───ラルフ と ローザ の子 ……猿みたい


 おい! まあ正直そうなのだが。


「で。祝福してくれるんじゃないのか?」


───せっかちだのう では始めよう


 聖獣たちが鈍く光り始める。燃えるのではなく、もっと穏やかにだ。


 光の微粒子が漂い渦巻き始める


───吾ら 3体の聖獣は


───赤子が この世界に生まれしことを


───祝福する


 サクメイが口火を切り、セレナが締めると。

 渦が収束して赤子の眉間に吸い込まれていった。

 むぅ。これは……。


 数瞬呆然としていただろうか。光が消えた後、セレナしか居なかった。

 あわてて、赤子を探ったが、他に異変は見えない。霊格値も変わっていない。


「ふぅぅ。やつらは?」

「帰った」


 帰った?

「そうか。セレナは……行かなくて良いのか?」

「セレナは ラルフに 代わって この子を 守る」

「は?」


「ラルフは すぐ どこかに 行く」

 その通りだ。


「わかった。護ってやってくれ。だが、ここに居るのは駄目だ。一緒に外で待とう」


     †


 夕方ようやくローザと赤子が分娩室から出て来たと聞き、再び離れに向かった。


「あなた」


 妻は既に目覚めていてベッドに横たわっていた。

 伸ばして来た手を取って、上体を起こしメイドが差し入れたクッションにもたれさせる。

 しっかりと手を握り返す。


「ローザ、よくやってくれた。ありがとう……ありがとうな」

「はい。ローザは無事任務の第1段階を達成しました」


 なっ!


「うふふふ。冗談です」


 満ち足りた表情だった。

 ローザと一緒に赤子の入った籠をのぞき込む。


「この子に、名を付けて下さいませ」

「ああ、ルークにしようと思う」


 俺がこの子を探った時、脳裏に燦然と輝いた名。光神の異名(ルーグ)

 迷ったが流石にそのままでは畏れ多い。


「ルーク……ルーク・ラングレン」

「ああ、俺とローザの子の名だ」

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2020/10/03 前書きに追記、誤字訂正


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