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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
マネーの黒豚編

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第三百七十三話 ドラゴンになろう

 風音が空を舞う。


 白き翼を広げて、風の加護を受けて、この青空を飛んでいく。


 そして眼下に見えるのはオドイートリーチの群れ。一匹一匹ならば手慣れた冒険者にとってはどうということもない魔物だが、しかし数千という数が纏まっての移動は驚異以外の何物でもなかった。だが、今の風音はそれを冷静に観察し状況を確認している。


(ここでさっさと中央にブッ放して散らすのも手だけど、そうなるとここら一帯はかなり危険になるだろうなぁ)


 以前にオーガの群れを倒したときには、その後に逃げ延びたオーガによって街道を移動している人間が襲われる問題が起きていた。故に今回は狩れるところまで狩ろうと風音は考えている。


(そんじゃあ後ろから狙って、逆にケツをひっぱたいてから抑え込むかな)


 風音の狙いは定まった。そして、



  **********



 そして、交易都市ウーミンの正門前では、天より魔物の群れの後ろの方に降り注がれる光の柱を兵たちは目撃していた。それが、飛び立っていったあの白い翼の少女が放ったものだというのもバッチリ見えていたようだ。

 それだけではない。兵たちは光が消えた直後から、とてつもない悪寒をその場で感じていた。それがあの天使の少女から発せられているモノだということも全員が気付いていた。気付かざるを得ないほどの威圧プレッシャーをその身で感じていたのだ。


「あれが、ランクS?」

「……圧倒的じゃあないか」


 兵たちからそんな畏怖の声が漏れる。正しくは風音はまだランクSではないのだが、それは兵たちには知らぬこと。それを横目で見ながら、ジンライは戦況を観察する。


「うむ。『魔王の威圧』を全力で使ったか。兵たちまで怯えておるわ」

「にゃー」

 ジンライの言葉に、横にいるユッコネエが鳴いた。

「まあ、少し待っておれユッコネエ。今カザネが連中の動きを鈍らせた。であれば次はワシの出番ということよ」


 そう口にしながらジンライが前に出る。


「量産型タツヨシくん、横に並べ。ドラグーンも配置につけぃ!」


 そう掛け声を出してタツヨシくんたちに指示をしながら、ジンライの腕が変化していく。カシャカシャと義手の装甲が可変していく。周囲にいた兵たちがその変化に気付いたときには、ジンライの右腕は筒のように一直線になっていた。そしてその義手砲は以前とは違い、先に二本の針が突き出ていた。それは近距離戦では爪代わりにもなるアダマンチウム製のレールだ。レールの距離を延ばすことで、雷神砲レールガンは更なる威力の向上が図られていた。


「さあ、楽しいショーの始まりだ」


 そう言って、ジンライは補助腕サイドアームを地面に刺して固定し、義手を魔物の群れに向けた。


 その様子に兵たちがざわめき出す。ジンライが何かを起こそうとしているのは兵士たちにも分かる。だが、それは一体何なのか?


「全員、耳を塞いでおれ。鼓膜が破れても知らんぞッッ!!」


 ジンライは当然のように耳栓をしてからそう口にし、ユッコネエも「うにゃっ」と少し離れてから、両耳を前足で塞いでいる。


 そしてジンライが舌なめずりをして、狙いを定めると、魔力が満ちた雷神砲レールガンが一気に吠えた。


 直後、突き抜けるような音が鳴った後、目の前で土塊が爆発したように舞い上がった。


 その音はまさに轟音。目の前で雷が鳴っているかのごとき状況に兵たちの心は芯まで恐怖に染まった。そして、目の前では魔物たちが爆風に晒され、飛ばされている。


 目の前で起きている光景を前にジンライは猛り笑いながら、撃ち続けている。


 雷神砲レールガンはその威力が増加した分、命中精度が落ちてはいるが、元々命中力は低いのだ。多少悪くなっても誤差の範囲内であると風音は割り切り、威力を上げるために東の竜の里でアダマンチウムレールを追加していたのである。

 そして、目の前には見渡す限りのオドイートリーチの群れである。撃てば当たるのだ。であればジンライは何一つ考えることなく、撃ち続ける。


「わはははははははははははははあははははあははあはははははあっひゃひゃああああはああああああはっぁぁああああ!!」


 もはや狂人のようなジンライの猛りまくった笑い声が響き渡る。その横では量産型タツヨシくんがせっせと投擲を開始し、ドラグーンはあらかじめ用意していた岩弾を運んで量産型に渡している。


 リンドー王国の兵たちはその光景を見て、たったひとりで軍隊に匹敵する戦力を持つ存在『ランクS冒険者』という存在がどういうものなのかを理解し、絶句する。そして驚愕の表情の兵たちの前でさらなる破壊が続いていく。ジンライが雷神砲レールガンに右に薙ぎ、土塊の爆発が右に向かっていくつも出来ていく。そして、その威力によって目の前の地形が今や変わりつつあるようだった。


 誰が予想しただろうか、この光景を。誰が想像しただろうか、この惨状を。


 続けて数十の砲弾を撃ち尽くしたジンライが、全身の衝撃に疲れ果て、フゥッと一息つきながら座り込んだことで、ようやくその轟音は止んだ。


 そのジンライの後ろ。恐るべき惨状を間近に見ていた兵たちは、極度の緊張状態で動くことが出来なかった。目の前の衝撃に倒れ込み、腰を抜かし、失禁したり、気絶している者もいた。どうにも彼らには刺激が強すぎたようである。

