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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
狂者達の宴編

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第四百七話 絶望から逃げよう

「ゴーラは頑丈。あだじのお友達どもだち


 目の前に迫る肉塊マリーが笑いながら、そう口にした。まるでペット自慢のように、純粋に、だからこそ不気味に感じる。命の穫り合いをまるで子供の遊びのように口にするソレをルイーズは嫌悪する。

 そしてルイーズたちを挟んでマリーと反対側にいるシロクマの方は、といえば頭部を破壊されたにも関わらず、しっかりとした足取りで立っていた。

 ライルの雷神槍で突き刺されていた二本の槍をその場で抜きながら、シロクマの頭部はまるで逆再生映像のように修復されていった。ライルの決死の一撃で破壊された頭はもはやほとんど元通りとなっていた。


「兄さんッ!?」


 対してシロクマに弾き飛ばされて地面に転がっているライルは動かない。地面を赤い液体が染めていく。エミリィの悲痛な叫びにも反応はない。それを見てルイーズは顔を青くしつつも、現状に結論を付けざるを得なかった。


 勝てない……と。


 ルイーズはそれを認めた。このパーティでは目の前の敵には勝てない。精神論でどうにかできる相手でもない。長年の冒険者の経験が、ルイーズにそうハッキリと告げている。それは弱音とかネガティブな思考とかそういうものではない。ただの事実であり、ルイーズたちが、今目の前で死にかけているライルが掴んだ情報だ。

 このままでは殺される。だがそれはさせない。させるわけにはいかない。であれば、どうするべきか。ルイーズの思考はすぐさま結論を導き出す。


「シップー、ライルを連れて離れて。早くッ」


 ルイーズはその場にいたシップーにそう指示をして、シップーもその言葉に従って走り出した。


「エミリィ、あなたは馬車の準備を」

「は、はい」


 エミリィが御者席へとあがる。その様子を見てマリーが「お馬ざん、あだぢも乗るぅ」と歩みを早めたが、ルイーズは相手にせず続けての指示をティアラに出す。


「ティアラ、炎の騎士団フレイムナイツで退却をサポート。マリーを全力で足止めして」

「分かりました」


 躊躇している時間はない。ライルがシップーに背負われたのを見るとルイーズは馬車の屋根の上に飛び乗った。


「出してッ」

「了解ッ!」


 ルイーズの指示を受けてエミリィが水晶馬を走らせる。


「あ、待で」


 マリーがそう口にするが、ルイーズは当然聞く耳など持たない。そしてシロクマの方は当然のように叫びながら馬車に特攻してくる。頭部が破壊されていたなど微塵も感じられないぐらいに完全に頭部は修復されていた。

 そのシロクマをタツヨシくんノーマルが腰に掴みかかって押さえ込んでいるが、その速度はさほど落ちてはいない。またホーリースカルレギオンはライルの意識がなくなったことで活動を停止していた。


「ライトニングスフィア、あれを止めてッ」


 ルイーズが必死に叫んでライトニングスフィアを動かし、シロクマに向かって飛ばす。そしてシロクマとライトニングスフィアが激突し、その場を雷が走った。


「グルォォオ!」


 それにはシロクマも若干のうめき声をあげたが、全身を放電させながらも耐えきってライトニングスフィアを爪で切り裂いた。押し止められたのはわずかな時間。だが、そのわずかな時間で十分だった。

 シロクマの横を不滅の馬車が通過し、横切る際に水晶馬たちが風音に付与されていたスペル『ファイア・ヴォーテックス』を放って、さらなる追い打ちをかけた。

 その二撃はシロクマの身体を抉り、さらには腰にへばりついていたタツヨシくんノーマルからも魔力チャージが終了したのか近距離の『ファイア・ヴォーテックス』が放たれた。


「グルァアアアッ」


 それにはさすがのシロクマも動きが止まる。この近距離で撃たれた魔術だ。さすがに効かないわけもなく、シロクマは馬車よりもノーマルを破壊することを優先し、掴みあげて地面に叩きつけた。

 その間、マリーは炎の騎士団フレイムナイツによって押さえ込まれているが、最後の一体も大口で喰らい、炎の騎士団フレイムナイツは消滅した。しかし、もう距離は随分ととれていた。


「どうするの、これから?」


 そして馬車を走らせながらエミリィが馬車の上にいるルイーズに尋ねる。その言葉に対してルイーズは答えず馬車の後ろを見る。

 そこには全力でシロクマと全身から虫の足のようなモノを出したマリーが走ってきている姿が見えた。


(化け物どもがッ)


