表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
狂者達の宴編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

397/1136

第三百八十五話 ウィンドウを活用しよう

 風音は石壁を作り終えると『自然魔力マナ吸収』のために眠りに入った。風音の現在の最大魔力値は元々の363に加え、紅の聖柩クリムゾン・アークと白蓄魔器(改)分の520と併せて883ある。これはこの世界の並の魔術師の6倍程度に相当するものだ。

 基本的に魔力全回復にかかる時間はゼクシアハーツと同じ半日だが、それは自前分だけなので紅の聖柩クリムゾン・アークと白蓄魔器(改)の分も含めると通常では約1日半掛かってしまう。

 それが現在では、スキル『魔力吸収』の能力『自然魔力マナ吸収』とユッコネエの『光合成』により、完全回復まで半日で済むようになっていた。もっとも寝ないといけないという条件はあるのだが特に戦いもなければ問題のないことだろう。

 なお、一方でスキル『魔力吸収』のもうひとつの能力である『体内魔力オド吸収』は手で掴んで接触すると相手の魔力を奪えるというものである。相手が強ければ迂闊には近づけないし、弱ければ魔術なんぞ使わずに殴ったり蹴ったりする方が早いため、戦闘で敵に対して使用するには使い勝手がよいと言えるものではなかった。なので戦闘中に使うにしても仲間から吸収させてもらうのが一番確実のようであった。


「うりゃあああ」

「くひゅっ?」


 その声に風音が変な声を出して目を覚ました。開けた視界から見えたのは空。日が落ち始めているのだろう。空は少し赤くなっていた。


「にゃー」

『おはようございます母上』


 そして目の前にいた(風音はユッコネエのおなかの上で寝ていたので)タツオとユッコネエの声に風音も「おはよう」と返して、よだれを吹いて目をパチパチとさせる。

 ようやくボケた頭が元に戻り始めたのを自覚して周りを見渡すと、目の前では直樹とキンバリーが斬り合いをしていた。


「はっ、さすがに、ほっと。筋が良いですね」

「なんのーーー!!」


 どうやらふたりで稽古のようである。

 直樹が二刀流でキンバリーに挑むが、キンバリーの剣は直樹の攻撃を次々とさばいていく。キンバリーは現在ランクBで直樹と同じではあるが、その剣の腕はランクAに届くと言われている。直樹はランクBとはいえ、実際には魔剣の多様さによる応用性の高さでクエストをこなしBになれたわけであって剣技に秀でてBになれたわけではない。

 故に魔剣の力を用いた戦いならまだしも純粋な剣技だけではキンバリーには及ばないようであった。


「ふたりは特訓中?」

『はい。もう30分くらいはやってます』


 風音の問いにタツオがそう答える。そして風音は「なーるー」と言ったまま、ウィンドウを開いて時計を見る。今の時間は15:56。そろそろ日も暮れ始める頃である。魔力は現在400ほど回復しているようで、まだ半分だがこのまま待っていると夜になってしまう。


「まあ暗くなる前に、もうひと頑張りしますか」


 そう言って「うーん」とノビをした後に立ち上がると、別のウィンドウを立ち上げてマッカに連絡を取ることにした。領主となったことで街育成モードが発生したため、部下指定されたマッカとも連絡が取れるようになったのである。



◎カザネ魔法温泉街 領主の館


「な、慣れませんわね、これは」

 マッカが机の上の書類に向かい合っていると、突然音が鳴って、目の前に四角い板が出てきて、そこには風音から送られた文章が書かれていたのである。


 現在、マッカは水晶宮殿とも呼ばれる大浴場に隣接している領主の館にいて、書類仕事を行っていた。

 現時点で移民の人数や割り振りを確認したところ、必要な住居は家族用91棟、労働者用居住施設7棟となっていた。想定人数分よりも多くなっているが、これには追加で来た人たちやアウターの家族分なども含まれている。

 またマッカは、馬車の中で風音が纏めた住居の図面を見て、想定よりもグレードを落としたものにした方が良いだろうと指摘していた。

 何もかもただであげてしまうことは労働意欲を削ぐし、元々移住予定だった者たちへの不公平感をもたらす。当面は貸家として貸し与えて、いずれは自分たちの家を購入するという方向で話を進めた方が良いだろうと話し、風音もそれを了承していた。そのためには金を稼ぐ手段が必要であり仕事の斡旋も重要だが、今は街を造り始めたところで仕事はいくらでも存在していた。

 また、この街そのものを防壁とした上で、この土地から下った場所に村などを用意する準備も現在計画しているのである。元々、ミンシアナとリンドーの通り道で人の通りも良い。農作物などの運搬にも適している場所だ。

 モーターマシラの被害などもあり中々進まなかったこの地域の開発も、すでに賽は投げられた状態である。当初の温泉街の予定よりも規模も随分と大きくなった感もあり、計画の再編成も考えているところであった。