 軍団長のルガーも、その横にいるアングレーも口をアングリさせて見ている。普段は飄々としている白猫エリザベートもさすがに言葉がでないようだ。


「やり過ぎだろうに」


 そんな中でジン・バハルはひとり、呆れ声でそう口にしていた。こんなものが量産化されたら、自分たちは廃業だなと思いながら。もっともジンライにしてみれば、彼らがなぜ動かないのかと憤っていた。


「あー。ほれ、何を呆けておる? 突っ込め。さっさと」


 ジンライは疲れ果てた声で横にいる兵たちに声をかける。だが、声をかけられた兵は金縛りにあったように目を見開いて言葉も出せずにジンライを見ているだけで、動くことも出来ない。ショックにより思考が停止しているようだった。

 そして、そのジンライの言葉に気付いたのは軍団長であるルガーで、ようやく彼の声によって、リンドー王国軍は動き出したのだった。



 **********



 ジンライの攻撃が止まり兵たちが動き出したのを確認して、風音はさらに周囲を観察していく。相変わらず雷神砲レールガンの精度は課題が残るが、しかしソレを見越しての成果としては上々と言って良かった。

 また風音はさきほどから、ある魔物を捜していた。直樹からのチャットで、魔物の中にドラゴンベアのように黒くデカいボス個体がいたとの報告があったのだ。しかし見渡す限り、直樹の報告の魔物の姿は見えない。


(直樹の言う黒い巨大なヒルってのは多分、ベアードドラゴンと同じ状態だよねえ。見間違いってわけはないと思うんだけど。うん?)


 風音が『犬の嗅覚』でわずかな違和感を見つけだす。巧妙に隠れているものの、それは確かに存在した。


「そっこかぁあああああ!!」


 何かに気付いた風音は上空から大技『カザネバズーカ・テラバスター』を一気に解き放ち、一直線に地上へと突進し激突する。そして、さきほどのジンライの雷神砲レールガンよりも高く土塊を舞い上がらせた。


「む、避けた!?」


 だが、地面に降りたった風音はそう口にする。どうやら狙いは外れたようである。確かに臭いは感じたが、しかし、予想外に敵は素早かった。風音の、威力はでかいが読みやすい攻撃を見事に避けたようだった。


(ていうか、こんなのが隠れてたの?)


 思わず風音がそう呆れるほどに、風音の目の前で黒い塊が徐々に盛り上がっていく。それはオドイートリーチの群れの中に自身を薄く延ばし隠れていたようである。それが今の攻撃でその場所を気付かれたことを悟って姿を現してゆく。


 その黒い巨大なヒルの名は『ジャイアントマナイートリーチ』。

 通常は黒色ではないが、オドイートリーチたちを従えるボス格の魔物である。



  **********



 そして、その黒い巨大ヒルの姿はジンライたちからも見えていた。

 その横ではユッコネエは立ち上がり、その黒い巨大ヒルを見てながら前に出た。


「行くのか?」

「にゃー!!」


 ジンライの問いかけに、ユッコネエが鳴いた。

 そのままジンライの一歩前へユッコネエが出ると「フゥゥゥウ」と唸りながら、その『スキル』を使ったのだ。そして、光が溢れた。


「うわぁあ、出たぁああ!?」

「化け物、いやドラゴンだと!?」

「だがなんだ、あの神々しさは」

「まるで太陽みたいな暖かさを感じるじゃないか」


 兵たちが騒がれる中、そこに一体のドラゴンが現れていた。

 スキル『竜体化』。ユッコネエは進化したことにより風音の能力を使用可能となっていた。高コストの『メガビーム』や『ストーンミノタウロス』はユッコネエの魔力量の問題で使用は出来ないが、しかしコストパフォーマンスの良い『竜体化』ならばユッコネエにも可能であったのだ。

 現れたその姿は6本の尻尾の黄金の水晶竜。氷属性であった風音とは違い、今のユッコネエは炎を交えた光、太陽の属性を持っていた。そしてそれが竜体にも引き継がれ、まるで神々の後光のような輝きを放つ荘厳な姿へと変わっていたのだ。


 そしてユッコネエはその黄金の翼を振るわせて、空へと飛び立ち、そのままオドイートリーチの群れへと向かっていった。


「猫の方が良いと思うぞ。可愛くて……」


 その姿を呆然と見上げる兵たちの前でジンライはそう呟いていた。猫の方が可愛い。ふわふわのもふもふの方が正義だ。そうジンライは考えていた。


「うむ。やはり、猫の方が……」


 ジンライは再度そう呟いていた。やはり猫の方が良いようだ。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者リベレイター

装備:杖『白炎』・ドラグホーントンファー×2・竜喰らいし鬼軍の鎧(真)・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:38

体力:152+20

魔力:340+520

筋力:72+45

俊敏力:78+39

持久力:43+20

知力:75

器用さ:51

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv4』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv2』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv2』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』『体内魔力オド吸収』


弓花「師匠の笑い声がヤバい」

風音「うーん、強大な力は人を狂わせるね」


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