 ルイーズは心の中でそう吐き捨てる。だが今はその化け物を倒さなければならない。その手段を持っているのはもうこの場ではルイーズだけなのだ。


「そこで止めて」

「はいっ」


 ルイーズはそう指示を出して迅雷の杖を構える。余力などもはや考えていられない。例え、その技が結界を越える最後のすべだったとしても躊躇は出来ない。


「ルイーズさん?」


 エミリィがルイーズを見て、それにルイーズがニコリと笑う。そして先ほどのエミリィの問いに答えを返す。


「私がジャッジメントボルトで仕留める。それで終わらせるわ」


 光と雷の混合魔術『ジャッジメントボルト』。

 対悪魔用最終魔術であり、単純な破壊力でも他の魔術を圧倒する奥義。

 それをルイーズは放つ準備を始めた。



  **********



『でやぁあああっ』


 神狼化からさらに完全狼化となった弓花が獣の叫び声をあげながら、凶刃イジカの刀と激突する。そして刃と刃の衝突により銀の輝きとどす黒い赤い光がその場で散らされた。


「くくく、さらに上があるか。楽しいな嬢ちゃんよ」

『いいえ、まったく。これっぽっちも』


 イジカの言葉にユミカはそう答えながら、イジカの背後に二頭首の大型銀狼をけしかける。クロマルが最初にやられたために銀狼たちの二頭合身だが、その戦闘力は高い。


「はは、効かねえのよ」


 しかし、その二頭首の大型銀狼の牙攻撃もイジカの硬い身体の前には弾かれてしまう。その口も接触時に切り刻まれ「キャウンッ」と鳴きながら大型銀狼はその場から離れる。すでに全身が刃となったイジカには生半可な攻撃は効かないようだった。


『チッ』


 それを見ての弓花の舌打ちにイジカが口元をつり上がらせて笑う。

「ははははは。いいね、その顔」

『以前とはえらい違いなんですけど』

 かつて弓花がクリオネミネの街でイジカと相対したときのイジカはただの人間だったはずだ。その時に比べて今の戦闘能力は異常だと弓花は感じた。

「ま、仕事用でな。プライベートだと使えないのッ……さ!」

 弓花のラッシュを躱しながら、イジカはそう口にする。現状のイジカの刀身化は実のところ、イジカの身体から生えている刃身一刀『マサムネ』の能力だ。

 その刀には『刃身一体』と呼ばれる、刀と一体化する能力が付与されていた。それはボルジアナのピエロのリーダーであるマドルが管理しており、イジカはその所有者というわけではない。こうして仕事の時のみ使用が許可されているわけであった。


『まったく、面倒な』


 弓花が槍を振るうが、それは刀で防がれる。


(速いッ!?)


 以前に比べて斬撃が速い。反射速度も高い。そして防御力は言わずもがな。繰り出してくる刃も何かしらの力があるように見えた。


『イャアッ!』


 そして弓花は槍術『振』を放つ。それは振動破壊技。今のイジカのように硬い相手に対応するための技の一つだ。だが、それをイジカは刀で受け止める。


 鈍い音が響きわたった。


「クッ!?」

『反発したっ?』


 同時に弓花の槍とイジカの刀が弾かれる。弓花の『振』とイジカの同質の攻撃が反発したようだった。


「くくく。相性いいな、俺たちは。俺の女にでもなるか、嬢ちゃん?」

『間に合ってますッ!』


 弓花の言葉に再びイジカが笑う。そして真横から突撃技『シルバーブリット』を放ってきた大型銀狼をさらりと避けながら、再度、刀を弓花へと向けた。


 しかし、その直後である。異変が起きたのは。


「なんだっ?」


 地面から光があふれてくる。それにはイジカも驚きの顔で見ている。つまりは仕掛けた側にとっても何かしらのイレギュラーが発生したようだとは弓花は考えたが、次の瞬間にはその正体を把握した。


(これって、ルイーズさんのッ)


 地面が割れて、雷の光が地底から放たれる。天の赤い月に向かって光の柱が出来る。イジカは突然のことに目を丸くしているが、弓花の顔からは笑みが浮かんだ。


『ようやく、会えたってわけね』


 その光には弓花には当然、身に覚えがあった。それはかつて弓花たちを幾度も救った光、ルイーズの魔術『ジャッジメントボルト』。

 世界が割れる。そして、その先にあるものを弓花は見た。


 水晶馬と不滅の馬車、そして仲間たちの姿がそこにはあった。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者リベレイター・守護者

装備:杖『白炎』・ドラグホーントンファー×2・竜喰らいし鬼軍の鎧(真)・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:40

体力:156+20

魔力:378+520

筋力:81+45

俊敏力:83+39

持久力:45+20

知力:75

器用さ:53

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』

スキル:『キックの悪魔』『蹴斬波』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv4』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv2』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv3[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv3』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』『魔力吸収』『赤体化』『友情タッグ』


風音「スキルレベルが上がった?」

直樹「姉貴が大きくなった?」

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