 ともあれ、ウーミンから人々を現行の計画に加える算段を纏めていたマッカは風音からウィンドウで連絡をもらったのである。


「ああ、壁は出来たので次は家を造るですか。簡単に言いますわねえ」


 そう言いながらも、マッカは紙に了解の旨の返事とどこで造るのかの場所を書いて、その紙を空中に浮かぶ四角い板に近づける。するとマッカの書いた文字が板に映し出された。


「で、これを押すんでしたわね」


 マッカは是か否のボタンがでるので是のボタンを押す。

 するとピンポーンという音が聞こえて四角い箱が閉じる。これで風音に届くらしいのだがマッカはこんな魔術は見たことがなかった。あえて言うなら冒険者ギルドの連絡掲示板だろうが、距離は無制限らしく確実に相手に文章が届くので利便性は比べものにならない。


(でも、これを話すとユウコ女王陛下から罰せられるって話ですしねえ)


 これがあればマッカたち商人の流通革命にもなりそうな気がしたが、他の人間には使えないし、このことを広めるのはユウコ女王から厳しい罰があるかもしれないと風音に言い含められているので、本来所属のゼニス商会への報告も出来ていない。そもそも、今のマッカの立場は領主代行となっていて所属もかなり微妙なところにあるようである。


「まあ、便利なことには変わりありませんし、領主様の下さったものならば良しとしましょう」


 ウーミンでのことには驚いたし、自分には荷が重いと今でも思ってはいるが、ここまでお膳立てしてもらって上手く行かないわけもない。マッカはさすがにもう若くもない身体を「よいしょっ」と立ち上がらせて、今は街の広場で野宿となっている移民団に向かって歩いていった。

 


 そして、風音は魔法温泉街で家を作り始める。

 また、弓花たちは王都に向かって旅を続け、今はオルドロックの街でひと休みというところだ。

 すべては予定通り、何事もなくことは進んでいたと言って良いだろう。

 だがその一方でツヴァーラの王都ではある事件が起きていた。

 それはツヴァーラに向かうティアラたちにとっても無関係ではない事件であろう。


 つまりは、シェルキン派閥の貴族たちが謎の死を遂げていたのである。



◎ツヴァーラ王国 王都グリフォニア 王城グリフォニアス 王の間


「シェルキンよ。お前が手を下したわけではないのだな」


 アウディーンが王座に座りながら、頭を抱えながらそう尋ねる。


「止めて下さいよ兄う……いや、国王陛下。ぼくがそんなことをしないことは、国王陛下が一番良くおわかりのハズでしょう?」


 そして、アウディーンの前にはまるまると肥え太った豚のような草食系中年が立っていた。つまりは理解ある美人の奥さんと反抗期の娘を持つ勝ち組の、現ツヴァーラ国王アウディーンの弟シェルキンである。


「暗殺者を雇ったとされる疑いのある貴族たちだ。誰かが誅を下したとすれば理解は出来るが」


 シェルキンが犯人ではないことはアウディーンにも分かってはいる。

 アウディーンの弟であるシェルキンは、アウディーンよりも遙かに頭が良く、その能力だけで言えば、本来王となるべきは弟ではないかとアウディーンも思っているほどではある。だが、シェルキンは優しく、悪く言えば臆病なタチであり、人前にでるのも好まず、人の上に立ちたいという欲求もない。

 もっとも自ら顔を出さない政策においてはその能力を遺憾なく発揮し、実質的な影響力はある。同時にその性格故に御しやすいとも見られ、貴族たちからは、傀儡人形に仕立て上げようと目論まれてもいた。


「それがお前ではないとすれば誰が……ということになるな」


 実はティアラがこの王城を去ってから、一つの噂が流れていた。それはアウディーンが次代のルビーグリフォンの後継に選ばれたティアラを殺害して闇に葬り王座についたという噂である。

 無論、噂は噂でしかないがティアラ本人はおらず、またティアラも身分を隠しているため、その動向も知られてはいない。

 そして暗殺を事実のものとすることでアウディーンを失脚させ、シェルキンを王位につけようという一派がいるらしい……という情報をアウディーンは掴んでいた。

 もっともその派閥に対して当のシェルキンは蚊帳の外であり、それは悪魔ディアボによって造られた派閥であり、実のところ昨日までその尻尾をほとんど掴めてはいなかった。


 しかし状況は変わった。暗殺を進めていた一派の貴族たちがおそらくすべて殺されてしまったのだ。死因はそれぞれ斬られ、潰され、毒を盛られ、抉られ、血を抜かれていた。それは異常な死に様であったという。


「雇った暗殺者たちといざこざがあったということでしょうか?」


 王宮騎士団長レイゲルがそう口を挟む。それにはアウディーンも首を傾げながら答える。


「かもしれんな。それで娘の危険が終わったのであれば良いが」


 状況は未だ不明だ。アウディーンはルビーグリフォンの仲介を通じてまたメフィルスと連絡を取っておかなければ……と眉間に皺を造りながら考えていた。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者リベレイター・守護者

装備:杖『白炎』・ドラグホーントンファー×2・竜喰らいし鬼軍の鎧(真)・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:39

体力:155+20

魔力:363+520

筋力:78+45

俊敏力:80+39

持久力:44+20

知力:75

器用さ:53

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』

スキル:『キックの悪魔』『蹴斬波』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv4』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv2』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv2』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』『魔力吸収』


直樹「あの人なかなか強いな」

風音「キンバリーさんは結構な使い手だしね。まあ、魔剣とセットで戦うのがアンタのスタイルだから、そっちで挑めばまた別だろうけどさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